2018年 グルメトレンドはどこへいく? 業界人・シェフ・グルマンが証言!~後編~
2018年、世間ではどんなお店が、どんな料理が注目されるのか、気になりますよね。そこで、グルメ業界人やシェフ、グルマンなど食の達人たちに聞いてみました。
グルメトレンド 2017振り返り&2018予測(後編)
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天ぷらレボリューション
多様化する東京のフレンチ
モダンエスニックの台頭
地方の人気店が都心に続々と進出
食の達人が2018トレンドを予測②
06 天ぷらレボリューション
静岡から移転した【日本橋 蕎ノ字】の天ぷら。東京の地で出身地静岡産の食材を天ぷらに。写真は「玉取茸」
静岡の進化形天ぷら【てんぷら 成生】の勢いを受けて、2015 年オープンの麻布十番【たきや】や、東京へ進出した【日本橋 蕎ノ字】のように伝統に独自の感性を加えた進化系天ぷらが誕生。
また、名店【山の上ホテル】で料理長も務めた人物が9月にオープンしたばかりの【てんぷら前平】など、天ぷら店のオープンラッシュが続いた。フードジャーナリストの小松宏子さんは静岡の予約困難店【成生】を「“静岡前”という進化した天ぷらが、天ぷらの新しい価値と魅力を創造している」と評している。
07 多様化する東京のフレンチ
北欧のエッセンスを取り入れ、一躍、人気店となった【スブリム】。写真はスペシャリテの発酵マッシュルームの一皿
2017 年は、モダン派とカジュアル派に加え、フレンチを軸にしながらも、洗練され
たセンスも織り交ぜたイノベーティブ派が増えるなど、そのトレンドは多様化が顕著だっ
た。多くの選者が述べているとおり、【ペタンク】や【ボルト】のように本格的なフレン
チ経験者が、遊び心溢れる小さなカウンターフレンチの店をオープンし、人気を呼んでい
る。一方で、北欧のエッセンスを取り入れたイノベーティブフレンチの【スブリム】が、姉
妹店となる【コフク】を8 月にオープンするなど、フレンチに関する話題の多さは際立っていて、この波はそう簡単に収まることがなさそうだ。
浅草の観音裏にオープン。ほどなくして人気となった【ペタンク】
08 モダンエスニックの台頭
エスニックのジャンルは、少しずつモダン化の波がきている。例えば、レストラン運営に定評のあるトランジットジェネラルオフィスが手掛けた、オーストラリア発のタイ料理【ロングレイン】は、革新的なプレゼンテーションにモダンな空間も秀逸で、若い世代から多くの支持を受けている。7月にオープンしたベトナム料理の【アン ディ】はセンスが感じられるインテリアと料理とワインのペアリングで話題に。
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人気メニューのひとつであるグリーンカレー。タイ料理の軸をブラさず、モダンに仕上げている
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日本に初上陸したのモダン・タイレストラン。眺望素晴らしく、料理以外の要素も話題を呼ぶ
09 地方の人気店が都心に続々と進出
2016年に東京へと進出した【銀座しのはら】。一年経った今も満席の日々が続く
2016年10 月、滋賀県から東京に進出するやいなや予約が取れなくなった【銀座しのはら】をはじめ、地方の人気店の東京進出ラッシュが続いた同時期に静岡県から移転した前出の天ぷら【日本橋 蕎ノ字】、去年末に岐阜県からの【CHIUnE(チウネ)】も記憶に新しいところ。「今年、兵庫県から移転してきた【銀座 盡】など、県外からわざわざ食事に来る客が多
かった人気店が東京に進出、という流れは続いてます」と小松宏子さん。
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2017年4月に移転した【銀座 盡】
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ジャンルを超えた創意溢れる料理の数々が味わえる
2018年2 月に竣工する【東京ミッドタウン日比谷】には【南禅寺 瓢亭】の新業態がオープン。加えて名古屋の紹介制天ぷらの【くすのき】が東京進出する噂も。この流れはますます加速しそう。
グルマンたちは2017-2018年レストラントレンドをこう読む
今回のアンケートを通して、食通の方々が振り返る2017年のレストラントレンド、また予想した2018年以降のグルメトレンドを先取り! 食に長けた人たちが描くその未来予想図は?
