【アマンド】が40年前のメニューを復刻し「昭和食堂」スタート。“逆戻り”こそ“進化”!?
【アマンド】。名前を聞いたら、「あのピンクの喫茶店ね」と思い浮かぶ方も多いでしょう。六本木交差点という超一等地にありながら、独特の存在感を放つ正統派喫茶店。そのアマンドが創業70周年を機に「昭和へ逆戻り」すると打ち出したのです。その企みとは……?
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70周年を迎え、再び「昭和コンシャス」へ回帰
40年前の洋食メニューやスイーツを復刻
当時のシェフを探し出して口伝でレシピを再現
ピンク色が目印の正統派喫茶
今も昔も待ち合わせと言えば「アマンド」前
【アマンド】は昭和21年(1946)新橋にオープン。その後有楽町や銀座などに開店し、ビビットなピンクの内装から「アマンドピンク」という言葉も定着したほどです。
昭和39年には六本木、昭和41年には霞町にレストランルームを開店。ハンバーグやスパゲティ、グラタン、サンドイッチなど多くのメニューが誕生し、当時は「アマンドで洋食を食べる」ということが一大イベントだったそうです。
ちなみに当時の価格は、スパゲティが300円、サンドイッチは250円でした。
全盛期は30店舗以上展開
現在は六本木、銀座のほか、新橋や浜松町などにショップがある
バブル時代、六本木店の賑わいは相当だったといいます。遊びに繰り出す人や同伴の待ち合わせのメッカになり、深夜は飲食店からのケーキの出前注文が殺到。
しかしバブルがはじけ、喫茶店に来る人も減少。レストランルームも閉店し、食事ができる店舗は六本木と銀座のみに。やがてカフェブームが台頭すると、【アマンド】は「時代に取り残された喫茶店」というイメージが漂い、舵取りに迷い始めていました。
当時のレシピを知る人はいなくなっていたが…
そんな【アマンド】は2017年、創業70年を迎えるにあたり心機一転。新しく社長に就任した若手の茂田優さんが、「先に進むのでなくあえて昔に戻ろう」というテーマを掲げたのです。進化はいつでもできます。ですが、アマンドが昔の姿のまま存在していることはもはや奇跡。他のお店にはない「古き良き正統派喫茶店」である強みを活かし、もう一度昭和に立ち返ってみようと、昔のレストランルームの味を復活させる「昭和食堂」プロジェクトをスタート。創業時から人気だった『ハヤシライス』『スパゲティナポリタン』などを、当時の味を再現してメニューに出すことにしました。
ですが、昔のレシピはなくなってしまい、当時の味を知る人はアマンドにはもう残っていませんでした。そこで茂田さんは従業員のツテを頼って、当時働いていたシェフを探し出したのです。
シェフは70歳、奇しくもアマンドと同じ歳です。そして記憶だけでレシピを再現してもらい、何度も試作を繰り返し、ついに復刻「昭和食堂」メニューを完成させました。
ありそうでない『ハヤシライス』
まさに当時のご馳走です。牛バラ肉を6時間も煮込み、マデラ酒を効かせたホテル仕込みの本格派。酸味がほどよく効いていて、牛肉の出汁とコクが凝縮され、一口食べるごとに幸せを感じます。
定番『スパゲッティナポリタン』
喫茶店といえばのナポリタン。こちらはケチャップをベースに甘みを引き出した玉ねぎとサルサポモドーロを加えた正統派。太すぎず程よいコシを残した麺の茹で加減にもこだわっています。
『スパゲッティコスモポリタン』!?
あまり聞きなれないメニューですね。『スパゲティコスモポリタン』とは、エビで出汁をとったアメリケーヌソースをベースに小エビとナポリタン具材を加えたクリーム系のスパゲッティです。クリーミーなソースがたっぷりのエビに絡み、濃厚な味わいです。
子ども達の憧れ『海老とマカロニのホワイトグラタン』
当時、【アマンド】の特別料理と冠がついた『チキングラタン』を現代版に改良。ベシャメルソースをよりクリーミーにしつつ、魚介とマカロニの具だくさんなグラタンに。 魚介の出汁がしっかり効いた、家ではなかなかつくれない味です。
他にも『ハンバーグライス』『コンビネーションサラダボウル』など復刻メニューがあり、すべて、現在のアマンド六本木店と銀座店で食べられます。しかも、ランチタイムはドリンクとサラダ付きで1000円とリーズナブル。この正統派喫茶洋食、食べないわけにいきませんね。
実はさらに、スイーツ部門も「昭和パーラー」と銘打ち、昔のミルクセーキやサンデーなど復刻メニューを登場させています。イチゴを贅沢に使った『苺ミルクサンデー』1180円や『フルーツポンチ』980円など、昭和コンシャスなスイーツばかり。ますます【アマンド】から目が離せません。
昭和レトロ、昭和コンシャスがブームですが、それは日本が元気だった時代の文化をもう一度見つめ直そうという風潮。アマンドの「昭和へ逆戻り」路線、もしかして今の時代において「攻めてる」戦略といえるのかも知れませんね。
(画像提供:アマンド)
この記事を作った人
取材・文/猫田しげる(フリーライター)
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