【ル・ショコラ・アランデュカス】の官能ショコラは大人を夢中にさせる魔力がある|ニュースな新店
ヒトサラ副編集長・山路美佐が気になる新店を紹介する連載第二弾は日本初上陸のショコラトリー。"チャーリーとチョコレート工場"ならぬ、アラン・デュカスのチョコレート工場が日本橋に上陸したのだ。フランス料理の巨匠が手掛ける【ル・ショコラ・アランデュカス】はパリの工房で最高品質のカカオ豆を焙煎、クーベルチュールをつくり、そこからさらにボンボンショコラをつくる。その丁寧な手仕事から生まれる高品質で個性的なショコラは官能的な味わい。4月27日には六本木店もオープンし、ますます気になる、チョコレート工場&ショップを訪れた。
フレンチの巨匠の理想のショコラは
原料の選定から完成まで、一貫した手仕事から生まれる
パリのバスチーユ広場のほど近く。通りから少し入ったところに突然現れるショコラの工房。ガラス越しにアンティークの銅製の焙煎機が設えられ、カカオ豆からクーベルチュールを伝統的な製法でつくる職人がキビキビと働く様子が見て取れる。その隣、天井の高いショップには、タブレットからボンボンまで、数々のショコラが美しく並び、ショコラ好きのパリジェンヌたちで賑わっている。パリの下町に現れた、とっても素敵なショコラ工房を最初に見つけたときには、本当に心からときめいた。【ル・ショコラ・アランデュカス】は以来、その雰囲気にも味にも魅了されて、パリに行く度に通っていたお気に入りの店になった。(そしてお土産の定番もこちら)
そのパリの大好きなショコラトリーが日本にオープンする、という風の噂を聞いてはや数年。とうとう日本橋にオープン!というニュースが飛び込んできた。もうパリに行かなくても、あのショコラが買える、といううれしさと、でもパリのあの店を訪れる理由が減ってしまうかも、という悲しい気持ちがごちゃまぜになって、日本橋の店を訪ねたのだった。
東京の【ル・ショコラ・アランデュカス】はレンガや木、そして鋼とガラスという素材がミックスされた空間で、そこがそのままパリの店の一角かのような素敵な雰囲気。店を任されているのは、アラン・デュカスさんの信頼も厚いジュリアン・キンツラーさんだ。
左/東京のエグゼクティブ シェフ・ショコラティエのジュリアン・キンツラーさん。右/アラン・デュカスさん。
大好きなショコラについて、いろいろ知りたい!とジュリアンさんにインタビューを申し込むと快くOK。まず、その特徴を聞くと、「なんといっても【ル・ショコラ・アランデュカス】の特徴は、厳選した最高級のカカオ豆を焙煎するところから手掛けること」と答えてくれた。カカオ豆の風味を引き出すこの工程を経て、粉砕、精製、ショコラのとろみと滑らかさを出す「コンチング」という工程を経て、成型まで一貫して行うという。伝統的な手法を用いることで、様々な工夫を凝らすことができ、オリジナリティあふれる商品ができるのだとか。
「たとえば、このペルー産のカカオを使ったタブレット『ノンコンシェ』は、コンチングをしないで作ったタブレットなんです。滑らかさをだし、酸味を取り除く工程のコンチングをしていないので、ザラッとした食感と酸味を含んだフルーティなカカオ豆そのものの風味が際立ちます。タブレットのなかでは僕が一番好きなものです」とジュリアンさんに勧められて、『ノンコンシェ』を食べてみると、確かにとても個性的。カソナード(ブラウンシュガー)のザラッとした舌ざわりと甘味、そしてカカオの香りがブワッと広がり、どこか野性味を感じる味わいだ。
ジュリアンさんのおすすめ「ガナッシュ・グルマンド」のライムも入ったボンボンショコラの詰め合わせ。8個入りは3,350円(税別)
日本の店では、パリの店でつくったクーベルチュールを運んで、この店の中の工房でさまざまなショコラをつくっている。クーベルチュールの種類は現在約20種。10か国のものが入ってくる。「この店のショコラのすばらしさは、カカオの味の際立ち」とジュリアンさん。その種類ごとに香りも味も違い、長年パティシエをしてきた彼でも、チョコレート概念が変わったそう。
「そのクーベルチュールの特性を生かしたレシピでつくるショコラは本当に個性豊か。さっき、オススメのタブレットを紹介したけれど、ボンボンショコラではガナッシュ・グルマンドのライムが好き。プラリネもいいね。シチリアから届くピスタチオやヘーゼルナッツでつくっているんだけれど、これも香り高くておいしいです」
すすめられるがままに片端から食べて、その言葉に納得。どれも味わいも香りも違い、自分の好みを見つけるのも楽しい。
圧巻!世界各国のカカオで作られたクーベルチュールが棚に並ぶ
ガラス越しに見える、チョコレート工場に
思わずテンションアップ!
