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ブルガリ ホテル 東京のメインダイニング【イル・リストランテ ニコ・ロミート】は、パスポートのいらないイタリアだった

東京・八重洲に2023年4月にオープンし、話題を集めているホテル「ブルガリ ホテル 東京」。そのメインダイニング【イル・リストランテ ニコ・ロミート】ではどんな世界が待っているのでしょうか。イタリアのトップジュエラーが世界に向かって放つ、ファインダイニングの世界を取材しました。

イル リストランテ ニコ・ロミート

上階にたどり着けば、そこはもうイタリア! 別世界が待っている

さまざまな制限が解除され、海外旅行も本格的に行けるようになった今。久しぶりにヨーロッパで美味しい食事をする旅に出たい! そんな話をしている人も多いはず。けれど、変わらない政情不安に円安。計画するのもなかなかハードルが高い……。

そんな人は、都内にいながらにして現地の風を感じるレストランを訪れてみてはいかがでしょうか?

今行くなら、おすすめは断然「ブルガリ ホテル 東京」のメインダイニング【イル・リストランテ ニコ・ロミート】。飛行機に乗らずとも、華やかな空間で、アブルッツォのミシュラン三ツ星シェフ、ニコ・ロミート氏が監修した現代的なイタリア伝統料理をいただくことができるのです。

    ラウンジ

    ラウンジには、ブルガリを愛したセレブリティたちのポートレートが

八重洲ミッドタウンの賑わう店舗の中を抜けて、ホテルの入り口へ向かうと現れるのは控えめに設けられた小さな扉。

一歩中へ入れば、そこは、静寂に満ちた世界。黒い石造りの壁に、ブルガリの歴史に由来するジュエリーのデザイン画がディスプレイされた神秘的な通路は、まさに異国へつながる道。エレベータにのって上階へ上がり、ローマ遺跡の門をかたどったアーチをくぐり抜けると目の前には、イタリアの陽光を思わせるような、明るくて開放的な空間が広がります。

    【イル・リストランテ ニコ・ロミート】内観

    ブルガリのテーマカラーの一つ「サフランカラー」をベースにした店内は、モダンでありながら、大きな窓からの日差しもあいまって温かい雰囲気

こちらには、ぜひドレスアップして訪れて。大きな窓から差し込むのは、夕暮れ時のドラマティックな光。そして、ブルガリのテーマカラーである、「サフランカラー」に彩られた非日常感溢れるインテリアは、あなたを美しく魅せてくれること間違いなし。テラスからは東京の絶景が。食事の前に、テラスでフランチャコルタを一杯いただくのも一興でしょう。宝石のように煌めく夜景を眺めて喉を潤したら、いよいよディナーの始まりです。

世界のトップジュエラーが誇る、イタリア伝統料理

    シェフ、ニコ・ロミート氏とマウロ・アロイシオ氏

    全世界の【イル・リストランテ ニコ・ロミート】を監修するシェフ、ニコ・ロミート氏(左)。東京のシェフを務める、マウロ・アロイシオ氏

さて、“イタリアへひとっ飛びできる”と書いた理由は、日本ということを忘れてしまう素晴らしい空間にもありますが、料理にこそ、その真髄があります。イタリア好きであれば、料理を食べ進めるごとにイタリアを旅したときの空気感、味の記憶が脳裏にまざまざと浮かび上がり、“イタリアの風”を感じることができるでしょう。

    『ベジタブル アブソリュート』

    良い食材を使うからこそできるコース最初に登場する『ベジタブル アブソリュート』

例えば、最初に運ばれてくる、白いジノリのカップに入れられた琥珀色のスープ。凝縮した野菜のエキスを感じるスペシャリテです。ひと口含めば、ふわっと広がる野菜のエネルギッシュな濃い香りと味わいにびっくり。聞けば、水は一切加えずに、玉ねぎ、人参、セロリの水分だけで煮詰めて、ほんの少しのフランチャコルタと塩とオリーブオイルで味を整えたものだそう。シンプルだけれど奥が深い。この後に続く料理への期待が高まります。

続いての前菜は、『パーネ・エ・ポモドーロ』や『ヴィテッロ・トンナート』(仔牛のツナソース)など王道のイタリア郷土料理。驚くほどシンプルに盛り付けられた料理は、現代的な軽やかさがありながらも、かつてイタリアを旅した記憶が鮮やかに蘇るようなノスタルジックな味わいです。

    『リコッタチーズとほうれん草のクリームトルテッリ』

    コースの中の一品、『リコッタチーズとほうれん草のクリームトルテッリ』※季節によってメニューは変わります

一方、この日のパスタ、『リコッタチーズとほうれん草のクリームトルテッリ』は、味わいはエミリア・ロマーニャの伝統的なパスタそのもの。自家製の手打ちパスタに、リコッタチーズとほうれん草を包んだトルテッリ、セージとバターのソース、パルミジャーノ・レッジャーノというザ・王道の一品ですが、使っているリコッタチーズは、北海道産。日本の食材を使いながらも、“イタリア伝統料理のあるべき味”を見事に再現しています。

    『鱈とトマト ポテトのクリーム』

    『鱈とトマト ポテトのクリーム』4,800円(税込み・サ別)。イタリア家庭料理の定番、塩漬けタラとトマト、じゃがいもの煮込みをリストランテの料理に昇華した一品。※季節によってメニューは変わります。

けれんみのない堂々たる王道の料理は、誤解を恐れずに言えば、きらびやかなジュエリーの世界から想像していたイメージが裏切られる骨太さがあります。一方、食べ心地は軽やかでクリア。そこにブルガリらしい洗練を感じます。

「『ブルガリ ホテル』の料理として私が目指したのは、我々の偉大なるクラシックの“スタンダード特選集”でした」と語るのは、シェフのニコ・ロミート氏。
文献学的観点からも正しく、そして最新の方法で解釈しようとしたイタリアの伝統におけるクラシックこそが、彼自身が異国の地で口にしたいと思う理想のイタリア料理だったといいます。確かに彼が作る料理は、いずれもどこかイタリアのマンマの味を想起させる優しさもありながら、その味わいのバランスは非常に緻密。ひと皿の向こう側にガストロノミックなテクニックを駆使した現代的な味わいに仕上がっているのです。

    【イル リストランテ ニコ・ロミート】内観

    器も各国の「イル・リストランテ ニコ・ロミート」で揃えて、世界観を統一している

ニコ氏は、現在、北京、ドバイ、ロンドン、上海、ミラノ、パリ、ローマそして東京と世界8ヶ所での料理を監修しています。世界中の「イル・リストランテ ニコ・ロミート」では、どの国であってもまったく同じ味を表現しているのも特徴といえるでしょう。
つまり、どの国にも染まらない、ニコ氏が現代に届けたい伝統的なイタリア料理こそが、ブルガリがメゾンとして表明するイタリア料理への矜持なのです。

こちらでは、コース料理以外にも、アラカルトで好きにチョイスできるのもイタリアらしいところ。イタリアが誇る三ツ星シェフと、トップジュエラーが表現するレストランで、イタリアを旅するような時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/山路美佐

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