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更新日:2020.07.25グルメラボ

料理人の愛読書をご紹介「シェフの本棚」|【HAJIME】米田肇さん

料理人の方々がどんな本を読み、どんな学びを得ているのか――、そんな料理人の愛読書をご紹介する「シェフの本棚」。生き方や商売に思い悩み、人生の転機を迎えたときも、「読書」からの〝刺激〞を大切にしてきたという【HAJIME】米田肇さん。そんな彼が料理人として、そして経営者として成長するために必要としてきた本とは。

料理人の愛読書をご紹介「シェフの本棚」|【HAJIME】米田肇さん

~愛読書をご紹介してくださるのは~
【HAJIME】 米田肇さん
  • 1972年、大阪府生まれ。電子部品メーカーに就職した後、26歳で料理人に転身。2008年に自身の店を持つと、当時、ミシュラン史上最短となる1年5カ月で三つ星を獲得。「Asia's50 Best Restaurants 2018」では、6年連続の入賞を果たした。

誰もやっていないことに挑戦するのがやりがい

2008年に自分の店を持ってしばらくした頃のことです。当時は単価を低く設定していたこともあり、毎週のようにリピートしてくださるお客さまも多かったのですが、それによって、私は今まで料理人として学んできたことをすべてやり尽くしてしまった。たとえ満席であっても、ロボットのように同じ作業を繰り返し、同じ料理をつくることを嫌う私は悩みました。

それで、ふと、芸術家が自分の内側からどうやって表現しているのか知りたくなり、目につく本を片っ端から読んでいったのです。

    『今日の芸術』岡本太郎著/光文社知恵の森文庫

    『今日の芸術』岡本太郎著/光文社知恵の森文庫

岡本太郎さんの『今日の芸術』には特に感銘を受けました。そこには、「芸」とはすでに存在しているものに磨きをかけて継承していくこと、「芸術」とは創造であり、同じことを繰り返してはならない、というようなことが書かれていた。

料理も芸術になりえる。私は自分の根源を見つけて心が震えました。今はガストロノミーをベースに生命学、生物学、脳科学などを取り人れて独自の美意識と世界観を表現していますが、それを実践するに至ったのはこの本に出合えたからかもしれません。

    『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール著/NHK出版

    『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール著/NHK出版

また、『あたらしい働き方』という本は、経営者としての私に労働環境を変革するきっかけを与えてくれました。かつては昼夜営業していたのが今は夜のみ。1年ごとに給料見直し、スタッフのために休憩室を設けるなど、徐々に手を付けています。今や少子高齢化の時代。求人には苦労します。新しい試みを他に先駆けてやることで一緒に働きたいと思う人が増えたらうれしいですね。

    『あたらしい働き方』本田直之著/ダイヤモンド社

    『あたらしい働き方』本田直之著/ダイヤモンド社

振り返れば、大阪という土地で高価格帯の店をやること自体、チャレンジでした。大阪では難しい、すぐにつぶれるとよく言われたものですが、はやっているからといって似たような店を開いたらお客さまの取り合いになるでしょう。ならば、人がやっていないスタイルで勝負しないと。『ゼロ・トゥ・ワン』を読んでは、その考えは間違っていないと再確認し、自分を鼓舞しています。

~米田さんの愛読書3選~ 『今日の芸術』
  • 岡本太郎著/光文社知恵の森文庫

    絶えず新たな挑戦をし続けてきた希代の芸術家・岡本太郎による芸術論集。「芸術はうまく、美しく、快いもの」という価値基準を覆そうとする彼の哲学はアート関係者ならずとも参考になるはず。

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』
  • ピーター・ティール著/NHK出版

    投資家としてシリコンバレーで絶対的な影轡力を持つ著者が、自身の母校であるスタンフォード大学で学生向けに行った講義の内容を収録。起業についての考え方が基礎からわかりやすく語られている。

『あたらしい働き方』
  • 本田直之著/ダイヤモンド社

    古い価値観や常識に縛られない働き方とはどういうものなのか。ハワイを拠点にノマドライフを実践する著者がパタゴニアなど日米約20社の先進企業を取材し、その中から得られた確信をつづっている。

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