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上/ガラス張りの工房。前を通ったときに立ち止まって見入る人多数。右/シチリアから届いたドライフルーツとナッツ。マンディアン用
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そして、訪れた人が絶対に気になるのがショップの隣にあるガラス張りの工房。2階の【ル・サロン】からもクーベルチュールのストックルームや、ショコラに模様をつけている作業まですべてを見ることができる。本当にいつまで眺めていても飽きない! クーベルチュールを輸送して、この場所でつくる“つくりたて”の鮮度がやはり重要なのだろうか・・・・・・。
「鮮度、というよりも、ショコラをつくっている様子が外から見えて、いろんな人に興味をもってもらいたい、というのが大きな理由ですね。今、ショコラティエになりたいという若い人も減っているんです。例えばこの店の前を通った子供が、ショコラをつくっている僕たちを見てショコラティエになりたいって思ってくれたらすごくうれしいよね」とジュリアンさん。
職人の後継問題は日本だけでなく世界の問題でもあるんだな。でも、こうしてつくる工程が可視化され、興味をもって食べたショコラがとびきりおいしかったら、子どもだけじゃなくて大人だってますますお店のことやショコラのこと、原料のカカオのことまで知りたくなると思う。
世界でここだけ!「サロン・ド・テ」で
味わうショコラ・デセール
『アグリューム/ジンジャー/ソルベ・オ・グリュエ』1,900円(税別)
そしてそして、日本のショップで忘れてはならないのが二階の【ル・サロン】。パリにもないカフェスペースが日本に登場したのだ。食べられるのは、こちら限定のマカロンや、『ミルフィーユ・トゥ・ショコ』、『スフレ・オ・ショコラ』など、【ル・ショコラ・アランデュカス】のクーベルチュールを使った魅力的なデセールたち。
おすすめの『アグリューム/ジンジャー/ソルベ・オ・グリュエ』はとても軽いカカオニブのアイスにほんのり香る生姜のエッセンスがきいたクリームが大人の味。周りを彩る2色のグレープフルーツは、フレッシュとコンフィにしたもの二種類を添えるなど、手が込んでいる。
実は、ジュリアンさんは、パリのパラスホテル【ル・ムーリス】で修業、そして銀座【ベージュ・アラン・デュカス東京】では、シェフ・パティシエを務めた人物。星付きレストラン仕込みの味がここで食べられるなんて贅沢!
「砂糖、脂肪分を少なくフレッシュで軽いデセールにしています」との言葉通り、とてもライトな味わい。これならショコラをつまんで、さらにデセール、という欲張りなこともできてしまうかも。
さっぱりとしているのにコクがある『ショコラ・ショー』1,400円(税別)
もう一つ、【ル・サロン】でのオススメとして教えてくれたのが、パリの北駅だけで販売していた『ショコラ・ショ―』。
デュカスブレンドのクーベルチュールをミルクで溶かしたものだけれど、これが全然くどくない。切れ味のいい飲み心地、そしてカカオ豆の心地よい酸味を感じ、フルーティな香りが鼻腔を抜ける。『ショコラ・ショ―』は甘ったるくてどうも苦手だった私でも、これは本当に最後までおいしく飲めた。
二階からショップに戻ると、レジの横に日本限定商品を発見。(限定品という言葉にどうしてもヨワイ私)それが、ショコラをつかった焼き菓子のセット。薫り高いサブレをはじめ、フィナンシェやクッキーなどはパリにもない逸品! 絶対に喜ばれるに違いない、と次の打ち合わせにお目にかかる方向けに早速購入。ショップでも、サロンでも、本当にちょっとときめくエッセンスが散りばめられているから、つい、大人でもはしゃいでしまう。
日本限定の焼き菓子詰め合わせ、2800円(税別)
「ショコラ、この言葉を聞けば誰もが甘く官能的な想いを抱き、そのおいしさは私たちを幸せで包み込みます」というアラン・デュカスさんの言葉のとおり、ショコラには大人を何とも言えない甘い気持ちにさせてくれる、マジックがかけられていると思う。
カカオ豆から厳選し、丁寧で緻密な職人技でつくられたバリエーション豊かなここのショコラは、"チョコレート"ではなく"ショコラ"と呼びたくなるものばかり。そして"ショコラは、子どもじゃなくて大人が楽しむべきもの"と定義したい。なぜなら、大人になって忘れていた記憶や、大人だからこそわかる甘やかな記憶も呼び起こしてくれる気がするから。
しばらく、大人の素敵な方への手土産の定番はこちらのものになりそうだ。
タブレットは、カカオ豆の産地の特性を生かしたシングルオリジンのショコラも豊富。12の産地・26種がそろう。1400円~
【ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房】
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電話:03-3516-3511
住所:中央区日本橋本町1-1-1
店舗詳細はこちら >
【ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木】
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電話:03-5775-1185
住所:港区六本木6-12-2 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F
店舗詳細はこちら >
過去連載記事:ニュースな新店
山路美佐(ヒトサラ副編集長)
幼少時代から筋金入りの食いしん坊。丸の内の総合商社に入社するも食への探究心を抑えきれず退職しイタリアに短期料理研修の旅に出る。帰国後世界文化社に入社し「家庭画報」ほかの雑誌で食・旅・アートの編集を担当。2017年3月から現職。美味探求の旅は30カ国以上にのぼる
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