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更新日:2020.08.22グルメラボ

名店が教える「スペシャリテの秘密」|【4000 Chinese Restaurant】の『マンガリッツァ豚の回鍋肉』

一度食べたら忘れられない。何度食べても驚くほどおいしい。そう思わせるあの店のスペシャリテには、きっとつくり方に秘密があるはず。そうだ。その秘密、直接シェフに聞いてみよう。

【4000 Chinese Restaurant】の『マンガリッツァ豚の回鍋肉』

マンガリッツァ豚の脂身の甘みが
そのまま回鍋肉の調味料になる

おもしろい回鍋肉がある。【4000 Chinese Restaurant】の菰田欣也シェフがつくる回鍋肉だ。何がおもしろいのかというと、キャベツの代わりに根菜を入れるのだ。「くたっとした野菜だとおいしくないでしょ(笑)。それに、皮付きの根菜じゃないと負けちゃうんですよ。豚肉の脂の甘味が強いから」

    使う野菜は「旬のものがいいです」と菰田シェフ。取材日は、紅芯大根、かぶ、万願寺唐辛子の3種類の野菜を使った。あくまで、その季節の野菜のおいしさを味わうための調理なのだ

    使う野菜は「旬のものがいいです」と菰田シェフ。取材日は、紅芯大根、かぶ、万願寺唐辛子の3種類の野菜を使った。あくまで、その季節の野菜のおいしさを味わうための調理なのだ

そう、あくまで主役は豚肉。聞けばマンガリッツァ豚の脂身は、ふつうよりも融点が10℃ほど低く、脂身にくどさがまったくない。その口どけの良さは筆舌に尽くしがたい。そしてなにを隠そう、このレシピはシェフがマンガリッツァ豚にほれ込んだために誕生した料理でもある。

「帯広によく行くのですが、十勝で〝マンガリッツァ豚〞を育てている農家があるって聞いて、伺って塩こしょうだけで試食したら、脂身が抜群に甘くて……。それを味わってほしくて、この回鍋肉をつくりました」

  • 回鍋肉に使用する豆板醤は、2種類。手前の赤ものが、店で発酵させた自家製豆板醤で、奥の茶色いものが四川省のピーシェン豆板醤。自家製板醤は発酵が止まっていない、生きた“発酵調味料”で、辛味と塩味は少なく、旨みが強い。この2種類を小さじ1ずつ入れることで、辛味、旨み、塩味、そして華やかな香りに仕上がる。

回鍋肉にはふつう甜面醤を入れるが、その思いがゆえに、菰田シェは入れない。そして、使う調味料も豆豉、酒醸(チューニャン)、塩、こしょう、と極めてシンプルだ。「素材のおいしさを味わってほしい。だから、大きさ、火の通し方、調味料、すべての調理に理由があります」

菰田欣也さん

菰田欣也さん

「野菜は何を使うか決めてしまうのではなく旬のおいしい野菜を選んでください。」

『回鍋肉』のつくり方

味付けはシンプルに、火入れは丁寧に。豚の脂身と根菜の甘味が主役

「豚の甘味を調味料にする」というシェフの話すイメージをベースに根菜の味わいも損なわないよう、味付け、火入れをていねいに仕上げる。

材料(2人分)

・ねぎ(青い部分) 1本分
・しょうが  1片
・豚バラ肉ブロック 200g
・実山椒 20粒
・紹興酒  30cc
・紅芯大根
・かぶ
・万願寺唐辛子
・豆板醤 小さじ2
・酒醸(チューニャン) 大さじ1
・豚肉の蒸し汁 大さじ1
・豆チ 大さじ1
・こしょう 適量
・塩 少々

つくり方

❶ ねぎは青い部分の頭を折っておく。しょうがを薄く小さめに切る。豚バラ肉ブロックをバットに入れ、ねぎ、しょうが、実山椒、紹興酒をまぶし、オーブンで30分ほど蒸す。

❷ 紅芯大根、かぶ、万願寺唐辛子を大きめに切る。豚バラ肉が蒸しあがったら、豚バラ肉を200g程度に分け、5mm幅にスライスしていく。豚肉の蒸し汁はとっておく。

❸ 中華鍋に油(分量外)を入れなじませたら捨てる。そこにスライスした豚肉を鍋に入れ、弱火で豚肉の香りを出すイメージで炒める。

❹ 鍋に豚肉の脂が出て、豚肉の脂の白い部分が透き通ってきたら、豆板醤、酒醸の順に入れ、中火にして鍋を振りつつ全体を混ぜ合わせるように炒める。

❺ 調味料の香りが出てきたら、野菜を入れる。軽く混ぜ合わせたら❷の蒸し汁を鍋に入れ、さらに炒める。

❻ 豆豉を入れたら、鍋を振りつつ、さらに全体が混ざるよ
うに炒める

❼ 最後にこしょうを振り、塩を入れ、軽く炒めたら完成。

『マンガリッツァ豚の回鍋肉』の3つのポイント

Point ①

豚肉は、炒める前に30分ほど蒸しておく

  • 生の状態の豚肉をいきなり炒めると肉が急激に縮んでしまう。そうならないためにも、炒める前に30分ほど蒸して火を入れておくことで、仕上がりの口どけがよりよくなるのだ。

Point ②

野菜は大きく切り、歯ごたえと食感を残す

  • 主役は豚肉ではあるが、旬野菜を味わうのもこの料理の醍醐味(だいごみ)。豚肉に負けないように、写真のように皮付きのままやや大きめに、歯ごたえと食感が残るように切る。

Point ③ 鍋肌が焦げつかないよう酒の代わりに豚の蒸し汁を使う
  • 鍋肌が焦げ付いてしまうと、せっかくの豚と野菜の味と香りが変わってしまう。料理酒だと余計な風味が出てしまうので、鍋に野菜を入れたら、❷の豚肉の蒸し汁を入れる。

いかがでしたでしょうか。【4000 Chinese Restaurant】の回鍋肉を、ぜひご自宅で再現してみてください。

教えてくれたのは 菰田欣也さん

  • 1968年生まれ。【赤坂四川飯店】へ入社し、【スーツァン・レストラン陳】料理長を経て、2008年、グループ総料理長に就任。2017年に火鍋専門の【ファイヤーホール4000】で独立し、翌年12月、南青山【4000 Chinese Restaurant】をオープン。

この記事を作った人

撮影/久間 昌史、大鶴 倫宣(店内) 取材・文/ヒトサラ編集部

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