更新日:2024.04.29食トレンド 旅グルメ
<Day2>古い街並みが残る金沢で、美食を堪能する1泊2日の旅
美しい町家が数多く残り、歴史を感じられる金沢は、インバウンドでも賑わい、国内外から観光客が集まる場所です。しかし、2024年1月の地震では金沢も大きく揺れ、人的、物的被害に加え観光面でもキャンセルが相次ぐなどの被害に見舞われました。震災から3ヶ月が過ぎた今、金沢を訪れると、北陸新幹線延伸や北陸応援割もあってか、かつての様相を取り戻しつつある印象でした。現在の金沢と、素晴らしいレストランや観光地を中心に1泊2日の旅をご紹介します。
2日目
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9:30 鈴木大拙館
11:30 【A la ferme de Shinjiro】でランチ
13:30 金沢21世紀美術館で五感をリセット
15:30 金沢城・兼六園で日本の四季を堪能
17:00 【居酒屋田村】で最後の晩餐
19:00 帰京
9:30 鈴木大拙館
「鈴木大拙館」は中に入らずとも、外周を散歩するだけでとても気持ちがいい場所です
1日目の夜は香林坊周辺に宿を取ったので、朝の時間を使って周辺を散歩。「鈴木大拙館」は仏教哲学者であり、「禅」の精神を世界中に広めた第一人者である鈴木大拙さんの考え方を伝えるために建てられました。館内は3つの棟と3つの庭が回廊でつながった造りで、鈴木大拙さんを知るとともに、訪れた人自身が思索する空間が広く取られています。
周辺には「緑の小径」や「霞ヶ池」など、散歩しながら自然を感じられる場所も多くてオススメ
11:30 【A la ferme de Shinjiro】でランチ
大正期の金澤町家をリノベーションした風情ある一軒家
チェックアウトを済ませたら早速ランチへ。香林坊からバスに乗って約7分、尾張町で下車してすぐの【A la ferme de Shinjiro(アラフェルムドゥシンジロウ)】は、石川県で栽培したブドウでワインを造る「金沢ワイナリー」が運営するフレンチレストランで、1階がワイナリー、2階がレストランになっています。
1階にあるワイナリーの見学や試飲(有料)も可能。レストランで飲んで気に入ったワインを買って帰ることができます
レストランはクラシカルな雰囲気を醸しつつも、木を基調とした温かみのある店内は落ち着きます
自社農園で育てる有機の小麦やお米、厳選された有機野菜、金沢港や能登の市場直送の鮮魚など旬の地物食材を使い、フランス料理の技法で仕上げた料理を提供しています。昼夜共にコース料理のみで、今回は『Dejeuner A』5,500円をオーダー。
『能登・金沢 旬の素材を使った前菜盛り合わせ』
アミューズのスープに続いて提供された美しい一皿は前菜の盛り合わせです。『甘海老』を筆頭に、『ホワイトアスパラガスのムース』、『能登豚のパテ』、『金時草とヤリイカの和え物』、『砂肝とキャロットのコンフィ』、『能登牛のローストビーフ』など、地元の食材をおいしく、美しく昇華した料理の数々にときめきます。
ドリンクは「金沢ワイナリー」のワインを中心にビール、日本酒、ノンアルコールドリンクも豊富です。ワインペアリングは3,500円。こちらは「OKU-NOTOシャルドネ2022」
メインはお魚料理。スズキ科の白身魚ですが、鯛のようなさっぱりした味わい。皮目はカリカリ、中はジュワっと旨みが広がります。ソースはブールブランソース。葉物野菜は能登島の「NOTO高農園」の野菜を使用
食事をいただきながら、シェフの須﨑さんにお話を伺うことができました。金沢に住んで5年目になるそうで、1月の地震ではご家族ともに無事だったそうですが、同店を運営する「金沢ワイナリー」の畑は珠洲市にあり、大きな被害があったそうです。「有機の田んぼも作っているのですが、水を入れてみないと何とも言えない部分があり、これから増える被害もあるのではと危惧しています」と須﨑さん。
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「珠洲市はここ1〜2ヶ月にようやく立ち入ることができたレベルで、断層が起こってひび割れている部分もまだまだ多いです。「復興」という言葉をよく聞きますがそれ以前の話だと感じます」
東京に住む人が、被災地に対してできることについて話しているなかで、こんなお話がありました。
「僕自身の話になりますが、僕は東京で生まれ育っているので、もともと「自然に憧れがあった」んですよね。でもこっちに来て畑を触るなかで、人間としての感覚を取り戻しているように感じました。ネットで情報を集めて頭で考えるのと、体感するのとでは大きく違うなと身をもって体験したんです。震災が起こって「何ができるのか」と、頭で考えてるだけでは謙虚さが薄れていくように思います。実際に外に出て、畑に出て、一緒に手を動かしていくことが一番必要だと僕は思うんです」
自分の手の届く範囲でできることをしていくことはもちろん必要ですし、大切だと思います。しかしそこに胡座をかいて「できる範囲のことしかしない」ことについても、大変考えさせられました。身体が動くのなら、少しでも現地に行って、手を動かして、地元の人と会話をすることでしか得られないものがあるのではと強く感じました。
【A la ferme de Shinjiro】
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電話:050-5263-2818
住所:石川県金沢市尾張町1-9-9
アクセス:金沢駅 徒歩20分店舗詳細はこちら >
13:30 金沢21世紀美術館で五感をリセット
金沢21世紀美術館
