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更新日:2019.02.22食トレンド 連載

黒毛和牛とお焦げの香りにうっとり『カイノミ漬けの炊き込みごはん』/【肉匠堀越】(広尾)森脇慶子の”気になるヒトサラ”Vol.13

日本が世界に誇る黒毛和牛の醍醐味はなんといってもあまい脂の香り。それを存分に楽しめるのが【肉匠堀越】の肉の炊き込みご飯です。店主の末富 信さんによるとそのレパートリーはゆうに20種類を超えるそう。今回はなかでも同店で人気の『カイノミ漬けのたきこみご飯』が登場! 特製の漬けたれを絡めたカイノミの角切りを香ばしいお焦げをつくった土鍋ご飯に混ぜて食べる幸せよ。噛むごとにふわっと香る極上肉と米のマリアージュはこれぞ日本の宝と叫びたくなるおいしさです。

今月のヒトサラは・・・・・・広尾【肉匠 堀越】
存在感あるカイノミを特製のたれに漬けて混ぜ込んだ『カイノミ漬けの炊き込みごはん』

 肉が好きで米が好き。だから、ステーキは赤ワインではなく炊きたての白飯と一緒に食べたいし、焼肉のお供も、サワーやビールではなく、やはり白飯が一番! そんな私の食い意地を満たしてくれるのが、ここ【肉匠堀越】だ。

    切り出した形が貝の形に似ているところからこの名があるとか。写真は、太田牛のカイノミで約200gで2人前

 今や、食の名店が居並ぶグルメストリートと化した日赤通りにオープンして4年。“焼肉割烹”と称するように、全室個室の店内では、牛テールスープの茶碗蒸しやヒレの西京漬け、かめのことしんしん(共にもも肉)の食べ比べ等々焼肉をはじめとしたオリジナルの肉料理が、会席料理の流れよろしく、次々とコースで登場。そして、締めに出されるご飯もの、これがいずれも秀逸なのだ。

「炊き込みご飯や混ぜご飯などを合わせれば、ご飯もののバリエーションは、ざっと20種類はありますね」

そう豪語するのは、ご主人の末富信さん。麻布十番の有名な魚料理店の1人息子に生まれながら、肉に惚れ込み、自ら焼肉店を開いてしまった不撓不屈の人である。

    さいの目にカットしてオリジナルの漬け地に約10分漬ける。カットした方が満遍なく味がつき、早く浸かる

 それだけに、肉への思い入れが半端ではない。現在、宮崎の尾崎牛や隠岐の隠岐牛、兵庫の太田牛、高知の赤牛に山形牛etc.全国10カ所あまりの牧場から仕入れているそうで、「自分の店で扱う牛たちが、どんなところでどんな風に育てられているのか、実際にこの目で確かめないと気が済まない」と、取り引きする牛は、全て牧場まで自ら訪ねていく念の入れようだ。

それだけに肉質の高さは折り紙つき。その肉を、惜しげもなく、ご飯にも使うのだから不味かろうはずがない。しかも、だ。末富さん自身、大の米好き!とあらば、まさに鬼に金棒である。

    米にも一家言ある末富さん。混ぜごはんには新潟のコシヒカリか龍の瞳を、炊き込みごはんには秋田小町と3種類を使いわけている

 ホルモンの炊き込みご飯にタンシタのねぎ飯、ザブトンの胡椒飯風混ぜご飯など数々のベストセラーメニューを送り出してきた中で、最近のヒット作⁉️が、ご覧の『カイノミの混ぜご飯』である。

「某焼き肉店で頂いたユッケごはん、これがめちゃくちゃ美味しくて。それをヒントに思いついた」とは末富さん。

それまで、店で出していた“サーロインと筍の炊き込みご飯”を更にステップアップしたそうで、曰く「それまでは、炊きたての筍ごはんに生のサーロインを混ぜ込むだけでしたが、その肉を漬けにしてみたんです。でも、サーロインのような霜降り肉だとやや重いし、ももやランプと言った赤身肉では火が入ると少し硬くなる。」

    炊きたての白飯に間髪を入れず、肉と刻みネギを入れ、手早く混ぜる。ジュッジュッっという快音は、石焼ビビンバのよう

 そこで選んだ部位が“カイノミ”。赤身とさしのバランスの良い希少部位だ。このカイノミ、本来はバラ肉の一部なのだが、ヒレに近い場所にあるため、バラ肉ならではの脂質とヒレの柔らかさや赤身の旨味を兼ね備えているという優れもの。

撮影当日のカイノミは、兵庫県太田牧場の太田牛。ご飯は新潟のコシヒカリ。これを、夏なら30分、冬場は約一時間浸水させてから火にかけ、沸騰してきたら、蒸気が漏れぬよう布巾で密閉、やや硬めに炊き上げるのが末富流だ。米にも目のない末富さんだけに、「お米の味を大切にしたいので、混ぜる具は、多くても3種まで。」そう決めている。

    米本来の風味を味わうため、通常はおこげを作らない主義の末富さんだが、カイノミごはんだけは「芳しい香りがほしくて」おこげをあえて作っている。おこげのパリパリと肉汁、肉の食感のコントラストがまた絶妙

 さて、カイノミはさいの目に切り、自家製の漬け地につけること10分。この漬け地がまたふるっている。醤油にみりん、塩、日本酒、そしてだしまでは予想通りながら、、想定外だったのは、白トリュフ! イタリア産瓶詰めトリュフを醤油や塩と和えた自家製トリュフペーストを隠し味に加えているのだ。漬け地ごと土鍋で炊きたてのご飯の上に乗せ、ネギを散らして一気に混ぜれば、立ち上る芳香に陶然となる。白飯ならではの澄んだ甘やかな香りと妖艶かつ濃密なトリュフの風味とが渾然一体、口にする前から至福の時が訪れる。

混ぜご飯の余熱でレアに火が入ったカイノミは、小粒ながらも旨味に溢れ、軽く歯が入る適度なかみごたえがちょっとしたミニステーキを食べているような満足感を与えてくれるそれも、上質の肉を使えばこそだろう。二杯めは、アツアツのコンソメをかけてひつまぶし風にするも一興。脳裡に焼き付けられる味とはまさにこのこと。これを食べるためだけに訪れたいーそんな気持ちにさせる逸品だ。

    カイノミごはんは、18,000円コースの締めで登場する。希少部位ゆえ、品薄になることもまま。予約の際、確認してから出かけよう

店主・末富信さんからひと言

    お米と肉は、最強の組み合わせ。シンプルかつストレートに双方の美味しさを楽しんでもらえたら嬉しいですね。このカイノミごはんは、麻布十番にオープンする新店でも、更なるマイナーチェンジを加えてお出しするつもりです

肉匠堀越

  • 電話:03-5464-2929
    住所:東京都港区南青山7丁目11-4 HT 南青山ビル2F
    営業:1部17:30~ 20:00(L.O)
    2部19:00~翌00:00(L.O)
    3部20:30~翌00:00(L.O)
    定休日:火曜
    コース:12,000円、18,000円
    ※カイノミの漬けの炊き込みごはんは18,000円のコースの1品です

撮影/岡本祐介

この記事をつくった人

  • 森脇慶子
    「dancyu」や女性誌などで活躍するフードライター。綿密な取材と豊富な経験に基づく記事は、読者のみならずシェフたちからも絶大な信頼を得ている。日々おいしいものを探求すべく新旧問わず様々な店を訪問。選者を務める「東京最高のレストラン」(ぴあ)も好評発売中。

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