ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2021.03.27食トレンド

あのカハラホテルがプロデュースした初の日本料理店が人気|横浜【日本料理 濱】

1964年ハワイ・ホノルルに開業以来、そこで流れる上質な時間に世界中のセレブリティたちが魅了されてきた「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 」。国外初の拠点を2020年8月横浜に誕生させた。「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」の【日本料理 濱】は、ハワイにもない、カハラブランド初となる日本料理店だ。その土地の文化を取り入れ、温かくもてなす“カハラスピリット”が満ちている、話題のレストランを紹介しよう。

日本料理 濱

16室すべてが個室の日本料理レストラン

近代的なビルが林立する横浜のみなとみらい地区に開業した「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」は、その大胆な曲線を用いた建物や、天井の高い空間で、ゲストを高揚させる。

    「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」の3階にある【日本料理 濱】のエントランス

    「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」の3階にある【日本料理 濱】のエントランス

今回の目的地である【日本料理 濱】に足を踏み入れると、わあと歓声を上げそうになった。窓の外には水盤がぐるりと張り巡らされていて、あたかも水面に浮かんでいるかのような感じを覚えたのである。

もともと「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」は、1964年にハワイ・オアフ島で開業して以来、現地の人々の生活や文化、習慣を尊重するスピリットを携え、各国の国賓や皇族をはじめとするセレブリティを魅了してきた。それゆえに、グローバル展開の第一弾となる「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」のレストラン【日本料理 濱】もそれをしっかりと継承。デザインにも横浜のウォーターフロント「みなとみらい」らしさが表現されている。

    個室の一例。和と洋がほどよくミックスした空間では窓の外で水がたゆたうのを感じながら食事できる

    個室の一例。和と洋がほどよくミックスした空間では窓の外で水がたゆたうのを感じながら食事できる

また、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」の魅力を語るうえで、卓越したホスピタリティーを欠かすことはできないが、【日本料理 濱】においてもそれは健在のようだ。全16室はなんと完全個室。10名定員の特別室のほかではルームチャージがかからない。ゲストに心置きなく寛いでほしいという想いの表れとも言えるだろう。

地元の食材をリスペクトしつつ繊細な和食を提案

【日本料理 濱】は「カハラ」ブランド初の日本料理店である。一応、誤解なきように申し上げておくと、ハワイアンテイストを盛り込んだ和食が供されるわけではない。空間デザインと同様にハワイから受け継いだ“スピリット・オブ・カハラ”、つまりローカルリスペクトの精神に則り、横浜の地だからこそ愉しめる料理にこだわっている。

    料理長の青木信啓さんは湯河原温泉の老舗旅館「ふきや」や料亭の味を楽しめるダイニング【金田中 草】で料理長を務めた人物。神奈川県出身でもあり、地元食材の発掘に気合いが入る。

    料理長の青木信啓さんは湯河原温泉の老舗旅館「ふきや」や料亭の味を楽しめるダイニング【金田中 草】で料理長を務めた人物。神奈川県出身でもあり、地元食材の発掘に気合いが入る。

例えば、1万3500円(税サ別 ※以下同)のコース「柳花」(全8品)の名刺代わりの一皿である先付には、神奈川県・相模原市の「恵壽卵」を使ったムースが登場。濃厚な味わいが新鮮さを物語っている。まさに地の利が生きた料理だ。

    濃いオレンジ色が特徴の恵壽卵を使ったムースの上には、生の雲丹や海老の素揚げ、カダイフが乗り、さまざまな食感を楽しませてくれる。

    濃いオレンジ色が特徴の恵壽卵を使ったムースの上には、生の雲丹や海老の素揚げ、カダイフが乗り、さまざまな食感を楽しませてくれる。

    恵壽卵はあまり市場に出回らない、貴重な逸品だ。

    恵壽卵はあまり市場に出回らない、貴重な逸品だ。

また、横浜発祥の牛鍋も【日本料理 濱】らしいアレンジを加えて仕上げられる。同じ神奈川県下にある味噌蔵から取り寄せた八丁味噌にカシューナッツ、クルミ、アーモンド、ねぎ、生姜、山椒などをブレンドしてオリジナルの“香り味噌”を作り、それを鍋に落として煮込むのだ。香ばしい味噌の香りが食欲を刺激し、味の染みた牛肉を温泉卵にくぐらせて味わえば、多幸感で満たされることだろう。

    1万円のコース「明月」に含まれる「濱牛鍋 黒毛和牛ロース」。

    1万円のコース「明月」に含まれる「濱牛鍋 黒毛和牛ロース」。

ちなみに筆者が特に唸らされたのは、「好日」というコースの椀物「すっぽん変わり玉 ふかひれ」。すっぽんのスープを閉じ込めた白玉とフカヒレを入れたところにだしを張った一品だ。

    お椀の蓋を取るとだしの香りが広がる。まずはだしを味わおう。そして、白玉をつついてほしい。割れたところからすっぽんのスープが広がって、味変を楽しむことができる。

    お椀の蓋を取るとだしの香りが広がる。まずはだしを味わおう。そして、白玉をつついてほしい。割れたところからすっぽんのスープが広がって、味変を楽しむことができる。

だしを存分に味わう椀物は日本料理の要。【日本料理 濱】料理長の青木信啓さんによれば、同店では長期熟成によって旨みを凝縮させた本枯節と蔵囲昆布から一番だしを引き、追い鰹でさらに香りと旨みを高めているという。また、フカヒレにも鰹のだしで下味をつけ、鰹のだしの素晴らしさを伝えることにこだわったそうだ。だしにはほとんど味を付けていないそうだが、その味わいは実にふくよかで力強く、印象に残っている。

県下13の酒蔵とコラボレートして造ったオリジナルの日本酒も!

【日本料理 濱】では日本酒にも注目していただきたい。なぜならば、神奈川県内で日本酒を製造する酒蔵13軒とタッグを組んで、それぞれに「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」限定の日本酒を造ってもらうという活動を実施。リストにはここでしか飲めない非売品が揃っているのだ。

    月替わりの3種飲み比べセット(1杯90㎖/4000円)も人気。

    月替わりの3種飲み比べセット(1杯90㎖/4000円)も人気。

神奈川県で日本酒?と意外に思う方もいらっしゃるかもしれないが、実はその製造の歴史は古く、鎌倉時代にまで遡ると言われている。現在は蔵元数がだいぶ減少し、13軒が残るのみとのことだが、例えば酒米づくりから精米・醸造まで一貫して行う泉橋酒造など、こだわりに溢れたところばかりだ。ぜひ、その美酒を味わいつつ、「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」のローカルリスペクトを実感してほしい。

この記事を作った人

撮影/玉川 博之 取材・文/甘利美緒

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(4/18~4/24)

エリアから探す