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更新日:2021.11.21食トレンド

あのレジェンドの新店は、洋食&とんかつがWで楽しめる!【紀尾井町 とんかつ・洋食ひとみ】東京・赤坂

とんかつの名店・銀座【かつかみ】の初代料理長を務め、高田馬場で話題となった【とんかつ ひなた】を人気店にした日向準一氏が、自身の集大成となる店【とんかつ・洋食ひとみ】をオープン。じっくりと2週間かけてとるデミグラスでつくる洋食、惚れ込んだ銘柄豚「長右衛門」のとんかつなど、洋食好きにはたまらない逸品が並ぶ。お腹を空かせて訪れたい注目店を取材した。

とんかつ・洋食ひとみ

確かな目利きで選んだ素材を、熟練の技でご馳走に

とんかつと洋食ー出自は西欧ながら、日本の食文化と巧みに融合。日本の味として定着したこの2つの柱をコンセプトに、今年の8月、紀尾井町にオープンしたのが、ここ【とんかつ・洋食ひとみ】だ。ご主人の日向准一料理長は、東京會舘系のレストランで修業を積み、その後は、和食からフレンチまで様々なジャンルの料理に携わってきた歴戦の強者。とんかつ界においても、いわばレジェンド的存在として知られ、あの【銀座かつかみ】では、とんかつを部位別にコースで出すスタイルを考案、一躍注目を浴びたことは記憶に新しい。日向料理長曰く「この店は、自らの集大成。」だそうで、それだけに、とんかつにも洋食に対しても気合いの入れ方が半端ではない。

    一見、割烹を思わせる天然木を使用したカウンター席。ここならお一人様でも、もちろんOK。そのほか、テーブル席や接待やご家族での集まりにもおすすめの個室もある。

    一見、割烹を思わせる天然木を使用したカウンター席。ここならお一人様でも、もちろんOK。そのほか、テーブル席や接待やご家族での集まりにもおすすめの個室もある。

例えば“とんかつ”。まずは、原料となる豚肉から厳選。いろいろと試した末に決めたのは、茨城県岩瀬牧場の長右衛門豚。「茨城梅山豚にデュロック種にバークシャー種を掛け合わせた四元豚で、脂身の甘みは言うまでもなく、肉自体の旨味が実に深いんです。」と絶賛する。それも、8ヶ月以上(通常は6ヶ月ほど)もの日数をかけてしっかりと肉を育てているうえ、餌も完全自家発酵の飼料と、健康面への配慮も万全。健やかに育った豚なればこその味わいなのだろう。その長右衛門豚を、ここでは、ヒレやロースの定番部位はもとより、しきんぼうにシンタマ(外腿肉の一部)といった稀少部位まで余すところなく楽しませてくれる。

    1週間に3頭しか出荷されないという貴重な長右衛門豚のリブロース。肉の赤身が濃く、サシも入っている。上部の脂身と肉が層になっている部分が“かぶり”。

    1週間に3頭しか出荷されないという貴重な長右衛門豚のリブロース。肉の赤身が濃く、サシも入っている。上部の脂身と肉が層になっている部分が“かぶり”。

中でも、日向料理長の一押しは、リブロース。「リブロースは、肩ロースの隣にある部位なので味が濃く、ロースにはない“かぶり”が上に付いている。ここが、脂身を程よく噛んでいて柔らかくて旨いんですよ。」そう言いつつ、ふかふかのパン粉を纏った肉厚のリブロースを揚げ油に投入。思いのほか静々と油の中を泳がせている。聞けば、油の温度は160〜170℃とやや低め。そこで約8分間ゆっくりと揚げたのち、油から上げたらそのまま2〜3分ほど置いて余熱で火を通す。これが、日向料理長の考える“とんかつの流儀”だ。

    西洋料理から和食、アジア料理に焼肉まで幅広いジャンルで腕を振るってきた日向准一料理長、60歳。初代料理長を務めた銀座【かつかみ】では、とんかつをコースで提供する新しいスタイルを考案。話題を呼んだ。

    西洋料理から和食、アジア料理に焼肉まで幅広いジャンルで腕を振るってきた日向准一料理長、60歳。初代料理長を務めた銀座【かつかみ】では、とんかつをコースで提供する新しいスタイルを考案。話題を呼んだ。

