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更新日:2020.07.30食トレンド

多彩なメニューとペアリングで織りなす、少量多皿コースのチャイニーズ|【Series(シリーズ)】六本木一丁目

2020年4月、六本木「虎峰」の姉妹店としてオープンした【Series(シリーズ)】。「虎峰」と同様に、少量多皿のおまかせコースを展開しています。特筆すべきは、全26品のスタンダードコースが6,800円という驚きのプライス! その価格以上に満たされること間違いなしの多彩なメニューの一部をご紹介します。

seriesのフカヒレ土鍋煮込みごはん

少量多皿コースが楽しい、六本木【虎峰】の姉妹店が登場

【Series】が構えるのは、飯倉片町交差点ほど近くの外苑東通り沿い。エントランスすぐにはバーカウンター、ゆったりとしたテーブル席、そして、さながらシェフズテーブルのように活気あふれる厨房を臨むカウンターを配した空間です。

    seriesの内観

    壁面には大理石をあしらい、シックで落ち着いた空間に。ソファシートもあるテーブル席はゆったりと食事を楽しめる

皮蛋豆腐や大連産くらげの前菜、A5ランクの山形牛サーロインをつかったよだれ鶏ならぬよだれ牛など続くコース前半、シグネチャーディッシュとして登場する手羽先の一品。飴色の皮は食感よく、噛み締めると信玄鶏の旨みとともにフォアグラの濃厚なコクが広がります。

    seriesのカウンター

    キッチンを目の当たりにする全4席のカウンターは、1か月先まで予約が入っているほどの人気

まずフォアグラはチャーシューのソースに一晩漬けて、手羽先は中国の発酵調味料「南乳」でマリネしてから水飴をかけて陰干しに。手羽先の中にフォアグラを鋳込み、180℃の油を何度も回しかけることにより、表面をパリッと仕上げています。一見するとごくシンプルなのですが、驚くほどの手間をかけてこそ完成するメニュー。

    seriesの山形県産信玄鶏手羽先フォアグラ包み焼き

    『山梨県産信玄鷄手羽先フォアグラ包み焼き』6,800円(税抜)のスタンダードコースより

    seriesの山形県産信玄鶏手羽先フォアグラ包み焼き

    外はパリッ、中はジューシーに仕上げた手羽先の中にはとろけるようなフォアグラが

蓋を開けると湯気があがる蒸籠には、熱々の点心が。鶏肉に紫蘇の風味をプラスしたり、皮に季節野菜のモロヘイヤをつかったり、トリュフの芳醇な香りを包み込んだり、素材づかいにひと工夫がなされています。コース中盤に供される、色とりどりの点心は目にも楽しい!

点心師の資格を有するスタッフも加わり、さらにオリジナリティある点心が繰り出される予定だそう。

    seriesの鶏肉と紫蘇蒸し餃子やトリュフ小籠包、モロヘイヤ 海老蒸し餃子

    6,800円(税抜)のスタンダードコースより。手前から時計回りに『鶏肉と紫蘇 蒸し餃子』『トリュフ 小籠包』『モロヘイヤ 海老蒸し餃子』

コース終盤にはいよいよ、嬉しいご飯ものが登場します。フカヒレは、上質な鶏だけでなく、鴨とフォアグラを素材にした金湯スープで煮込んだという贅沢さ。旨みがぎゅっと凝縮した味わいに、20品以上を食べ終えた後でも満足度は高まるばかり。ここから胡麻の風味豊かな特製坦々麺、デザート3品が続く圧巻のコースです。

    seriesのフカヒレ土鍋煮込みごはん

    10,800円(税抜)のシグネチャーコースより、『フカヒレ土鍋煮込みごはん』。※スタンダードコースに+3,000円で炒飯と交換可能

ランチタイムでは品数を少なめにした、全16品の完全予約制コースが3,800円(税抜)で楽しめます。こちらも前菜から点心、メイン、〆の麺にデザートまで盛りだくさんの内容。ゆっくりと語らいながら味わいたい、休日ランチにいかがでしょうか。

オリジナリティが光るドリンクペアリングにも注目

店名が表すとおり、料理とドリンクで構成する「連なり」がコンセプト。是非ともペアリングをオーダーして、バラエティに富んだ26品の味わいを一層深めたいもの。

ワインは仏・ブルゴーニュ地方のものをメインに、中華料理に合うものを300本以上も取り揃えています。マネージャーの進藤幸紘さんにおまかせすれば、リクエストに適う1杯を選んでくれるはず。

