「ソースとフォン」を堪能する。ひらまつ40年の伝統を次代へ繋ぐ“舞台”、恵比寿【HRMT STAGE】で美食の継承を体感
日本のフランス料理界を牽引し続けてきた名門「ひらまつ」が、2026年2月、東京・恵比寿に新たな一歩を踏み出しました。その名は【HRMT STAGE(エイチアールエムティー ステージ)】。40年以上の歴史の中で、築きあげてきたひらまつの伝統を再構築し、次世代へと繋ぐための“舞台”として誕生したこの一軒。若き才能が躍動し、料理ジャンルを越えて集うシェフやスタッフの調和をもって、繊細に仕上げる旨みとソースを軸としたフランス料理を、コースとアラカルトの両方で提供。そんな革新的な美食体験をレポートします。
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デザインオフィス「nendo」が手掛ける、料理と人が主役の“舞台”
フォンやだしに象徴される、磨き込まれたクリアな味わい
「ひらまつのソース」を未来へ。29歳の若き才能が彩る新章
デザインオフィス「nendo」が手掛ける、料理と人が主役の“舞台”
恵比寿の閑静な路地に佇む【HRMT STAGE】。ミニマルながらも品格漂う佇まいが、これから始まる至福の時間を予感させます
「ひらまつ」といえば、日本におけるフランス料理文化の先駆者。今回オープンした【HRMT STAGE】は、ひらまつが40年かけて培ってきた伝統を現代の価値観に合わせ再構築し、次世代へと繋ぐステージとして位置づける新たなレストランです。
和と洋が融合したモダンな店内。カウンター15席、テーブル5卓14席、個室2〜4名用1室で、オープンキッチンを囲む全15席のカウンターは、料理が仕上がる音や香りまでもが演出の一部となる、まさに五感で楽しむ“舞台”
空間は、ラズベリーピンクをテーマカラーに、和と洋を織り交ぜたインテリアによって、ジャンルを横断する料理との親和性を高めている
内装デザインは佐藤オオキ氏率いる「nendo」が担当。過度な装飾を削ぎ落とした空間は、まさに料理と人が主役。ひらまつでは珍しいアラカルトの本格展開も魅力です。21時半(日・祝は20時)以降はバータイムとしても利用でき、予約なしでふらっと立ち寄れるカジュアルさも兼ね備えています。
フォンやだしに象徴される、磨き込まれたクリアな味わい
店頭のウォータードリッパーで約6時間かけて抽出される特製だし。日本料理の知見を活かした、【HRMT STAGE】を象徴するオリジナルのだしです
こちらの料理の核となるのは、ひらまつが長年磨き上げてきた「ソース」や「フォン(だし)」の技術です。クラシックなフレンチの軸を大切にしながらも、仕上がりは驚くほどクリアで軽やか。メイン食材に合わせて多種多様なソースを選べるカスタマイズ性は、ゲストの要望にどこまでも応えたいというシェフひいてはひらまつの想いの表れ。メニューにない「裏メニュー」にも柔軟に対応する懐の深さがあります。
今回の訪問では、自由度の高いアラカルトでその全貌を堪能します。
まず運ばれてきたのは、はじまりの一品、『オリエンタル出汁』。店頭のウォータードリッパーで6時間かけて抽出した特製だしは、鮪節をベースに、ミント、イタリアンパセリ、レモングラスなどを合わせることで、和の旨みとハーブの爽快感が共鳴する新鮮なフォンに。あおさ香るグジェールとの相性も抜群です。
『オリエンタル出汁』
アミューズの爽快な余韻に浸りながら、続いて前菜へ。
ひらまつの全国ネットワークを活かし、農家から直送される野菜(この日は福岡産)を使ったサラダ。瑞々しい苦味と甘みが弾けるマイクロリーフに、パルメザンチーズの熟成した濃厚なコクと塩気が、野菜本来の輪郭を鮮やかに際立たせます。
続いて供されたのは、北海道産のアスパラを使った『グリーンアスパラガス オランデーズソース』。エスプーマを駆使したオランデーズソースは、本来の濃厚さを保ちつつも空気をたっぷり含み、淡雪のような極上のふわふわ食感を楽しめます。
そして、驚かされたのが、ひらまつ初の試みである『自家製フライドポテト 味噌タップナード』。じゃがいもはカット後に一度茹で、急速冷凍してから揚げるという緻密な工程により、表面は薄い膜が張ったような、まるでうすはりガラスのようなパリパリとした食感で、中はホクホクしている新食感。白味噌・赤味噌を隠し味にしたタップナードソースを纏えば、それはもう立派なフランス料理の風格です。