カットした断面にうっすら肉汁が浮かび上がるのが美味の証。その旨味のエキスが無くならぬうち、すかさずかぶりつけば、豊かな風味が鼻腔を抜けていく。続いて舌に広がる脂の甘みを伴った滋味溢れる美味しさには、思わず笑みがこぼれること間違いない。食欲をそそる芳ばしい香りは、ラードを使えばこそだ。が、冷めても重くならぬようにと、サラダ油と半々に割っている。「衣に包んて揚げるフライは、いわば蒸し物。旨味も香りも逃すことなく衣の中に閉じ込められる。だから、素材のポテンシャルを最大限に引き出せるんです。」とは、日向料理長。直に火が当たらない分、食材への本体へのダメージも少ないというメリットもある。

    かつをカットするや、その断面にうっすら滲み出る透明な肉汁。これが旨味の証。余熱で火を通していればこその、うっすらピンク色を帯びたギリギリの火加減も見事。

    かつをカットするや、その断面にうっすら滲み出る透明な肉汁。これが旨味の証。余熱で火を通していればこその、うっすらピンク色を帯びたギリギリの火加減も見事。

一方、洋食への腰の据え方も半端ではない。「洋食は、世界に誇れる日本食。食文化だと思っています。懐かしくてハイカラ。そんな味わいが好きですね。ここでは、あえて原点に立ちかえり、正統派の味を追求していきたいと思っています。」との日向料理長の言葉通り、メニューを見れば、ビーフシチューやエビフライ、蟹クリームコロッケにハンバーグetc.おなじみの味がずらりと並ぶ。もちろん、洋食の要であるデミグラスソースもホワイトソースも自家製。一から手作りだ。とりわけ自慢の味といえば、やはりビーフシチューだろうか。鳶色に輝き、馥郁と香りを漂わせるそのデミグラスソースが、しみじみと旨い。それも、フォン・ド・ボーから仕込み、途中で牛スジのスープやルーを加えたりしつつ、およそ2週間がかりで丹念に作ればこそ。

    『黒毛和牛のビーフシチュー』5280円。バラ肉のほか、肩ロースを使うこともある。デミグラスソースと肉を別々に仕込まず、下茹でした肉をデミグラスソースの中で煮込むことで、肉にも味が沁み、ソースにも肉の旨味が滲み出る。

    『黒毛和牛のビーフシチュー』5280円。バラ肉のほか、肩ロースを使うこともある。デミグラスソースと肉を別々に仕込まず、下茹でした肉をデミグラスソースの中で煮込むことで、肉にも味が沁み、ソースにも肉の旨味が滲み出る。

人気の『黒毛和牛のビーフシチュー』は、とろけるほどに柔らかな和牛のバラ肉に、デミグラスソースのほろ苦さがキリリと絡み、硬軟織りまぜた大人の味を演出。対して、柔らかさの中にも繊維質がほろりとほぐれる歯触りが特徴の『厚切り牛タンシチュー』は、同じデミグラスソースでも、トマトソースを加えてやや甘めのマイルドな味わいに仕立てるなど、同じシチューでも味わいを微妙に変えるきめ細やかさだ。その細やかさは、エビフライも同様。一見、普通の海老フライのようだが、実は、口に当たるからと嘴や目の球、そして角の下にある真珠玉を丁寧に取り除き、丸ごと食べられるよう下拵えしてあるのだ。揚げたてのアツアツを、頭からかぶりつけば、サクサクの衣とプリプリの海老の身が、躍動感あふれるテクスチャーを楽しませてくれる。

    『有頭車海老のフライ』。5500円と値段も張るが、その価値は十分。大ぶりの車海老は食べ応えもあり、ガブリと頬張る美味しさは、また格別。全て食べ尽くしたい。

    『有頭車海老のフライ』。5500円と値段も張るが、その価値は十分。大ぶりの車海老は食べ応えもあり、ガブリと頬張る美味しさは、また格別。全て食べ尽くしたい。

その他、豚肉100%の『ハンバーガー』やうにとキャビア満載の『蟹クリームコロッケ』など、インスタ映えするオリジナルメニューもある。クラシックを守りつつも、さりげなく現代のエッセンスを加味した、レトロでいてどこか新しい味わいも魅力の一つだろう。洋食もとんかつも、少しづついろいろ食べたい向きには、コース12000円〜も用意されている。

    中華【桃の木】や鮨の【三谷】などの名店が軒を連ねる紀尾井町ガーデンテラスの3階にオープン。シンプルで落ち着いた雰囲気だ。

    中華【桃の木】や鮨の【三谷】などの名店が軒を連ねる紀尾井町ガーデンテラスの3階にオープン。シンプルで落ち着いた雰囲気だ。

この記事を作った人

撮影/玉川 博之 取材・文/森脇 慶子

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