とあの「新・3大クラフトビール」若手醸造家ビール編/奥多摩【ビアカフェ バテレ】
今注目のクラフトビールの魅力に迫るとあの「新・3大クラフトビール」。第3回目の今回は、瑞々しい感性溢れる若手醸造家の造るビールについて伺いました。
東京の秘境・奥多摩へ
都心から電車で揺られること約2時間。JR青梅線の終着点、奥多摩駅に着きました。一歩電車から足を踏み出すと、本当にここは東京なのかと疑いたくなるような大自然が迎えてくれます。清々しい空気とともに美味しいビールを味わえたらなんて最高なんだろう……、そんな願いを叶えてくれる場所が、奥多摩駅からたった徒歩30秒という場所にありました!
心ゆるゆる、ほどける空間
【ビアカフェ バテレ】
今回ご紹介するのは、2014年に20代の二人によって創業された【ビアカフェ バテレ】です。オーナーの鈴木 光(すずき ひかる)さんと、醸造を担当する辻野 木景(つじの こかげ)さんは高校の同級生で、大学在学時から「一緒に会社をやろう」と意気投合していたそうです。
なぜわざわざ都心から離れた奥多摩にビアパブをつくろうと思ったのかを尋ねると、「自分たちがかつてここでビールを飲んで最高に気持ちよかったから」という明快な答えが返って来ました。
細い路地を進むと現れる、趣ある門がまえ
バテレの店舗は、朽ちた古民家を店長自らの手で半年以上かけてリノベーションしたもので、古い扉や柱などの落ち着いた佇まいと、改装を施した箇所の新しさが絶妙に調和し、穏やかで居心地の良い空間をつくり出しています。
カウンター席の前のメニュー表には、自家醸造ビール(最大10種)がずらり
なんと丸テーブルの素材は工事などに使われるケーブルドラムを使用しているのだとか!
庭のすぐ下を川が流れているため、テラスでは常にせせらぎが聞こえます
「自分でできるものは全部自分でやる」というおふたり。家を改装し、庭を剪定し、さらにビールまで造るのですから、実はやる気になれば何でもできてしまうのでは……という前向きな気持ちにさせてくれます。
バテレの魅力いろいろ
そんなお二人の想いが詰まったお店の中でも、特に魅力的なポイントをふたつ、イラストでまとめてご紹介します!
ここで、ぜひみなさんに「グロウラー」について知っていただきたいと思います。
ビアカフェバテレのすぐ近くにある「グロウラーショップ」。こちらはクラウドファンディングによって資金を募り、今年6月に開店したばかりです。土日祝限定で開店し、その場で注ぎたてのビールを専用の水筒(グロウラー)に詰めて持ち帰ることができるサービスを提供しています。
オリジナルグロウラー。左が500ml(1,000円)、右が1L(1,200円)。
よく見かけるビール瓶と異なりたっぷりビールが入るため、キャンプ場などで仲間とシェアするのにぴったりです。また、容器を繰り返し使えるため、水筒として日常使いできるのも魅力の一つです。上記のガラスのグロウラーの他に、炭酸が抜けにくい耐圧式のステンレス製のものもあります(6,500円・税抜)。
実はバテレのお二人は東京農業大学の造園科出身。学名をビールの名前にする感性はここから来ていたんですね。ビールを飲みながら植物の名前を学べる機会なんて、なかなかないことです。
自然体で個性派、感性をくすぐる
奥多摩ビール3選
秋も深まる今日この頃。奥多摩の大自然に抱かれながら飲みたい3種類のビールをご紹介します。
とあ推し!奥多摩ビール
その①『ゴールデン』(Alc.5.0%)
ゴールデンは2年前に初めて醸造をした際に造った定番ビールです。他の定番ビールは植物の学名が付いていますが、正式な名前を考える前に常連の間でゴールデンという名前が定着したため、そのままにしているのだとか。
この味をイラストで表現してみると……
香りからはふんわりとした酵母の優しい甘み、そしてほのかに蜂蜜のような風味も感じられます。口に含むとみずみずしさと程よい炭酸で、ビールがするすると喉を通っていきます。全体的にほのかな苦味があるため、非常に飲みやすい軽やかな味わいです。
とあ推し!奥多摩ビール
その②『エリカレス』(Alc.5.5%)
