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本田圭佑選手の元専属シェフが開いた“循環型レストラン”|【funachef(フナシェフ)】大阪・天満

グルメ店がひしめく大阪・天満の地に、東京の「タテルヨシノ」やパリの「ステラマリス」などの名店で修行を積んだ船岡勇太シェフが‟循環型レストラン”なる店をオープン。本田圭佑選手の専属シェフとして世界を飛び回った彼がたどり着いた料理は、困っている人を笑顔に変える「地球にやさしい料理」でした。

フナシェフの料理「新玉ねぎのムース」

世界を渡り歩いたシェフが開いた“循環型レストラン”

お店があるのは、大阪・天満の喧騒から少し離れた、住宅街の一軒。家のような建物の2階にあるため、ここを目指して来なければ絶対に分からない、まさに隠れ家です。

    フナシェフの居心地のいい雰囲気の内観

    壁には濾した後のコーヒー豆が練り込まれています

細い階段を上ると広がるのは、天井が高く、どこか和の風情のある空間。大理石の調理場と1枚板のカウンターが美しく、意匠あるダウンライトでくつろげる店なのですが、実はほとんど廃材を利用して作られているというから驚きです。

    明治時代からある木材を再利用して作った食器棚

    明治時代からある木材を再利用して作った食器棚

シェフの船岡勇太さんは、東京【タテルヨシノ】やパリの【ステラマリス】など、名だたる名店で研鑽を重ねた人物。2018年からはサッカー選手の本田圭佑さんの専属シェフも務めた実力派。

    船岡勇太シェフ(中央)と、スタッフの眞下仁義さん(左)、小林健太さん(右)

    船岡勇太シェフ(中央)と、スタッフの眞下仁義さん(左)、小林健太さん(右)

本田選手に帯同して各国を渡り歩く中で、カンボジアの貧困層の食の現実や、環境先進国オランダのフードロスへの取り組みに触れ、「Reduce(減らす)」「Reuse(繰り返し使う)」「Recycle(再資源化)」の3Rをテーマに、食材や材料を最後まで使い切る“循環型レストラン”を開店しようと決意したそうです。

おいしいのに売れ残ってしまう食材をつかった“一期一会のフルコース”

こちらで味わえるのは、卸売店と一緒に吟味した鮮魚やお肉、船岡シェフの地元滋賀をはじめとする農家直送の野菜の中から「おいしいけれどサイズや見た目の問題で売れ残りそうな食材」を用いたコース料理。

食材からインスピレーションを受け、季節やその日の天気、ゲストの気分にも配慮して考案する一期一会のフルコースが味わえます。ランチは税込6,500円、ディナーは税込13,000円~の、予約制。ここからは、ある日のコースの一例をご紹介します。

『カニとアボカドの千枚漬け巻き ワサビクリーム』
  • カニとアボカドの千枚漬け巻き ワサビクリーム

  • 千枚漬けの酸味と、さっぱりとしたワサビクリームがカニの風味を引き立て、キャビアの塩気とほうれん草の青味があと口に心地よく残ります。

この日の前菜は、カニとアボカドを千枚漬けで巻き、ワサビクリームとキャビアをトッピングしたひと品。ほうれん草の捨ててしまう部分を余すところなく、乳酸発酵させてパウダーにして添えています。

『新玉ねぎのムース 昆布とライムのジュレ 車海老のマリネ添え』
  • 出汁のジュレの豊潤な旨味が玉ねぎ本来の甘みを引き立て、やわらかな海老が食感のアクセントに。時折感じる、クリーミーな雲丹の塩気もたまりません。

  • 新玉ねぎのムース 昆布とライムのジュレ 車海老のマリネ添え

カクテルグラスの中に艶やかな花畑が出現するこちらは、おいしいのに売れ残ってしまう玉ねぎの味を活かして塩だけを加えたムースと、何回も出汁をとった後の本来なら捨ててしまう昆布に、焼き魚や骨を加えたジュレを合わせたもの。半生に仕上げた形が不揃いな車海老と、つぶし雲丹もトッピングされ、彩りを添えています。

『ホワイトアスパラガスと琵琶マスのカネロニ パッションフルーツとほおずきのソース』

    ホワイトアスパラガスと琵琶マスのカネロニ パッションフルーツとほおずきのソース

“豊かな春”をイメージしたという次の皿は、ホワイトアスパラガスを巻いた琵琶マスに、パッションフルーツとほおずきのソースを合わせたもの。提供時に温かいオリーブオイルをかけることで、自然環境が壊れゆくイメージを喚起させるメッセージ性のあるひと品です。

『河内鴨のたたき 滋賀野菜のおひたし 新生姜ソース』

    河内鴨のたたき 滋賀野菜のおひたし 新生姜ソース

河内鴨のたたきの下にカブを敷き、滋賀野菜のおひたし、新生姜のソースを合わせたこちらは、鴨が自然の中を泳ぐ姿をイメージ。驚くほどやわらかな鴨の肉々しさと、カブの甘みや野菜それぞれの風味を、はちみつを加えた新生姜のソースがやさしくまとめてくれます。

『小麦の皮のパン』
  • 小麦の皮のパン

  • 添えられたバターナイフは、資材の余りを使って作ったもの。トレイはくるみの木を削る際のロスの少ない手彫りしたもので、パンの水分を自然にとって、カリっとした食感を保ってくれます。

『イチゴとホワイトチョコレートのプリン 赤紫蘇風味の泡を添えて』
  • 5色の紫陽花を表現したデザート。いちごのコンフィチュールとホワイトチョコ、爽やかな赤紫蘇といちごの絞り汁を合わせた泡、トリュフの香りが混じり、食べ進むごとに違った味わいが楽しめます。

  • イチゴとホワイトチョコレートのプリン 赤紫蘇風味の泡を添えて

ドリンクも生産者から届くものが用意されており、この日は滋賀県比良で作られた赤紫蘇のジュース。フルーティな香りと赤紫蘇の爽やかさでついゴクゴク飲んでしまいます。また、信州の生産者から直送されるぶどうジュースは、無添加、無補糖で原材料は100%ぶどうのみ。深いコクと酸味がぶどうそのもののおいしさを再発見させてくれました。

  • 『赤紫蘇のジュース』800円(税抜)

    『赤紫蘇のジュース』800円(税抜)

  • 『ぶどうジュース』800円(税抜)

    『ぶどうジュース』800円(税抜)

“命をいただく”料理で、困っている人を笑顔に変えたい

船岡シェフが目指すのは、世界の困っている人を助け、喜ばせる料理。だからこそ廃棄される材料や食材をとことん使い、“命をいただく”ことを意識して、「人にも地球にも環境にもやさしい、フードロスへの取り組みが当たり前の店にしていきたい」と語ります。

    深皿を作る際に余る中の土を使って作った信楽焼

    食器は全て信楽焼。こちらは深皿を作る際に余る中の土を使って作ったもの
      

本田選手に帯同した2年で8ヵ国を巡ったそうで、そこで出会った貧困層の子供に助けてもらったことも。そんな子供たちはもちろん、その親たちも笑顔にするために、プノンペンに料理学校を作るプロジェクトも進行しているのだそう。

その真摯な姿勢と、コースの皿数を決めずお腹いっぱいまで食べさせてくれるお母さんのような温もりが人を集め、リピートせずにはいられない一軒です。すでに予約がかなり困難になっているそうですが、少し先を目指して、大切な方やご家族とぜひ来店してみてはいかがでしょうか。

この記事を作った人

この記事を作った人:笹間聖子(フリーライター)

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