小松宏子さん(フードジャーナリスト)
Q 2017年を象徴するキーワードは?
A ペアリングが進化しましたね。かつてはワインだけだったのが、日本酒を組み合わせる事も珍しくなく、ノンアルコールのお茶のペアリングなども盛んになったと思います。それから「だし」。UMAMIという言葉がグローバルになる中で、世界的にもますます注目されている。だし専門のバーやカフェなども出てきました。
塩沢 航さん(放送作家/「アナザースカイ」ほか)
Q 2017年のグルメシーンを一言でいうと?
A やはりSNS。料理という点においては、とんかつ、サンドイッチ、北欧系の話題も多くありましたがムーブメントと呼べるものは現れなかったと思います。一方で〝インスタ映え〟という言葉は完全に定着し、食の世界も話題はSNS一色だったように思います。
Q 2018年のトレンドを予想すると?
A 今、名のある店は、どこも予約困難。常連が先々まで予約をおさえ、数か月、数年予約が取れない店もあるほど。絶大な人気を誇る鮨店【天本】はそんな現状に危機感を覚え、予約システムをWebサイトのみに変更。来年は色々な店が、これに追随するんじゃないかと思う。また、スナックは今後再注目必至の業態。初期投資も少なくて済むのでどんどん増えそう。名物メニューなどがある個性を生かしたスナックが出てきてほしい。
林 亮治さん(【茶禅華】【桃仙閣】代表)
Q 2017年のグルメシーンを一言でいうと?
A デザインから本質のおいしさへ、そんな兆しが見えてきたように感じます。2018年はより、その方向に進むと思います。
Q 2018年、注目するジャンルは?
A 目新しさより本質的なおいしさを本能的に感じられるようなイタリアンに注目が向けられるように思う。そんな中で、【リストランテ山崎】さんのような、伝統の中に革新もある、おいしさを大きくとらえたお店に注目したいです。
マッキー牧元さん(タベアルキスト/『味の手帖』編集顧問)
Q 2017年を象徴するレストランは?
A 【ペタンク】や【ボルト】などにみられる、フランス料理を本格的に経験してきたシェフの、今までにはなかった〝フレンチ居酒屋〟がとても良かった。ほかにも気になるのはフレンチの【クローニー】の春田シェフ、【Takumi】の大槻シェフ。ふたりとも29歳の若手だが、技術力も高く、新しさもありとても面白かった。
森脇慶子さん(フードライター)
Q 2017年を象徴するトレンドは?
A 生産者。今や産地で食材を選びのではなく、誰がつくっているのか、育てているのかと生産者に注目が集まり、その生産者で選ぶ時代になってきていると思います。
Q 2017年を象徴するレストランは?
A 【アルゴリズム】は、今年オープンしたフレンチの中では、個人的には一番印象に残りました。基礎がしっかりしているのでしょう。安定感がありますね。
山田栄一さん(【スブリム】【コフク】オーナー)
Q 2017年のグルメシーンを一言でいうと?
A 平穏。【noma】の休業で一息ついたのか、世界各地を見渡しても2017年はグルメシーンを牽引するようなムーブメントはなかったと思う。
Q 2017年を象徴したレストランは?
A 【茶禅華】は今年で一番良かった。料理界全体、ボーダレス化が進んでいるが、中華と和の融合がとてもうまくハマった感じがする。
Q 2018年のトレンドを予想すると?
ネクスト【noma】を期待させるオーストラリアのモダンガストロノミーから目が離せない。
アンケートにご協力いただいた方々
秋山具義(アートディレクター)、秋山能久(【六雁】総料理長)、 大木淳夫(「東京最高のレストラン」編集長)、大橋直誉(【TIRPSE】オーナー兼クリエイター)、尾山淳(株式会社JO代表【酒場それがし】ほか店舗経営)、 小寺慶子(フードライター)、小松宏子(フードジャーナリスト)、 塩沢航(放送作家「 アナザースカイ」ほか)、林亮治(【茶禅華】桃仙閣】代表)、マッキー牧元(タベアルキスト/『味の手帖』編集顧問)、 森脇慶子(フードライター)、 山田栄一(【スブリム】【コフク】オーナー)(敬称略/五十音順)
この記事を作った人
取材・文/盛岡アトム
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