    300本ものワインが収蔵されているseriesのワインセラー

    セラーには300本以上ものワインを収蔵。ペアリング8杯5,800円(税抜)~

お酒が飲めない人もご安心を。独創的なノンアルコールドリンクは、まるでワインを飲むように華やいだ気分にさせてくれます。

例えば、ピノノワールをイメージした1杯。クランベリーやドライビーツ、シナモン、アニス、乾燥ポルチーニ、ローズティーなどをブレンドして、ワインと見紛うようなヴィジュアルに。一口飲めば、重層的なフレーバーがふわっと広がります。

    seriesのオリジナルブレンドティー

    進藤さんがピノノワールをイメージして、ドライフルーツやスパイスなどをブレンドしたオリジナルティー

ランチタイムや接待など、「ワインは好きだけどアルコールは控えなきゃ…!」といったシーンにもぴったりです。

    seriesの阿里山烏龍茶

    香りと旨みが豊かな『阿里山烏龍茶』1,500円(税抜)

忘れてはならない中国茶は、茶器一式を用いる本格的なもの。50~60種類ほど取り揃えたお茶の個性を引き出すべく淹れる、ティーマスターの藤本真梨奈さんのよどみない手さばきは見惚れてしまうほど。ワインとノンアルコールドリンクを交えたミックスペアリングにも、臨機応変に対応してくれます。

    ティーマスターの藤本さん

    お茶を淹れてくれるのは、ティーマスターの藤本さん

惜しまぬ手間と厳選素材によって、インパクトのある26品に

26品もの多彩なメニューを手掛けるのは、金子優貴シェフ。日本に現存する最古の中華料理店【聘珍樓】で王道の広東料理を習得し、「マンダリン オリエンタル 東京」の【センス】で現代的なプレゼンテーションを学び、シンガポール生まれの【パラダイス ダイナシティ銀座】でアジア各国のエッセンスを取り入れ、満を持して【Series】のシェフに就任。

    seriesのシェフ金子優貴さん

    【聘珍樓】や【センス】などを経て、シェフに就任した金子優貴さん

コースのラインナップは、これまでのキャリアの賜物。海老チリや海老マヨといったオーセンティックなメニューは、『海老 ビスク風チリソース』や『海老 マンゴーマヨネーズ』など技法とアイデアを凝らした一品にアレンジ。夏の薬膳食材・冬瓜は伝統的な上湯蒸しスープとして供され、空心菜はマレーシア醤炒めとしてアクセントが効いた味わいに。

    seriesでつかわれているスパイスと薬膳食材

    季節感を堪能できる素材と、スパイス・薬膳食材を駆使する

少量多皿のコースを展開するにあたり「最後までおいしく食べられるようにポーションや油分に気を配り、緩急のある構成になるように心掛けている」という金子シェフ。そのために、これまで磨いてきた技はもちろんのこと、食材選びにもこだわりがあります。

季節を存分に楽しめるように日本の旬野菜をふんだんに取り入れ、フォアグラやトリュフなど中華というジャンルを超えた素材も扱っています。ただし、決してフュージョン料理にするのではなく、中華・広東に根ざしたものに仕上げる、というのが金子シェフの信条。

そして「少量だからこそ、食べて印象に残るようなインパクトを出す」ことも目指しているそうです。例えば、デザートの一品『杏仁豆腐』は簡易な杏仁霜をつかわず、杏仁から漉してつくるもの。その手間をかけることで風味のよさは段違いの仕上がりに。とはいえ、品数を考えたら、その労力は大変です!

    seriesでつかわれる有田焼の器

    古いものから現代の作家の作品まである有田焼の器

多用されている有田焼の器も、金子シェフにインスピレーションを与えている要素の一つ。白い皿が一般的な中華と違い、さまざまな形や色使いの器をつかうことで、新たなプレゼンテーションの料理が生まれることもあるのだとか。「こんなにたくさん!」 と思った26品がぺろりと完食できてしまうのは、このように確かな技術ときめ細かな心配りゆえ。

    隠れ家的な雰囲気があるSeriesの外観

    隠れ家的な雰囲気があるSeriesの外観

おいしいものを少しずつ食べたいという欲張りに応えてくれる【Series】。一品ごとに楽しい会話が生まれるから、リラックスした会食やデートにおすすめです。ランチなら、食いしん坊仲間が集まる女子会も盛り上がるはず。

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/首藤奈穂(フリーライター)

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