このビールは、先のイラストでもご紹介した『エリカレス(ツツジの意)』です。綺麗な赤銅色が印象的ですね。
この味をイラストで表現してみると……
まず、スーッと鼻を抜けるような上品な甘さのある香りを感じます。口に含むと熟した果実のような甘みが広がり、それが一番強くなる時、バトンタッチするように香ばしさのある苦味が強くなります。余韻は、香ばしい苦味が鼻腔に残り、全体的に気品のある印象です。
とあ推し!奥多摩ビール
その③『ペニーブラック』(Alc.5.5%)
こちらのビールは、オーツ麦と乳糖を使用したビールです。滑らかな泡と向こう側が見えないくらいの漆黒色が特徴ですね。
この味をイラストで表現してみると……
カカオ純度の高いチョコレートのような、素朴で飾り気のない香り。口に含むと、香ばしさと麦芽の甘みが入り混じったような味わいです。後味は、焦げたような苦味がグッと残ります。今回飲んだ中でも、一番味に複雑さを感じました。
バテレのビールは、時間経過に伴い口の中で次々と異なる味わいが感じられるように、レイヤーを意識して造っているそうです。そのために、発酵する際に、酵母が食べるものによって様々な味わいを生み出す性質を上手にコントロールする必要があるのだとか。そのさじ加減が造り手の腕の見せ所というわけです。
10月には、東京最西端の地・小河内(おごうち)の東京一標高の高い集落で育てたホップを使用した『とれたてホップ』というビールがお披露目されます。通常は乾燥させたホップをビールに使いますが、こちらに使用するのは加工していない「生」のものを使用。そのため、華やかでホップの香り高い味わいに仕上がります。この時期しか製造されませんので、要チェックですよ!
料理と合わせるなら…
『バゲット わさび入りクリームチーズ添え』 600円(税込)
このクリームチーズに練りこまれているわさびは奥多摩産。マイルドなクリームチーズにさわやかなわさびの刺激がクセになるお味です。一緒に食べるならコクのある『エリカレス』がオススメです。
【バテレ】は地元のまちおこし団体と協力し栽培したホップを使ったビールも造っており、ビール、料理共に積極的に奥多摩の素材を使用するなど、地産地消に力を入れていることが伺えます。
『オニオンリング』 600円(税込)
『オニオンリング』は揚げ衣に自家製ビールを練りこんでいるためサクサクの食感に。ピリッとスパイシーなトマトソースに絡ませれば、さっぱりとした苦味のゴールデンと好相性。ついつい口に運ぶ手が止まらなくなります。
奥多摩は、10月はアウトドアスポーツで賑わい、11月は紅葉の季節を迎え、これから一層活気付く時期なんだそう。特に夕方の時間が景色も気候も最高だとのことなので、日頃の嫌なことは全部忘れて、奥多摩の大自然と美味しいビール癒されに来てみてはいかがでしょうか。
【ビアカフェ バテレ】-
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電話:0428-85-8590
住所:東京都西多摩郡奥多摩町氷川212
アクセス:JR青梅線「奥多摩駅」徒歩30秒
営業時間:[平日]14:00〜20:00、[土日祝]12:00〜21:00
※季節により変動あり
定休日:木曜
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『恋するクラフトビール』TOA著、野田幾子監修
KADOKAWA 1,296円(税込)発売中
世界初! ビールの味や成り立ちがよくわかる、クラフトビールコミックエッセイ漫画がKADOKAWAから発売中。ビールシーズン真っ只中! これを読めばもっとビールが楽しくなること間違いなし。
この記事を作った人
イラスト・文/とあ
イラストレーター・漫画家。イラストを活かして未知の世界と人とをつなぐ「扉」のような作品作りを目指す。黒板・ガラスなどの大きなペインティングから、書籍の挿絵、漫画なども手がける。
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