更新日:2023.01.11食トレンド
メキシコ×和が融合するタコスをおまかせコースで提供する【TACOSBAR(タコスバー)】|恵比寿
自家製タコスの店として三軒茶屋で話題を集めた【LOS TACOS AZULES(ロス タコス アスーレス)】が、2022年11月10日に新たな店舗【TACOSBAR(タコスバー)】を恵比寿にオープンさせました。2号店としてではなく、別ブランドとして新たな地で営業するのはなぜなのか。その真意を伺うべく、さっそく行ってみました。
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『LOS TACOS AZULES』の新店舗
タコスをおまかせのコースで提供
新鮮な魚介類を使った驚きのタコス
まるでカウンターの寿司屋のようなタコスバー
2018年に三軒茶屋にオープンした【LOS TACOS AZULES(ロス タコス アスーレス)】は、メキシコのソウルフードであるタコスを朝から気軽に楽しめるお店として大人気。その系列店である【TACOSBAR(タコスバー)】は、カジュアルで明るい雰囲気の三軒茶屋のお店とは全く別の雰囲気です。モダンな扉を開け店内に足を踏み入れると、温かみのあるウッディーなカウンター席が出迎えてくれます。
一人客も気軽に食事が楽しめるメインのカウンター席
内装を仕上げたのは、シェフのマルコ氏とメキシコで出会った友人であり、現在は建築・インテリアの分野で活躍する岩村寛人氏。メキシコの有名な建築家であるルイス・バガランの影響を受けるかのように、お店は直線や平面を多用して設計されています。そのメキシコのエッセンスは、寿司屋をイメージしたカウンターや付随する装飾とうまく融合。タコスにつかわれるブルーコーンからインスピレーションを得た藍色の棚やのれんもいいアクセントになっています。
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メキシカンと和の融合をコンセプトに仕上げられた店内
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サボテンと季節に合わせて飾られた生花が店頭を彩る
メイン食材は産地直送の新鮮な魚介類
タコスはまるでお寿司のように1つずつ提供される
オーナーシェフのマルコ氏がタコスの次のステージを目指してオープンさせた同店。【LOS TACOS AZULES(ロス タコス アスーレス)】とのもう一つの違いとしては、夜にタコスをコースで提供するという営業スタイル。日本の寿司屋や天ぷら屋のように出来たてをそのままサーブするスタイルに感銘を受け、コンセプトをひらめいたそう。魚介を使った10品の料理が味わえる『シェフのおまかせ魚タコス』は1万5000円(税・サ込)。陶芸家の矢尾板克則氏が手がけた器との相性も抜群です。ここからコース料理の一部をご紹介します。
『「ホタテのトスターダ』
トスターダとは、カリカリになるまで揚げたトルティーヤのこと。その上にはアボカドベースのワカモレ、歯切れと食感がよい北海道産のホタテ、そしていちごのサルサをオン。サルサというとトマトが一般的ですが、いちごを使用するアイデアには脱帽。ジューシーで甘さと酸味のあるサルサと、ワカモレのまったりした味わいが口の中で調和します。
『黄金あなごのタコス』
メインに使用されるのは肉質がよい対馬のあなご。本場メキシコではポピュラーな黒いスパイスミックスからインスパイアされたオリジナルのスパイスをまとわせてローストしています。合わせるグリーンサルサは、メキシコなど中南米ではとてもポピュラーな食材であるトマティージョ(食用ほうずき)を使用。隠し味にシークワサーを使い、清涼感のある風味に。脂がたっぷりのったあなごとの相性は抜群。
『金目鯛のタコス』
ブルーコーンのタコスに載せられているのは、静岡産の金目鯛の塩焼き。その上にかけられたのはハラペーニョのサルサで、シェフのお母様のレシピをアレンジしたものなのだとか。ハラペーニョのサルサをつかったタコスは、メキシコでは定番。素材の味を引き立てるシンプルな料理なので、金目鯛本来のたんぱくな味わいを存分に味わえます。
合わせるお酒はメスカルやテキーラなどメキシコの蒸留酒のほか、日本のクラフトビールや日本酒も人気
和食へのリスペクトがあるシェフによる新感覚タコス
