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更新日:2017.11.28連載

新世代の女性シェフ~【蕎麦 やっ古】西田恭子さん~

男性たちが中心の飲食業界で繊細な感性で活躍する女性シェフに注目。彼女たちの料理にかける思いやストーリーをご紹介します。今回は「ミシュランガイド東京2018」のビブグルマンに選ばれた、蕎麦と一品料理を提供する【蕎麦 やっ古】のシェフ、西田恭子さんをご紹介します。

新世代の女性シェフ~【蕎麦 やっ古】西田恭子さん~

CHEF’S STORY

偶然が重なって見つけた 飲食店経営における自分の武器

「女性が、30歳を過ぎて料理屋を始めるなら、何かアピールできるものがないとダメだなと思ったんです」そこで、白羽の矢が立ったのが蕎麦。だが、その蕎麦と西田恭子さんの出会いは偶然だった。

 小さい頃から台所仕事が好きで、会社勤めの傍ら夜間の料理学校に通っていた西田さん。蕎麦通にはつとに知られた名店【古拙】の求人募集をたまたま見かけたのが蕎麦の世界へ足を踏み込む第一歩だった。

【古拙】で3年半、その後、間を置き日本橋【仁行】で2年半、蕎麦打ち名人の石井仁氏に師事。和食の経験も豊かな石井氏からは、蕎麦打ちの手ほどきは言わずもがな「見せかけではない、料理の本質的な美味しさを教えて頂きました」

    『もり蕎麦』860円。取材時は、栃木県は益子の常陸秋蕎麦を使用。もちろんつなぎなしの生粉打ち。しなやかでいて、シャキッとした心地良い歯応えがある。噛み締めるうち、優しい甘みが口中に広がる。甘みをぐっと控えたもり汁は、7種類の醤油を駆使した秀作。

    『もり蕎麦』860円。取材時は、栃木県は益子の常陸秋蕎麦を使用。もちろんつなぎなしの生粉打ち。しなやかでいて、シャキッとした心地良い歯応えがある。噛み締めるうち、優しい甘みが口中に広がる。甘みをぐっと控えたもり汁は、7種類の醤油を駆使した秀作。

 去年の12月、学芸大学の駅近くにオープンしたここ【やっ古】では、単品の蕎麦と一品料理の他、前菜や煮物なども出す蕎麦コースも用意。

 手打ち蕎麦と共におからや南瓜の含め煮など派手ではないが、心にしんみりと染み渡るような味わいの手料理も楽しせてくれる。料理は石井氏の流れを汲む一方で、蕎麦は少し自分流にアレンジ。師匠のように蕎麦粉をブレンドせず「品種による蕎麦の個性を知りたい」と蕎麦は単一品種で打ち、香りや甘みがより感じられるようにと麺自体も少しだけ太くした。とはいえ、もともとが素麺のような細さ故、それでも十分細打ち。女性らしいたおやかさを感じさせる。

    写真奥から『桜海老のかき揚げ』と前菜の盛り合わせ(5,400円コースから)。手前左から、『ミツバと油揚げの煮浸し』、『おから』、『炒りコンニャク』、『ワカサギの南蛮づけ』に、中央は『南瓜の含め煮』など

    写真奥から『桜海老のかき揚げ』と前菜の盛り合わせ(5,400円コースから)。手前左から、『ミツバと油揚げの煮浸し』、『おから』、『炒りコンニャク』、『ワカサギの南蛮づけ』に、中央は『南瓜の含め煮』など

 今後の抱負は目下、「女性が一人でも入りやすい店」だそうだ。

営業時間:[火~土]17:00~22:00(L.O.21:30)、[日]12:00~16:00(L.O.15:30)※2017年2月までは[月~金]17:00~22:00(L.O.21:30)、[土・日]12:00~16:00
定休日:月曜
料金:蕎麦コース5,400円(火~土曜の夜のみ)

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この記事を作った人

写真/佐藤顕子 取材・文/森脇慶子

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