ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2021.06.04食トレンド

江戸前鮨の真髄を体感する【鮨 忠】築地

築地駅、新富町駅からともに徒歩2分ほど、大通りから少し入ると、白木造りのエントランスに目を惹きつけられます。こちらは、2021年3月7日にオープンしたばかりの【鮨 忠】。大将の佐藤準一さは、ミシュランの三ツ星に輝く【鮨よしたけ】プロデュースのお店で板長を務めた後、満を持して独立されました。

鮨忠のまぐろ

真摯に技を尽くした、握りとつまみのおまかせコース

    鮨忠の外観

    日が暮れて明かりが灯ると、夜道に映える白木造りのエントランス

築地駅の地上出口からすぐ、路地に入った静かな一角に建つ新築ビル。その1階に【鮨 忠】は構えています。凛とした佇まいのエントランスから、白木の引き戸を開けて店内へ。大将・佐藤さんと女将さんご夫妻が迎えてくれます。

檜のカウンターで居住まいを正したら、佐藤さんの手からつまみと握りが供される幸せな時間の始まり。

    鮨忠のまぐろの握り

    握りの醍醐味、本まぐろ。旨みを最大限に引き出す寝かせ加減は経験の賜物

この日のまぐろは那智勝浦のもの。3日以上寝かせることで、舌触りはしっとり、口の中でほどけるとともに旨みと香りが広がります。まぐろの仕入れは、国産本まぐろのみを扱う仲卸「石司」から。

    鮨忠の小肌

    酢〆して5日ほど寝かせた小肌は酸味が立ちすぎることなく、旨みが増している

江戸前鮨ならではの“仕事”がうかがえる小肌は、酢が柔らかく馴染み、旨みをぐっと引き上げています。聞けば、この時期は脂のりが少なくて難しいという小肌ですが、口当たりよく、嚙み締めるほどに味わい深い〆加減に佐藤さんの技が光ります。

    鮨忠のはまぐり

    旬のはまぐりならではの滋味あふれる旨み。煮汁まで余すところいただきたい

つまみには茨城・鹿島産の大ぶりなはまぐりを。低温で火を入れて、ふっくらと仕上げています。加えたのは塩だけで、振り柚子を少々あしらった潔さ。ほのかな甘さが引き立ち、何とも品のいい旨みの余韻が続きます。

    鮨忠の鯖の棒寿司

    おまかせコースの中では1貫で提供、お土産は1本。※お土産は季節によってご用意できない場合もございます

お土産にしたいというリクエストも多い鯖の棒寿司。脂のりがいい鯖のみを使い、浅めに〆たら3種類の昆布、シャリには大葉と千切りたくあんを加えて。脂がのった鯖の旨みに香りと食感がアクセントになり、確かにもう1貫、2貫と欲しくなります。

握りとつまみが交互に繰り出されるおまかせコースは23,500円(税込)から。
※仕入れによって値段が変わることもありますので、ご了承ください

東北の蔵元を中心に揃えた、選りすぐりの日本酒

    鮨忠の日本酒

    「出羽乃雪 純米大吟醸」1,600円、「新政 No.6 x-type」2,000円、「和田来 純米吟醸」1,200円(すべて180㎖)

生まれは山形、お酒がお好きという佐藤さん。日本酒は東北地方のものを中心に取り揃えています。山形の「和田来」「出羽乃雪」、宮城の「日高見」、秋田の「新政」など、のどが鳴るラインナップです。握りとつまみをじっくり味わうほどに、きりりと冷えた日本酒がつい進んでしまいます。

日本酒の他にもビール、焼酎、ウイスキーがあり、シャンパンや白ワインは、銘柄によってハーフボトルでいただけるのも嬉しい。もちろん、ノンアルコールはミネラルウォーターや炭酸水、烏龍茶や緑茶などがあります。シーンに応じて、お好きなドリンクをどうぞ。

8席のカウンターで堪能する、江戸前鮨の矜持

    鮨忠の内観

    入店してから席に着くまでのアプローチで、高揚感がぐっと増すはず

入口から1歩入ると家紋をあしらったガラス戸があり、そこからカウンターまでのアプローチに心躍ります。吉野檜のカウンターと網代天井、さり気なくも上質な造りの内観は、背筋がピンと伸びつつも決して堅苦しくない心地よさ。

デートから会食、家族連れからお一人さままで、様々なシーンで使われているという佐藤さんの言葉にも納得です。

    鮨忠の内観

    店内は全8席のカウンターのみ。清潔感あふれる空間になっている

    鮨忠の佐藤さん

    「切って出すだけじゃない、“遊び”もしない。江戸前の鮨をやっていく」と語る佐藤準一さん

さり気なくも上質、というのは佐藤さんのお鮨も同様。毎朝の豊洲で仕入れを終えてからは、開店までほぼ休む間もなく仕込みをされているのだそうです。「江戸前の鮨ならでは仕事を実直にしていきたい」という佐藤さん。派手な演出はなく、美しい所作から生まれる鮨は、端正でしみじみと美味しい。そこに込められた江戸前の矜持を実感します。

折り目正しくも温かみあるひとときを過ごせる、行きつけにしたい鮨店が誕生しました。

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(5/13~5/19)

エリアから探す