メキシコの在来種であるブルーコーンのおいしさを知ってほしいと【LOS TACOS AZULES】をはじめたオーナーシェフのマルコ氏。【TACOSBAR】では料理に合わせ、レッドコーン、ホワイトコーンも使用していますが、伝統品種の味、香り、栄養価を尊重するために、メキシコのオアハカ州から調達するこだわりに変わりはありません。それらをつかい、毎朝その日の気温や湿度などに合わせた調合で生地を仕込んでつくる、トルティーヤへのこだわりは相当なものです。
和食さながらの繊細な調理風景に目を奪われる
マルコ氏が次世代のタコスを表現するためにオープンした同店。美食度の高いタコスを、お寿司屋のような感覚で提供し、メイン食材を新鮮な魚介類に絞ったのも、和食へのリスペクトからです。「日本に来て、魚のバリエーションの豊富さや味のおいしさにとても刺激を受けました。そんな魚介類をつかい、タコスをつくってみたら面白いのではないかと以前から考えていました」とマルコ氏。
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仕込みを終えたタコス生地はおひつの中に。ひのきのおひつには殺菌作用や水分調整の作用がある
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熱伝統率がよく、やわからな火加減の銅板で焼くこだわりよう
メキシコ料理はスパイスなどでパンチが強い味が魅力ですが、和食は繊細でそれとは真逆。そのアプローチの違いにも興味があったのだとか。一方で、通づるところもあると言います。「日本は北から南で食文化が違いますよね。メキシコでも地域によって食べれる食材や味付けは違い、タコスと一口に言ってもも様々な種類があります。魚介のセビーチェのようなものを載せて食べる地域もあるんです。日本ならではの魚介類をつかったタコスもその発想から生まれました」。
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左からホワイトコーン、ブルーコーン、レッドコーン
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その日に仕入れた鮮魚を使用。写真は静岡県産の金目鯛
おまかせのコース形式にしたというのもこだわりのひとつ。近年フーディの間で話題のメキシコ料理ですが、まだ日本で馴染みがないのも事実。アラカルトでの注文しようとしても、何を頼んで良いのかわからないという方も少なくありません。そこで、旬の魚介をつかったトスターダ、タコスからデザートまでのコースに仕上げることで新たなタコス体験を提供することを思いつきました。
「おまかせコースは和食が持つもてなしの極み。新しいタコスの形として知っていただけたら」というマルコ氏の意気込みに、タコスの新たな可能性を感じました。日本の食材を使いながらも、味付けは日本人向けにローカライズされたわけでもなく、あくまで本場メキシコの本格的なタコスに仕上がっています。タコミートや野菜を挟んだ一般的なタコスしか知らないあなた、ぜひ「新しいのタコス」に出会ってみては?
プロフィール:オーナーシェフ マルコ・ガルシア氏
メキシコ北部のモンテレイ出身。日本留学を機に食の世界に開眼。和食に限らず、中華、エスニック、フレンチ、パン等あらゆるジャンルの最高峰が楽しめる日本の食文化の高さに感動を覚える。帰国後は日本で体験した味を再現しようと、試行錯誤しながら自学で料理を学んでいく。他国料理を修行しているうちに、次第に自国料理への興味が高まり、メキシコ各地を旅して巡りながら、ローカルの知識をさらに深めていく。そしてメキシコ料理の第一人者であるダイアナ・ケネディ氏との出会いから、古典的手法ニクスタマルから自家製粉して作るトルティーヤの素晴らしさを学ぶ。その時、メキシコ人として大事にするべきことはこのトルティーヤだと認識。こうして自分の足で集めた知見と、日本で得た経験が組み合わさり、Los Tacos Azulesという唯一無二のタコスブランドを作り上げた。日本でのプロジェクトでは、料理だけでなく、器から建築まで一貫したアイディアを持ち、多面的に楽しめるオリジナリティの高いお店を作り上げることができた。
コース価格:1万5,000円(サ・税込)
撮影/三橋 優美子 取材・文/綿貫大介
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