ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2021.06.23食トレンド

<※閉店>15年前、学生時代からの夢。料理人二人が開いた新感覚イタリアン【Leon akasaka】赤坂

【割烹TAJIMA】の田島和彦氏が代表を務める株式会社BAMFの2店舗目として2021年5月にオープンした【Leon akasaka】。じつは田島氏とシェフの溝尾氏は専門学校時代からの友人です。「いつかは一緒に」という夢を叶えました。「教科書通りではなく、自分でストーリーをつくり、おもしろい店をつくっていきたい」と意気揚々の溝尾氏。どんなお店を目指しているのかうかがってきました。

※このお店は閉店しました。

自家製からすみのパスタ

料理も会話も中毒性のある楽しさを追求。ちょっと寄りたくなる店に

    外観内観ともにグレーをベースに、差し色として鮮やかなグリーンが使われ、シンプルモダンな印象

    外観内観ともにグレーをベースに、差し色として鮮やかなグリーンが使われ、シンプルモダンな印象

一見「何のお店だろう?」と思わせる店名とインテリア。スタイリッシュな雰囲気にちょっと緊張してドアを押すと、オープンキッチン、カウンター席で冗談が飛び交い親しみやすい空気が流れています。「僕たち料理人が楽しく仕事をしていないとお客さまも楽しめないですよね」と溝尾シェフ。「あの店に行くとなんか面白いんだよね」という印象を残せる料理、お酒、会話で「ついつい足が向く」そんな中毒性のあるおもしろさを探求しているそうです。

    「お客さまと一緒におもしろがってもらえる空間をつくり、常連客を増やしていきたい」と溝尾シェフみずからがサービスも担当する

    「お客さまと一緒におもしろがってもらえる空間をつくり、常連客を増やしていきたい」と溝尾シェフみずからがサービスも担当する

【割烹TAJIMA】とイタリア料理人のコラボが生む新たな面白み

【割烹TAJIMA】の田島和彦氏と溝尾シェフは、専門学校の同級生。田島氏は当時から人を驚かせるアイデアやセンスに長けていたそうです。「ゼロイチが得意な田島、1を10に100にと膨らませていくことが得意なぼく。いつか二人で一緒に仕事をしようと約束して、それぞれ経験を積んできました」と溝尾氏。15年が経ち、ついに夢を実現したのです。

2つのお店を経営することで、食材をある程度まとめ買いできるため、仕入れのコストを下げることができます。こうして、食材はハイクオリティながらも値段はカジュアルな通いやすいお店を実現したのです。しかも田島氏はコロナ禍でも豊洲市場の業者の支援のために食材を買い続けてきました。そういった信頼関係もあり、いいものを安定した価格で仕入れることができるそうです。

    コロナ禍、市場の業者を助けるためにウニをはじめ、鮮魚、青果を買い続け、信頼の絆がますます強固に

    コロナ禍、市場の業者を助けるためにウニをはじめ、鮮魚、青果を買い続け、信頼の絆がますます強固に

共同仕入れなので、和食材の割合は多くなりますが、日本料理の技法も交えながら創意工夫を重ねて生み出す新たなイタリア料理が【Leon akasaka】の個性でもあり、強みになっています。

    『鮮魚のコトレッタ』。魚の骨のだしで炊いた大根の煮物を付け合わせに

    『鮮魚のコトレッタ』。魚の骨のだしで炊いた大根の煮物を付け合わせに

『ミラノ風仔牛のコトレッタ』、つまりカツレツを旬の鮮魚でアレンジしたこの一皿。コトレッタの下には魚の骨のだしでやわらかく煮てみりんと醤油で味付けした大根が隠れています。そしてソースは魚の骨を濃くひいただしにクリームを加えたもの。今までにない組み合わせですが、違和感なくおいしく食べられるのは、素材のよさ、ていねいな仕事、計算された味付けのバランスの賜物なのでしょう。

