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更新日:2018.04.07健康美食 旅グルメ

塩辛汁で味わうのが流儀、韓国で美味しい豚を食べるなら済州島へ!

朝鮮半島の南に浮かぶ済州島は、かつて耽羅(タムナ)という独立国でした。本土とは異なる食文化が発達しており、ひと味違う韓国料理を楽しむことができます。中でも島の自慢は、かつてどの家庭でも飼育していた黒豚。その焼肉は塩辛を使ったソースとの相性が抜群です。

塩辛汁で味わうのが流儀、韓国で美味しい豚を食べるなら済州島へ!

韓国南部の済州島は塩辛のソースで味わう黒豚の焼肉が名物

島の流儀で味わう黒豚焼肉

    日の出の名所、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)

    日の出の名所、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)

 韓国で美味しい豚肉を食べたい。そんなとき韓国好きとしてまず思い浮かべるのが済州島(チェジュド)です。朝鮮半島の南に浮かぶ韓国最大の島。その昔、耽羅(タムナ)と呼ばれる独立国であったこの地では、本土とは異なる食文化が発達してきました。フッテジと呼ばれる黒豚をはじめ美味しいものが満載。また、観光地としても高い人気を誇っており、韓国最高峰の漢拏山(ハルラサン、1950m)を中心に、豊かな自然を満喫できるのも大きな魅力です。火山活動によって生まれた特異な景観は、「済州火山島と溶岩洞窟群」として韓国で唯一、ユネスコの世界自然遺産にも登録されています。

    民俗村では家庭における黒豚の飼育風景を再現している

    民俗村では家庭における黒豚の飼育風景を再現している

 もちろん島だけあって海からの恵みも豊富。アマダイ、サバ、タチウオ、スズメダイ、ヤリイカ、アワビ、サザエ、ウニといった魚介が名産です。済州島を訪れるなら、まずは新鮮な魚介を存分に味わって欲しいですね。そして、そのうえで肉料理も要満喫。黒牛の焼肉、馬肉料理、地鶏料理、キジ料理など。その中でも黒豚は、古くから済州島で親しまれてきた大事な食材です。いまではほとんど見られなくなりましたが、かつては島のどの家庭でも黒豚を飼育していました。

    茹で豚をまな板ごと提供する郷土料理の『トムベゴギ』

    茹で豚をまな板ごと提供する郷土料理の『トムベゴギ』

 祝い事があったときに親戚や近所の人と分け合いつつ、豚1頭を余すことなく味わうのが済州島におけるハレの食です。かたまりの肉は茹でて食べやすい大きさに切った『トムベゴギ』にするのが一般的。トムベゴギは「まな板肉」という意味で、茹で豚を切ったまな板ごと提供したのが名前の由来です。塩辛の汁にちょんとつけて食べてもいいですし、サンチュや若い白菜に包んでも食べます。

    麺料理の『コギグクス』は直訳すると「肉麺」の意

    麺料理の『コギグクス』は直訳すると「肉麺」の意

 豚足を煮込んだり、血液入りの腸詰めを作るとともに、骨を煮込んだスープもご馳走のひとつですね。ホンダワラという海藻を一緒に煮込んだ『モムクッ』や、同じく名産品であるワラビを煮込んだ『コサリユッケジャン』。あるいは写真のように麺を入れて茹で豚を載せた、済州島版とんこつラーメンとも言うべき『コギグクス』もたいへん人気の料理です。

    豚肉をかたまりのまま焼いてハサミで豪快にカットする

    豚肉をかたまりのまま焼いてハサミで豪快にカットする

 そんな中でもいちばん人気はやはり焼肉。『オギョプサル(皮付きのバラ肉)』や、『モクサル(肩ロース)』といった部位を分厚く切って焼けば、それだけでもうたまらない味わいです。噛むごとに脂がジュワッと弾けて、赤身部分のうま味もしっかり広がって。以前は黒豚もだいぶ希少だったのですが、近年は飼育も盛んになって黒豚専門の焼肉店がずいぶん増えました。写真は中文(チュンムン)というエリアにある【豚家マウル】という店。皮付きで提供する黒豚の『モクサル』(初回3人前600gW5万6000、追加時1人前W1万8000、W100は約10円)を自慢とする店です。

    済州島の豚肉料理には塩辛のソースが欠かせない

    済州島の豚肉料理には塩辛のソースが欠かせない

 大きな塊で提供するため、焼くのに少々時間はかかりますが、それを眺めながらジリジリ待つのもまた楽しいもの。ハサミで食べやすい大きさに切り、表面から内側までじっくり火を通していきます。なお、網の中央にあるタレは、イワシの塩辛に焼酎、ニンニク、青唐辛子を加えたもの。豚肉を塩辛のソースで食べるのは済州島ならではの流儀です。若干のクセはあるものの、慣れるとその濃厚な味わいがやみつきになりますね。

    サンチュで包む際にはニンニクを添えて味噌を載せて

    サンチュで包む際にはニンニクを添えて味噌を載せて

 もちろん葉野菜に包んで食べてもOK。濃厚な塩辛ソースとはうって変わって、こちらはさっぱり爽やかに味わえます。ひと通り、豚肉を食べたら最後は熟成キムチを煮込んだ『キムチチゲ(キムチ鍋)』も逸品。辛くて熱い汁がじんわりと胃に染みます。

    繁華街の新済州にはたくさんの黒豚焼肉専門店が集まる

    繁華街の新済州にはたくさんの黒豚焼肉専門店が集まる

 もうひとつのおすすめ店は新済州(シンジェジュ)の【ZZZ済州黒豚バーベキュー】。黒豚の焼肉というとローカルな雰囲気の店が多い中、こちらは外観からしてカラフルで洗練された雰囲気のあるお店です。

    黒豚の盛り合わせ。近年は済州島でも希少部位が人気

    黒豚の盛り合わせ。近年は済州島でも希少部位が人気

 自慢のメニューが黒豚の各部位を盛り合わせた『フッテジモドゥム』(2~3人セット560gW5万5000、3~4人セット800gW7万8000)。定番のオギョプサル、モクサルのみならず、センガルビ(カルビ)、カブリサル(バラカブリ)、ハンジョンサル(豚トロ)といった全部で5種類の部位をまとめて楽しむことができます。いずれも塩辛のタレで味わうか、またはスライスタマネギを入れたソースにつけて食べても美味しいです。

    地ビールとして人気が高まっている済州ウェットビール

    地ビールとして人気が高まっている済州ウェットビール

 最後は黒豚に合う済州の地ビールをご紹介。2017年8月に発売された「済州ウィットエール」は、済州島の郷土料理と合わせることを目的として開発された銘柄。やはり特産品である有機栽培のミカンの皮を使用しており、華やかな香りが黒豚焼肉ともよく合います。ぜひ合わせてお試しください。

【豚家マウル(돈가마을)】

電話:+82-64-738-3150
住所:済州道西帰浦市一周西路680
住所:제주도 서귀포시 일주서로 680

【ZZZ済州黒豚バーベキュー(ZZZ 제주 흑돼지 바비큐)】

電話:+82-64-747-7222
住所:済州道済州市新大路104
住所:제주도 제주시 신대로 104

この記事を作った人

八田靖史(フリーライター)

慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「イラストでわかる はじめてのハングル」(高橋書店)。WEBサイト「韓食生活」を運営。

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