ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2020.09.15グルメラボ

薪と炭があぶり出す極上の一皿が楽しめる名店4選

食材の持つポテンシャルを余すことなく引き出す調理法、それが薪火焼きと炭火焼きである。原始の火がもたらす熱量によって素材ごとの特有の持ち味は凝縮され、さらなる旨みへと変化し、えも言われぬ至福の味わいとなって結実する。ここでは、そんな薪火焼きと炭火焼きを駆使したイタリアン、フレンチの名店を厳選してご紹介しよう。

タクボの十勝田くぼ牛サーロインの薪焼き

【トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ】目黒

あくまでもイタリアンらしくがモットー。見た目よりも旨み重視でシンプルに

    【トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ】の『骨付き豚ロース肉の炭火焼』

    『骨付き豚ロース肉の炭火焼』は2,800円。脂身の旨さも堪能できる一皿は、ぜひ重めの白ワインを合わせてみたい

塩、胡椒を振ってから炭火焼きされた骨付き豚ロース肉。一方の牛ヒレ肉は一切の下味をつけずに炭の熾火でじっくりと焼き上げる。ともに仕上げのオリーブオイルがイタリアンであることを主張するが、あくまでも素材本来の旨みを直に味わってほしいという一念で焼き上げられ、ゲストに供される。

「素材によって塩を振るタイミングも違えば、同じ素材でも状態によって火加減や焼き時間さえ変わります。炭で焼くという至ってシンプルな調理法だからこそ、ひとときも炭場から眼が離せません」と語る店主の阿部之彦さん。繊細な感性で仕上げられる炭火焼きはもちろん、本場のトラットリアを彷彿させる雰囲気の中で味わう季節ごとの前菜、パスタも絶品だ。

【ファロ】代官山

オープンキッチンの中心に据えられた炭火台が「焚き火」という店名を体現

    【ファロ】の太刀魚

    炭火で焼く、くるくる巻いた太刀魚は1本900円。愛え媛ひめの郷土料理・太刀魚の竹巻焼にヒントを得たという

「イタリアンという括りに縛られず、吟味した素材を極力シンプルな形で提供したい。そのために炭火台を店の中心に据えました」と語るシェフの樫村仁尊さん。店名の【ファロ】とは、イタリア語で「焚き火」のこと。気のおけない仲間と、まさしく火を囲むように炭焼きによる料理を堪能してほしいという思いから名づけられたという。

オープンキッチンの中央に位置する炭場では、シェフが厳選した豚の塊肉・ポルケッタや仔羊、さらには旬の魚介や天然のキノコが炭火で焼かれ、その芳ばしい香りだけでワインが何杯も進みそうな空気に包まれる。何より、素材の旨みが凝縮したシンプルな味わいの料理は、炭焼きの醍醐味を余すことなく伝えてくれるのだ。

【ピレネー】軽井沢

シュミネと呼ばれる暖炉が、食の目利きたちの眼と舌を満足させる名店

    【ピレネー】の国産熟成牛

    暖炉焼きはコースのほかアラカルトでも愉しめる。国産熟成牛は1人前4,800円~(写真は2人前)

「フランス南西部を旅した際、レストランの暖炉でゆっくりと食材が焼かれる光景に“料理の原点”を見た気がしました」と語るのは、軽井沢で22年続き、地元の食通たちから絶大な支持を集めるフレンチの名店【プリマヴェーラ】のオーナーシェフでもある小沼康行さん。11年前、素朴でシンプルな料理を提供したいとこの【ピレネー】を開いた。

店内は、暖炉を囲むようにテーブルが並び、自然を取り込むようなテラス席が開放的な雰囲気を醸し出す。シュミネと呼ばれる暖炉で焼き上げられる食材は、若鶏、仔羊、鴨、そして熟成度合いが吟味された国産牛等々。薪火焼きの極上の一皿を、美しいカーブで抜栓の時を待つ7000本もの極上ワインとともに味わいたい。

【タクボ】恵比寿

燃え盛る薪の炎を眺めながら、熾火で焼かれる十勝田くぼ牛を堪能

    【タクボ】の十勝田くぼ牛サーロインの薪焼き

    十勝田くぼ牛サーロインの薪焼きは、13,500円のコースで味わうことが可能。カリッとした表面が旨みとなるので、塩も胡椒もなくても十分に旨い

薪火焼きの醍醐味を求める食通たちが足繁く通う名店【タクボ】。カウンター越しに設えられた特注のトスカーナ暖炉では、厳選された赤身の牛肉や仔羊が焼かれ、コースのメインとして供される。カウンター内に暖炉が設えられているので、熾火をつくるために焚かれる薪の炎を眺めながら杯を傾けるのも一興。

シェフの田窪大祐さんは、「薪火は炭よりも熱量が低いので、近火で、しかも短時間での火入れが可能です。結果、焼き目はしっかりと付きますが中はレア気味となり、内と外のコントラストが明確になる。さらに薪火には、炭には無い水分が含まれていますから肉の表面が乾かずジューシーに仕上がります」と語ってくれた。

タクボ

電話:03-6455-3822
住所/東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1階
営業時間/12時~15時30分(L.O.13時。ランチは水、土、祝日のみ営業)、18時~25時(L.O.23時)
定休日/日曜(月曜祝日の場合、日曜営業、月曜休)
※火をつくるところから始まる薪火に魅せられた、と語る田窪シェフ。コースは10,500円と13,500円の2種類。カウンターのほか個室もある。

この記事を作った人

TEXT:MEN'S Precious編集部
BY :MEN'S Precious2017年秋号より
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

MEN'S Precious編集部

名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。

記事元:MEN'S Precious

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(11/17~11/23)

エリアから探す