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更新日:2018.09.05旅グルメ

韓国で新登録された世界遺産と天然キノコ鍋、絶品マッコリを訪ねる

今年6月、韓国では各地の山寺がユネスコの世界文化遺産に登録されました。そのひとつ南西部の海南(ヘナム)にある大興寺(テフンサ)は、山々を横臥仏に見立てた景観で有名です。お寺のふもとでは天然のキノコ鍋が名物。日本家屋で造るマッコリの蔵も併せて紹介します。

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店主が自ら山奥で採ってきた天然キノコ満載の鍋料理を味わいに

澄んだスープの深い味わい

    韓国南西部の海南・頭輪山でとれる天然キノコの鍋料理

 日本において高級なキノコといえばやはりマツタケ。その一方で「香りマツタケ、味シメジ」という言葉もあります。面白いことに韓国にも似たような表現があって、「1コウタケ、2シイタケ、3マツタケ」と言ったりします。マツタケが秋の王様であるのは同じですが、それ以上に味の面で評価されているのがコウタケ(香茸)というキノコです。

    大興寺の大雄宝殿。木造の釈迦如来三仏坐像をまつる

 コウタケは秋になると韓国各地でとれますが、その中でも名産地として紹介したいのが南西部の海南(ヘナム)という地域です。ここには頭輪山(トゥリュンサン)という山があり、コウタケをはじめ種類豊富なキノコがとれるため、これらを使った『ポソッタン(キノコ鍋)』が名物となっています。大興寺(テフンサ)というお寺の近くにキノコ、山菜料理の専門店が集まっており、お参りと絡めて訪れる人が多いです。

    大興寺入口からの光景。奥の山々を横臥仏に見立てる

 大興寺は創建が5~6世紀と古い韓国を代表する山寺のひとつ。今年6月には「山寺、韓国の山地僧院」としてユネスコの世界文化遺産にも登録されました(全7ヶ所のひとつ)。特徴的なのが入口を抜けて広がるこの景観で、手前の木々や建物はさておき、遠くに見える山々にご注目ください。巨大な仏様が横臥している姿を見出だせるでしょうか。写真右手の盛り上がったところが頭部、中央の双子山が両手を組んでいるところ、左手にのぼる稜線が足を表します。

    大興寺の千仏殿。千体の仏像が並ぶ姿は荘厳かつ壮観

 仏に見立てた山々にまずお参りをするという意味から、入口の正面に広々とした空間を置き、その後ろに北院、南院、別院という3区画を設ける珍しい造りをしています。本殿である大雄宝殿(テウンボジョン)は入口から見て左手の北院に位置。中央の南院には、千体の仏様を安置する千仏殿(チョンブルジョン)があって、こちらも大興寺における大きな見どころのひとつです。

    キノコ料理がおいしい【湖南食堂】。コウタケ鍋もある

 大興寺のふもとにある飲食店街で、ぜひ推薦したいのがこちらの【湖南食堂】(ホナムシクタン)。看板メニューの『チャヨンサン ポソッタン』(天然キノコ鍋、2人前W3万5000=約3500円)は、お店の方が自ら山奥まで分け入って採った天然キノコだけを鍋に仕立てたものです。天然物だけにどんなキノコが入るかはそのとき次第ですが、10数種類がドサッと入って出てくるのはまさに圧巻。山菜、キノコを用いた副菜もずらりと並びます。

    韓国南西部の全羅道地域は副菜がたくさん並ぶので有名

 キノコからいいダシが出るので、鍋には牛肉、タマネギ、唐辛子を少量加えるだけで、味付けも塩のみ。それでも驚くほどに深みのあるスープに仕上がります。各種のキノコは馴染みのないものばかりでしたが、お店の方にひとつひとつ教えていただくと、コウタケをはじめ、ヒラタケ、イワタケ、ホウキタケ、アンズタケ、タマゴタケ、フクロタケ、ユキワリなどなど。それぞれ食感が異なり、風味も異なり、いいキノコの勉強になりました。

    赤唐辛子のピリッとした辛さがいいアクセントになる

 あれこれと味の違いを楽しみながら、ひとつ群を抜いておいしいキノコがあるなと思ったら、やはりそれがコウタケでした。香り高く、サクッとした食感で、後に残るうま味が実に豊か。韓国における「1コウタケ」との評価は改めて納得のできるものでした。

    海南の【海倉酒造場】。日本からの観光客も多く訪れる

 さて、海南まで足を伸ばすのであれば、ぜひ立ち寄っていただきたい場所がもうひとつ。大興寺から車で30分ほどの距離に、日本家屋を改築したマッコリの醸造場、【海倉酒造場】(ヘチャンチュジョジャン)があります。ここの建物は1927年に米穀商を営んでいた日本人が建てたもの。増改築を繰り返しているので、当時のままではありませんが、屋根の作りや、かつての玄関、庭の雰囲気などは、日本人にとって懐かしさを感じさせます。

    入口には「訪ねゆく醸造場」の認定プレートがかかる

 この酒蔵は韓国の農林畜産食品部(日本の農林水産省に相当)から「訪ねゆく醸造場」にも指定されています。「訪ねゆく醸造場」とは伝統酒の蔵元を観光名所として結びつけたもので、体験プログラムや試飲などの施設を整えた34ヶ所が現在まで指定されています。【海倉酒造場】でも事前予約のうえ、敷地内の見学や試飲ができます。

    【海倉酒造場】の『海倉マッコリ』9度(右)と12度

 韓国で生産されるマッコリは数あれど、ここの「海倉マッコリ」ほど芳醇で、飲みごたえのある銘柄はそうそうありません。韓国のマッコリは甘味料で甘味を整えることが多いのですが、ここではそれを一切使用せず、原料に加えたもち米でコクのある甘味を引き出しています。アルコール度数も一般的な6度に加え、より濃厚な9度、12度を生産。海南以外ではなかなか出合えない貴重な銘柄ですので、ぜひ蔵元を訪ねてみてください。

【湖南食堂(호남식당)】
電話:+82-61-534-5500
住所:全羅南道海南郡三山面大興寺キル143
住所:전라남도 해남군 삼산면 대흥사길 143

【大興寺(대흥사)】
電話:+82-61-534-5502
住所:全羅南道海南郡三山面大興寺キル400
住所:전라남도 해남군 삼산면 대흥사길 400

【海倉酒造場(해창주조장)】
電話:+82-61-534-2346
住所:全羅南道海南郡花山面海倉キル1
住所:전라남도 해남군 화산면 해창길 1

この記事を作った人

八田靖史(フリーライター)

慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「イラストでわかる はじめてのハングル」(高橋書店)。WEBサイト「韓食生活」を運営。

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