こちらも言わずと知れた観光名所「金沢21世紀美術館」。現代アートを収蔵する“開かれた美術館”として、2004年に誕生しました。館内は、有料の「展覧会ゾーン」と無料の「交流ゾーン」に分かれていて、展覧会ゾーンにあるレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」が特に有名ですね。
球体のパビリオン「まる」
能登半島地震の影響はここにも及んでいます。展覧会ゾーンにある一部の展示室で、天井のガラス板が剥落するなどの被害があり、整備と修繕のため2024年6月21日まで休場。「スイミング・プール」への入場も休止しています。
閉鎖している施設
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展覧会ゾーン
長期インスタレーションルーム
デザインギャラリー
利用可能エリア「交流ゾーン」
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市民ギャラリーA・B
タレルの部屋
アートライブラリー
託児室
キッズスタジオ
茶室
レクチャーホール
※また、下記の施設は営業時間を短縮して営業。
・カフェレストラン
当面の間 営業時間 10:00〜18:00(17:00ラストオーダー)
定休日 月曜(祝日の場合は営業、翌平日休み)
・ミュージアムショップ
当面の間 営業時間 10:00~18:00
定休日 月曜(祝日の場合は営業、翌平日休み)
「ラビットチェア」は交流ゾーンにあるので、従来通り撮影できます。多くの人で賑わっていました
「タレルの部屋」も鑑賞可能。通り過ぎていく光をとらえ、人間の知覚体験(見ること、感じること)に働きかける作品で、部屋に入ると、天井の中央部分が正方形に切り取られた空に目が行きます。椅子に座って眺めるうちに、変わりゆく光を体感できます
15:30 金沢城・兼六園で日本の四季を堪能
続いて、金沢21世紀美術館から徒歩ですぐの兼六園へ向かいます。兼六園は江戸時代の代表的な大名庭園で、日本三名園の一つに数えられる、廻遊式の庭園。四季折々の美しい風景が人々の心を掴み続けています。
「霞ヶ池」と「唐崎松」
桜開花の少し前だったので、梅を楽しむことができました
左手の「虹橋」の上で写真を撮るのが定番のようで、多くの外国人観光客が撮影していました
どこを見渡しても木漏れ日が美しい「常磐ヶ岡」
兼六園には出入り口が7つありますが、「桂坂口」を出ると金沢城とをつなぐ「石川橋」が目の前にあり、ここを経由すると両場所を効率よく観光することができます。
「石川橋」から「石川門」を望む
金沢城とは、江戸時代の加賀藩主・前田氏の居城だった場所で、城址は現在国の史跡に指定されており、城址を含む一帯が金沢城公園として整備され、観光名所になっています。
「石川門」の石垣。度重なる火災で、金沢城にあったほとんどの建物は焼失してしまいましたが、この「石川門」と「三十間長屋」だけが現存。その他の建物は再建されました
中に入り、「三の丸広場」が広がる先に見える長い建物は3つの建物が連なっています。左から「橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)」、「五十間長屋(ごじっけんながや)」、「菱櫓(ひしやぐら)」。内部では様々な展示が見学できますが、唯一入場料(大人320円)がかかります
17:00 【居酒屋田村】で最後の晩餐
ひがし茶屋街近く、浅野川沿いに佇む【居酒屋割烹 田村】
早くも旅はエンディングです。【居酒屋割烹 田村】は生きたズワイガニを一年中食べられる貴重なお店で、店内壁にあるたくさんのサインを見て分かるように、有名人も多く訪れるという人気店。カニの他にも北陸の海鮮を使った創作料理が楽しめます。コースもアラカルトもありましたが、一人でもいろいろ食べられる『海鮮コース』(10,000円)をお願いしました。
カニ料理店ならではの『カニ酢』からスタート
『海鮮刺し盛り』。ブリ、トロさば、甘海老、つぶ貝、ホタルイカ、カニなど、北陸に来たら食べたい海鮮をまるっと食べられる一人前が嬉しい
今回の焼魚は『ブリカマの煮付け』。タレ焼きでほろほろにとろける身、ついついお酒が進みます
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こちらがズワイガニ
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『ぶりしゃぶ』を撮影させてくれました。見るからにプリップリ!
〆は名物の『田村うどん』。生麺でツルツルしたテクスチャーは冷麺に近い食感です。麻辣のだしが効いていて身体がポカポカしてきます。販売もしているのでお土産に購入しました
お店を後にすると、すっかり夜になった浅野川にかかる「梅ノ橋」が目の前に。そこから望む「浅野川大橋」はライトアップされ、昼とは全く異なる美しい姿を見ることができます
【居酒屋割烹 田村】
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電話:050-5447-9789
住所:石川県金沢市並木町2-18
店舗詳細はこちら >
19:00 帰京
金沢城の一部が地震で崩落した様子。一部は立ち入りができなくなっていました
今回訪れたのは3月末日。震災から約3ヶ月が経過し、爪痕が残る場所もありますが、金沢の人の流れや街の景色は従来の賑わいを取り戻しているように感じました。能登半島の大きな被害があったエリアとは、かなり状況が違うのだなと実感しました。北陸各地を訪れて、観光して楽しむことも大切ですが、もう少し踏み込んで、実際に被災地に足を運んでできることを考えたいと強く思った一泊二日の旅でした。
撮影/取材/文 宿坊アカリ
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