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更新日:2019.08.28食トレンド 旅グルメ

【ハレクラニ沖縄】のメインレストランは、あのシェフが作る新しい沖縄キュイジーヌ!|【シル―】恩納村

ホテルラッシュが続く沖縄で、今年一番の話題となった【ハレクラニ沖縄】。ハワイの老舗ホテルの初の海外拠点として世界中のリゾートラバーの注目を集めています。そのメインダイニングを任されたのは、2019年アジアベストレストランで5位、ミシュラン二ツ星に輝く、【フロリレージュ】川手寛康シェフ。1年じっくりかけて沖縄の生産者と出会い、食材を知り、沖縄で開花したレストランとは。【SHIROUX】のすべてを取材しました。

やんばるの地で、やんばるの食材で挑戦する沖縄ガストロノミー

 オアフ島の中心部に位置する、言わずと知れた名門リゾートホテル。100年以上の歴史を持つ、そのハレクラニが初の海外出店地として沖縄を選んだというビッグニュースが駆け巡ったのは一昨年11月のこと。ホテルジャンキーからフーディーまでが色めきたったことは記憶に新しい。さて、この7月26日についにそのヴェールを脱ぎ、全容を現した。本島恩納村の北西、敷地の一方がクリフ、一方がビーチに面する絶好の立地に、サンセットウィングとビーチフロントウィング全360室が悠然とそびえる。館内のインテリアは、ハワイのハレクラニ同様、白がベース。セブンシェイズホワイトと称される様々な白が微妙な陰影を生んで、晴れやかなのに心落ち着く空間に仕上がっている。

    サンセットウィングのエントランスを入ってすぐのロビー。遮るもののない海が印象的な空間

 さて、リゾートホテルといえば、気になるのは「食」だ。これまで沖縄には、食を目的とするホテルはほとんど存在しなかった。ハレクラニ沖縄はその状況を打開したいと願ったのである。広い館内にイノベーティブ、ステーキ&ワイン、日本料理、オールディダイニングと4つのレストランを有する。旅行者のさまざまなニーズに応えられるようにという気遣いが嬉しいが、ハレクラニのゴールはホスピタリティに満ちた使い勝手のよさだけではなかった。そのダイニングで食事をすることを目的に旅をする“デスティネーションレストラン”を作ること。そんな熱い思いが【フロリレージュ】川手寛康さんに白羽の矢を立てた。

    シルーの店内でにこやかに笑う、川手寛康さん。白い壁に波を思わせる絵が映える

 川手寛康さんといえば、ミシュラン二つ星に輝く実力派であり、アジアのベストレストラン50では5位に位置する、世界的にも注目を集めるレストランのオーナーシェフである。素材の旨みを閃きと感性で組み合わせることで、脳内に美味しい!の化学変化をおこさせるイノベーティヴフレンチは高い評価を得ている。それを、沖縄の地でできないだろうかという、いわば挑戦状だ。「正直、沖縄でなければ、このオファーは受けなかったかもしれません」と川手さんは言う。それほど、食材を含め、沖縄に無限のポテンシャルを感じたのだ。

    テーブルの上におかれているのは琉球石灰岩のショープレートとメニューカードだけと潔い

 打診後、初めて現地に足を運んだのは、着工が始まったばかりの2017年春。「何度も沖縄に通い、自然のままののびやかな食材を目にし、島のおじぃとおばぁの食の知恵を聞くにつれて、食材は島のものをできる限り使いたい。沖縄の食文化をリスペクトした、どこか懐かしい味わいのあるものにしたいと強く思いました」と。

 実は沖縄のレストランでは、沖縄の食材だけで食材を賄うことはまだまだ難しいのだそうだ。しかし、川手さんはできる限り使いたいと、粘り強く、地元の生産者を足で回り、キーパーソンとなる人を紹介してもらい、野生のハーブや花までも手に入れるに至っている。

    ピパーチ、ニガヨモギ、ホーリーバジル、ジャスミンの花など料理にアクセントをつけてくれる野生の植物たち

 「シルー」とは、沖縄の言葉で白のこと。珊瑚礁が隆起してできた真っ白な石灰岩のショープレートの上に置かれたメニューカードには「白い、自然、純白、然るべき。そんな自然に生まれてくる、そんな料理を僕はここで作りたい」と、書かれている。メニューを開くと、
『発酵パイナップル』、『黒糖、ジーマミ豆腐』『イラブー』『ハタ、もずく、山羊』など、沖縄の食材をつかった料理の数々が並ぶ。神宮前の本店と同じスタイルだが、聞き覚えがないものがあれば、取り合わせのイメージが浮かばないものもある。まるで未知なる旅への招待状のようでわくわくする。

沖縄に根付く食文化を昇華させた料理を世界に発信する場所へ

    ブーダンノワールのチュイルを、砂糖きびを編んだトレーの上にのせてサーブ

 アミューズの一つはブーダンノワールのチュイルだ。ブーダンといえば、豚の血のソーセージだが、豚の血は琉球料理では古くから用いられてきた重要な食材だ。そんな琉球文化へのオマージュの一品である。黒糖を加えたほんのり甘みのあるチュイル生地とのバランスも抜群だ。パッションのピューレをのせ、上にはタマリンドの花を飾っている。