    『国産和牛のイチボのロースト 原木椎茸のグリルと共に』。プラス料金でウニのトッピングも可能

    『国産和牛のイチボのロースト 原木椎茸のグリルと共に』。プラス料金でウニのトッピングも可能

    『【割烹TAJIMA】のカラスミのパスタ』。田島氏が試行錯誤で生み出した特別なカラスミをふんだんに使用

    『【割烹TAJIMA】のカラスミのパスタ』。田島氏が試行錯誤で生み出した特別なカラスミをふんだんに使用

ワインはお客さまとの距離を縮めるツール。経験や好みに合わせて提案

自身がワイン好きということで、リストを固定するのではなく、試飲会にも頻繁に通い新たな興味を刺激するワインも色々仕入れています。「ペアリングも、ソムリエではなく、料理人の立場から、“新しく出会ったワインに合わせてつくってみました”、あるいは“この料理に合わせてこのワインを仕入れました”など、なぜこのワインを選んだのか、なぜこの料理が生まれたのかなどストーリーを説明してお客さまにもおもしろがってもらいたい」と溝尾氏。

実際のペアリングは……

    『白身魚のコトレッタ』にすすめてくれたワインは、シチリアの土着ブドウ品種でつくられたミネラル豊富なドンナ・フガータの『アンシリア』。味わいの説明だけでなく、ときにラベルに描かれた絵のモチーフなど印象に残る物語を教えてくれたりもします

    『白身魚のコトレッタ』にすすめてくれたワインは、シチリアの土着ブドウ品種でつくられたミネラル豊富なドンナ・フガータの『アンシリア』。味わいの説明だけでなく、ときにラベルに描かれた絵のモチーフなど印象に残る物語を教えてくれたりもします

    イチボのしっとりとした口あたり、脂の旨みと肉厚の原木椎茸の香りと旨みが相乗。そこに合わせるワインは、ジューシーで奥ゆきのある果実味、ほどよく熟成感も味わえる南イタリア・カンパーニア州を代表する『タウラージ』

    イチボのしっとりとした口あたり、脂の旨みと肉厚の原木椎茸の香りと旨みが相乗。そこに合わせるワインは、ジューシーで奥ゆきのある果実味、ほどよく熟成感も味わえる南イタリア・カンパーニア州を代表する『タウラージ』

    カラスミのパスタに合わせるのは、「白で合わせるのが王道ですが、エレガントな香り、若飲みできるバ2016年のバローロで贅沢な雰囲気を盛り上げるのもいいのでは?」と溝尾氏。ゲストの好みに合わせてときに変化球の提案で楽しませてくれます

    カラスミのパスタに合わせるのは、「白で合わせるのが王道ですが、エレガントな香り、若飲みできるバ2016年のバローロで贅沢な雰囲気を盛り上げるのもいいのでは?」と溝尾氏。ゲストの好みに合わせてときに変化球の提案で楽しませてくれます

これからますますおいしい、楽しい、おもしろい店へと進化すること間違いなし

「おいしいお店はたくさんあります。ほかでは体験できないこの店ならではのおいしさも追求しながら、それ以上に、雰囲気づくりにも力を入れていきたい」と熱弁する溝尾氏。若手料理人も育てていきたいと、料理をディレクションしながら、みずからフロアに立ち、ゲストもスタッフも楽しめる店づくりに邁進しています。その溝尾氏の働きぶりも心に響く赤坂の新店。ぜひ覗いてみてください。一度訪れれば、雰囲気、味、コストパフォーマンスのよさを実感でき、ファンになること間違いなしです。

シェフプロフィール:溝尾 歩

    1986年、千葉県生まれ。専門学校卒業後、【カノビアーノTOKYO】に入社。3年勤務したのち、本場を肌で感じるべく短期イタリアに渡る。帰国後、【神楽坂ソプラアクア】などを経て料理学校の同期であり【割烹Tajima】の田島和彦氏が代表を務める株式会社BAMFに入社。イタリア料理との融合の可能性も探るべく日本料理の習得にも励む。2021年4月に【leon akasaka】のヘッドシェフに就任。

    1986年、千葉県生まれ。専門学校卒業後、【カノビアーノTOKYO】に入社。3年勤務したのち、本場を肌で感じるべく短期イタリアに渡る。帰国後、【神楽坂ソプラアクア】などを経て料理学校の同期であり【割烹Tajima】の田島和彦氏が代表を務める株式会社BAMFに入社。イタリア料理との融合の可能性も探るべく日本料理の習得にも励む。2021年4月に【leon akasaka】のヘッドシェフに就任。

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/藤田実子

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(11/15~11/21)

エリアから探す