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更新日:2017.02.27グルメラボ

なぜダメなのか?『食のタブー』の謎に迫る

世界の食文化のなかには『合食禁』や『ハラーム』など、さまざまなタブーが存在します。その中身を丁寧にひも解いてみると、単純に禁止しているというだけではなく、そこに込められた想いが垣間見えてくるのです。

なぜ豚肉が禁忌とされているのか?

 最も古くから豚肉を禁止している宗教はユダヤ教であると言われていますが、実は聖職者の間ですら禁止した理由ついて論争が続いており、はっきりとしたことは分かっていません。

 もともと豚肉は古代ローマ時代から高く評価されており、富裕層から大変人気があったということも伝わっています。その上で、当時は豚肉には雑菌が繁殖しやすかったため感染症から人々を守るために広まったという説や、禁止することで大食の罪を戒め、克己心や人格形成を鍛えるために広められた説などがあるのです。

日本に伝わっている『合食禁』の数々

 日本では、食べ合わせが良くないとされる『合食禁』がいくつも伝わっています。

 たとえば、油は低温になると固まってしまう性質を持つため、古くから油ものと冷たいものを一緒に摂ることは消化不良への懸念から避けるべきと考えられていました。「天ぷらとスイカ」をはじめ、沖縄では「ヤギの肉と冷たい飲み物」も合食禁と伝わっています。ほかにも、「蟹と柿」はともに体温を下げてしまうと言われ悪い食べ合わせとされており、実際にどちらの食品も体温を下げる作用があると言われています。

 反面、根拠を否定されている合食禁もあります。「鰻と梅干」の合食禁は、鰻の脂肪と梅の強い酸味が原因で消化不良を引き起こすと考えられていましたが、梅の酸味はむしろ消化を助け、味覚の面でも相性のいい食べ合わせとされているのです。

 また「おこわとフグ」「たけのこと黒砂糖」の合食禁は、高級食材とされるものの食べ過ぎを抑制する狙いがあったのではないかと考えられています。現代においてもこの二つの食材の組み合わせはほとんど見られません。

『食のタブー』の正体は、人が人を想う気持ちなのかもしれない

 「食のタブー」の背景には、ものによってさまざまな理由があるものです。でも、元をたどると「人が食によって心身を侵されない」ために決められているのではないかと思われるものが多く見られます。安全な食事をすることで健康を損なわないよう気を付けることももちろん大切ですが、人としての理性をきちんと持つようにという教えを、食を通じて伝えようとしているのかもしれません。食べるものを自由に選ぶことができる現代日本では『食のタブー』を意識する機会は少ないかもしれませんが、時にはその裏側にある想いを意識して、体にも心にも良い食事をとりたいものですね。

この記事を作った人

坂野 絵美(フリーライター)

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