 プレゼンテーションにおいても新しい取り組みが見られる。それは、アミューズ3種を、一度に人数分ずつ卓上に出し、取り分けるというスタイルだ。リゾート地らしく、シェアする感覚を楽しむためと言うが、見事に功を奏し、食卓を和ませてくれる。

    イラブーでとったコンソメを卓上で注いで仕上げると、豊な香りが立ち上る

 温前菜に選んだ素材はイラブー。イラブーとはエラブウミヘビのことで、乾燥させたものを煮込んだイラブー汁は、古くから滋養強壮のために飲まれてきた宮廷料理だ。沖縄の料理がヌチグスイ(命の薬の意)と言われることを象徴する素材だ。一晩戻してから長時間煮込み、滋味深いコンソメをとる。また、豚の足と頭、内臓を煮込んで冷やし固め、いわゆるテットを作る。レモンバジルのペーストとテットを2段に重ね、イラブー汁で炊いた赤米を詰め、卓上で香り高いイラブーのコンソメを注いで仕上げる。付け合わせは島らっきょうの酢漬けと白ゴーヤの漬物のピューレ。付け合わせを別皿に添えるのも、沖縄での新しいスタイルだ。

「我々にはなじみのない素材であっても、イラブー汁は沖縄で大切に受け継がれている料理です。僕自身のフィルターを通してイラブーを一品に仕上げることは、必ずや成し遂げたい挑戦の一つだと思い、取り組みました」という意気込みが結実した素晴らしい一品であった。

    沖縄本島で丁寧に育てられたもとぶ牛を使用。赤身の美味しさがしっかりと際立つ

 主菜は、もとぶ牛を炭の上でゆっくり転がしながら焼くジューシーなロースト。付け合わせはパパイヤの酢漬けと発酵させたバナナ、スライスしたターム(タロイモ)を重ね、バターでコンフィしたほのかに甘いミルフィーユ。別皿の骨の中には骨髄と島こしょう、ピパーツのソースがたっぷり入っている。ソースを添えて食べると、とろけるような旨みがたまらない。敷き皿には生ピパーツとその葉を敷き詰めて、沖縄の風土を強く感じさせる。

 沖縄の食材と先人の知恵を、現代的な技術や考え方で変換した「シルー」の料理は、五感を刺激し、沖縄の旅に新たな思い出をともすに違いない。

沖縄だから生まれた、ここにしかないカクテルとともに

    ペアリングコースで使用されるはカクテル3種類。それぞれに使用した花やハーブを添えて

本店では、カクテルを含むペアリングのドリンクがフロリレージュの魅力の一つにもなっているが、沖縄でもまた、沖縄のハーブや野菜で作る島だけのカクテルが楽しめる。左から沖縄産フルーツトマトと昆布と鰹のだしの旨みの濃いカクテル。ベルガモットフレーバーの塩、ドライトマト、紫蘇を添えて。真ん中がピパーツと甘酒、シークワーサーを卵白でマイルドに仕上げたサワーカクテル。右が、ホーリーバジルと三品茶、パッションフルーツ、エルダーフラワーの爽やかなカクテル。いずれも、ハーブを漬け込んだウォッカを用いるか、香りを抽出したエッセンスウォーターを用いるかで、カクテルにもモクテルにもなる。めくるめく香りが、料理の印象を一層鮮やかに彩ってくれた。

ハレクラニ沖縄 メインダイニング 【SHIROUX】

  • 住所:沖縄県国頭郡恩納村名嘉真1967-1
    電話番号:0120-860-072 / 098-953-8686
    ※予約・問い合わせは平日 9:00~18:00の間
    営業時間:ブレックファスト 7:00-11:00 (L.O.10:30)
    ディナー 17:00-23:00 (L.O.21:00)

ハレクラニ沖縄に泊まるなら、開業記念宿泊プランがおすすめ!

 もちろん、旅の楽しみは食だけにあらず。オアフの客室同様、真っ白なウッドブラインドから差し込む光が印象的なゲストルームで、どこまでも碧い海を見ながらくつろぐ至福の時間。シルーに隣接したバーから眺めるサンセットの豪華さはたとえようもない。夢の世界へと誘うスパのクオリティの高さも国内屈指。また、プロが指南するマリンスポーツもオプショナルで楽しめる。そんなマリンゾートの最高峰ハレクラニ沖縄では、開業を記念して、2020年3月31日まで(但し、12月28日~1月4日を除く)、朝食とホテルのレストランおよびスパで利用できる1万円のクレジットがついた宿泊プランを提供している。この機に、ぜひ、至極の時間を堪能してみたい。

開業記念プラン:1室 ¥43,505~(税金・サービス料込み)

    爽やかな中にも格調の高さを感じさせる、落ち着いたゲストルーム。すべての部屋がオーシャンビューだ

    サンセット棟前からの夕日は本当に美しい

その料理を食べに旅に出たい!国内外のホテルダイニング情報はこちらから

この記事を作った人

撮影/大城亘 取材・文/小松宏子

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