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<上州沼田のご当地グルメ>極上枝豆と『えだまメンチ』を求めて

「夏といえばビールに枝豆!」ということで、今回は枝豆の名産地である群馬県沼田市の旅&グルメをご紹介。地元産の枝豆をたっぷり使った名物『えだまメンチ』が食べられ、また、えだまめサミットで1位を獲得した天狗印枝豆「味緑(みりょく)」も旬を迎えている。

<上州沼田のご当地グルメ>極上枝豆と『えだまメンチ』を求めて

豊かな河川が生む”霧”が良質な枝豆を育てる

    枝豆の収穫は、早朝、気温が上がる前に行われる(©塩野商店)

    枝豆の収穫は、早朝、気温が上がる前に行われる(©塩野商店)

 群馬県の北部に広がる沼田市は、赤城山や武尊山(ほたかやま)などの山並みに囲まれ、市内に利根川や片品川が流れている。この沼田市を中心とする「利根沼田」とよばれる地域は河川が多くて霧が発生しやすく、標高が高いために昼夜の気温の寒暖差も大きい。これが良質な枝豆を育む大きな要因だという。

    つややかな実にうま味がたっぷり詰まった「味緑」

    つややかな実にうま味がたっぷり詰まった「味緑」

 利根沼田産の枝豆がおいしいと証明された一例が、2012年に開催された日本野菜ソムリエ協会主催の第11回野菜サミット“テーマ:エダマメ”だ。選りすぐった全国15の産地の中から、食感やコク、甘み、香りを評価する食味部門で、沼田市の塩野商店が生産管理を行う天狗印枝豆「味緑(みりょく)」が第1位に選ばれたのだ。

    手間ひまかけ、愛情を込めて作られている(©塩野商店)

    手間ひまかけ、愛情を込めて作られている(©塩野商店)

 塩野商店の塩野昌彦専務によれば、「もともと昼夜の寒暖差が大きい地域ですが、霧によって夜露や朝露が発生することで、夜間から朝にかけてさらに植物の温度を下げ、細胞の活動を抑制します。昼間、光合成で蓄えた養分が消耗されず、糖度の高いおいしい枝豆ができるのです」とのことだ。
 
 枝豆は環境の変化に敏感で、つまり、手をかければ手をかけるだけ応えてくれる植物だという。塩野商店では土壌づくりや収穫後の素早い保冷など、さまざまな工夫を凝らし、品質の向上に努めている。

枝豆の甘みと肉のうま味がマッチした『えだまメンチ』

    枝豆も肉も上質な【とんかつ金重】の『えだまメンチかつ』

    枝豆も肉も上質な【とんかつ金重】の『えだまメンチかつ』

 天狗印枝豆をはじめ、沼田市では多くの生産者が枝豆を栽培している。そこで「名産の枝豆をPRしたい!」と考案されたのが枝豆を使ったメンチカツ『えだまメンチ』だ。利根実業高校の協力のもと、女子高校生が考案したレシピが採用され、市内のレストランなどで提供されている。

 そのうちの1軒が、“上州沼田とんかつ街道”にある【とんかつ金重(かねじゅう】だ。沼田市では、主に国道120号道線に沿って、ロースかつやかつ丼、しゃぶしゃぶなど、豚肉料理が味わえる12軒の店が集まり、“上州沼田とんかつ街道”とよばれて名所の一つになっている。

    『奥利根もち豚の和風おろしロースかつ定食』

    『奥利根もち豚の和風おろしロースかつ定食』

【とんかつ金重】の『えだまメンチかつ』は、豚と牛の合挽き肉をたっぷり使い、特注のパン粉でサクサクに仕上げたこだわりの品だ。大粒で甘みのある枝豆は、肉のうま味に負けないほどの存在感。やわらかい食感も、味のほどよいアクセントになっている。

 もちろん、店の看板メニューであるとんかつも美味。きめ細かい肉質と甘みのある脂が特徴の奥利根もち豚ロースを使用。厚みのあるジューシな肉とサクッとした衣の相性が抜群だ。

老神(おいがみ)温泉に泊まってゆっくり楽しみたい夏の沼田の旅

    一面の花畑が続く「たんばらラベンダーパーク」(©群馬県観光物産国際協会)

    一面の花畑が続く「たんばらラベンダーパーク」(©群馬県観光物産国際協会)

 沼田市は、夏の旅もおすすめだ。
「たんばらラベンダーパーク」では、関東最大約5万株のラベンダー畑が広がり、紫の可憐なラベンダーが例年9月初めまで咲き継ぐ。
 
 国の天然記念物及び名勝に指定されている「吹割(ふきわれ)の滝」も必見。高さ7メートル、幅30メートルに及ぶ壮大なスケールで、“東洋のナイアガラ”の別名も。河床が割れたような独特な景観は、見る者を魅了する。

    夏の深緑、秋の紅葉も美しい「吹割の滝」(©沼田市観光交流課)

    夏の深緑、秋の紅葉も美しい「吹割の滝」(©沼田市観光交流課)

 イベントでは、2017年8月3日(木)~5日(土)には毎年20万人以上の人出でにぎわう沼田まつりを開催。2017年9月9日(土)に開催される「第5回沼田花火大会」は、有料観覧席を購入すると花火が座ってゆっくり見られると、毎年好評を得ている。

    9月9日には「第5回沼田花火大会」を開催予定(©沼田市観光交流課)

    9月9日には「第5回沼田花火大会」を開催予定(©沼田市観光交流課)

 沼田は、“天空の城下町”ともよばれている。河岸段丘の地形を活かして戦国時代には段丘上に沼田城が築かれ、昨年のNHK大河ドラマで話題を集めた真田家も5代にわたって居城とした。今も当時の石垣が残り、多くの歴史ファンが訪れている。

 市内を流れる片品川沿いには、老神温泉が湧き、渓谷を中心に15軒ほどの温泉宿がある。開湯は神代まで遡るといわれるほど歴史が古く、湯量が豊富。泉質は透明で湯上りに肌がすべすべになる単純温泉だ。温泉で疲れをとり、沼田の旅を楽しみたい。

【沼田市観光協会】

http://www.numata-kankou.jp/

【ぐぐっと群馬】

http://gunma-dc.net/

【塩野商店】

http://edamame.co.jp/

【とんかつ金重】

電話:0278-20-9116
住所:群馬県沼田市白沢町高平26-8
営業時間:11:00~14:30、17:00~20:00
定休日:金曜(但し、祝日の場合は通常営業)
座席数:33席
駐車場:乗用車7台

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この記事を作った人

取材・文/中元千恵子(フリーライター)

旅行ライターとして25年、日本各地を取材。郷土料理や伝統工芸品など風土が育んだ文化の記事を得意とし、旅行雑誌や新聞に寄稿している。各地の特産品を販売する自治体アンテナショップの取材歴も長く、“アンテナショップの達人”としてTVやラジオにも出演。

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