前菜:『マイクロリーフのサラダ 24ヶ月熟成パルメザンチーズ』
1,000円
前菜:『グリーンアスパラガス オランデーズソース』
1,600円
前菜:『自家製フライドポテト 味噌タップナード』
1,000円
また、注目していただきたいのが、メインディッシュにおいて数種類の好みのソースをゲスト自身が選択できる点。 伝統的なフレンチではシェフにお任せするのが一般的ですが、ここでは自身の直感でソースを選び、一皿を完成させる喜びがあります。これは「ソースのひらまつ」という伝統を、現代の自由な感性で楽しんでほしいというコンセプトを象徴する、心躍る体験です。
まずは魚料理から。
この日選んだ魚料理は鳥取県産の鰆を用いた『ブイヤベース』。丁寧に火入れをした鰆は、驚くほどふわふわの食感に。海老や魚の骨、香味野菜を凝縮したスープは“飲むソース”そのもので、最後の一滴まで飲み干さずにはいられません。
そして肉料理からは『仔羊ロース ジュ・ダニョー』をチョイス。仔羊のだしに、牛のだしや赤ワインを合わせた艶やかなソースは、まさにこの“舞台”のクライマックス。最新の調理技術と40年培われた職人の手仕事が共鳴し、名門のプライドと新しい自由が混ざり合う瞬間を、確かに感じることができました。
魚料理:本日の鮮魚『ブイヤベース』
2,400円〜
肉料理:『仔羊ロース ジュ・ダニョー』
3,800円。色とりどりの野菜バスケットで披露される演出も鮮やか
その後、カットし、サイドメニューの焼き野菜(+1,200円)とともにサーブ
美食の余韻を完璧なものにしてくれたのが、〆の『手打ちパスタ』。もちもちのタヤリンにカラスミのコクと上質なオイルが絡み合う、40gというポーションが美食の余韻を完璧なものに仕上げます。最初から最後まで、伝統と革新が交差する「STAGE」の名に相応しいひとときでした。
〆の一品:『手打ちパスタ 40g(オイル:からすみ)』
2,000円
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ノンアルコール派も妥協なく楽しめるラインアップ
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スパイスやハーブが香るペアリングで、料理との相乗効果を堪能できます
「ひらまつのソース」を未来へ。29歳の若き才能が彩る新章
厨房を仕切るのは、イタリアン【リストランテASO】、ホテル【THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原】などで研鑽を積んだ志水厚太シェフ。20代の若きプロフェッショナルたちが一丸となり、ひらまつの新しい歴史を刻みます
「ひらまつの40年の中で、最も世界に認められたのが『ソース』だった。それを自分たちの世代が再構築し、次へ繋げたい」と語る志水シェフ。名門の看板を背負いながらも、新しい価値を創造しようとする若き才能たちの決意の表れでもあります。
平均年齢20代というフレッシュなチーム。「STAGE」という店名には、若手の活躍の場(舞台)という想いも込められています
伝統とは、止まることなく形を変えながら受け継がれるもの。【HRMT STAGE】は、まさにその変化の瞬間を目撃できる場所でした。
来店して印象的だったのは、長年「ひらまつ」を愛してきたであろう方々が、新しい門出を祝うように席を埋めていた光景です。食事をしながらひらまつの歴史を愛おしそうに語らう姿からは、このブランドがどれほど深く、多くの人の人生に寄り添ってきたかが伝わってきました。
そんな古くからのファンも、そして初めて門を叩く若い世代も、同じ舞台で等しく美食の喜びを分かち合える。恵比寿に現れた【HRMT STAGE】で、ひらまつが描くフレンチの未来を、ぜひその舌で確かめてみてください。
この記事を作った人
取材・文/嶋亜希子(ヒトサラ編集部)
東京・下町出身。アパレル業界を経て出版社へ。12年勤務し、編集長も務める。その後「ヒトサラ」で編集を担当し、現在はグルメ業界9年目。パンとフルーツが好きで日々の楽しみに。@papapa_paaan
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