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更新日:2018.07.06グルメラボ 連載

深夜のカウンター飯は蜜の味 | ソムリエ店主がつくる料理もおいしいプレシャスなワイン・バー【バパパ】

外資系企業やIT関連のオフィスが多いことから、ビジネス街としてのイメージが強い半蔵門駅近くの界隈のビルの一階にある【バパパ】。開店と同時に店の前に出されるメニュー・スタンドに気づかなかったら、そこが、“魔法のような魅力のあるワイン”と、そのワインとの相性がいい料理が楽しめる店とは知らずに通り過ぎてしまいそう。【バパパ】はそんな密やかなワイン・バーなのだ。

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 サインボードもない入口は、なんともクール。しかし、ガラスの扉を開けると、視界に入る白壁と明るい木目の色調の北欧風インテリアに心が和む。そして、カウンターの向こうから軽い会釈で歓迎してくれるのは店主の加瀬健二さんだ。

時が経つのを忘れさせるゆったりとした6席のカウンター

    6席のカウンターは、隣の席との間隔がゆったり。さらに、明るい色合いのウッドカウンターは奥行きがあり、それも、席に着いたときに寛げる理由のひとつといえよう

【バパパ】のある千代田区一番町は、メインの通りから少し奥に入れば、瀟洒な屋敷やマンションが並ぶ高級住宅街。そんな土地柄から、凝ったワイン・ラヴァーが常連の敷居の高い店かも、という先入観を抱く。ところが、「ワインのウンチクにこだわる方は、それほど多くはありません」と加瀬さん。ならば、肩の力を抜いて、一杯目のワイン選びの相談から店主との会話が始まる【バパパ】での時間を楽しんでみよう。

ワインラヴァーたちの間で評判のコラヴァンを使う

    コルクを抜くことなく中のワインを注ぐことができるコラヴァンを使用。酸化が抑えられるだけでなく、キャップシールを剥がす必要がないため、開封後も見た目の良さを保てるのも特徴。おいしいグラス・ワインを楽しんでもらうためにと、加瀬さんが選んだとっておきのアイテムだ

【バパパ】のワインセラーに用意されているワインは、基本、一杯ずつ楽しむグラスワインのためのもの。集められているのは、国や地方にはこだわらないが、若いワインではなく、こなれた味わいが楽しめる年代のもの。もちろん、セレクトはソムリエ歴10年の店主・加瀬さん。ちなみに、取材当日のおすすめワインには、1989年から2011年までワインが並んでいた。

    日替わりのおすすめワイン。今夜は、1989年から2011年までの、こなれた味わいのワインが揃えられていた。グラス1杯2,000円(税込)〜

【バパパ】のもうひとつの個性は、ワイン・バーにしては珍しく、品数は多くはないが前菜やメインの料理がメニューに並ぶこと。その料理をつくるのも加瀬さんなのだ。

    今夜のおすすめワインの中から、最初の1杯として薦めてくれたのが、英国王室御用達ワイン商、ベリー・ブラザーズ&ラッドのイングランドのスパークリングワイン。 初めてのワインとの出会いが、楽しみになる店だ

 カウンターの席に着いたら、まずは、その日に気分にあったグラス・ワインを一杯。美味しいワインで気持ちも疲れもほぐれてきたら、深夜とはいえ食欲も出てくる。加瀬さんの料理は、旬な季節の食材を使い、ソースや出汁も手作りという丁寧なもの。彩りも美しく、なにより優しい味わいがある。そのせいか、仕上げの料理の定番“カニライス”まで、しっかり食べる客も多いという。

彩りも美しい旬の食材を使った料理

    季節の野菜の温製ガルグイユ。1,600円(税込)。野菜が大好きという加瀬さんが丁寧に仕上げた、彩りも美しい一品だ

    和牛ミスジ肉ロックフォールソース3,500円(税込)。食感の柔らかな和牛ミスジ肉を使った、深夜でもヘビーになり過ぎない肉料理。自家製のロックフォールソースのまろやかなコクが食欲をそそる

    ワタリガニのコンフィの香りがたまらない、【バパパ】人気No.1メニューのカニライス。1,600円(税込)。今夜は青実山椒を散らして、さらに香り高い仕上げに。タイの高級香り米“ジャスミンライス”が大好きという加瀬さんが考案したオリジナルの料理だ

 実は、ソムリエとして必要とされる高いワインの知識の習得も、料理についても、まったくの独学という加瀬さん。そんな秘めたプロフィールも、通ううちに会話にのぼるかもしれない。それもまた楽しみだ。

 ひとつおすすめの情報を。それは毎日夕方6時頃にフェイスブックに更新される加瀬さんの書き込み。ある日のコメントはこんな一文。

「2000クロ・ド・ラ・ロッシュ/ルイ・レミー ごく一部のワインの、ある限られた季節にはワインというカテゴリーを超えた魔法のような魅力があるものですが、こちらのワインは今まさにそんな頃合いかも知れません。きっと、人生に余韻を残すワインです。本日もよろしくお願いいたします。」

    5月末のフェイスブックに、“本日のグラス・ワイン”として加瀬さんが書き込んだ2000クロ・ド・ラ・ロッシュ/ルイ・レミー

 仕事が長引いた日や、会食のあとにひとりで飲みたい時などに、こんな魔法のような魅力のあるワインのコメントに心惹かれて【バパパ】に向かうのもいい。気づいたら、いつか常連になっている、そんな店なのだ。

【bapapa(バパパ)】

電話:03-3238-0155
住所:東京都千代田区一番町23-2 番町ロイヤルコート101
アクセス:半蔵門から徒歩約2分
営業時間:月曜日18時~26時 土曜日18時~24時
定休日:日曜日

この記事を作った人

TEXT:堀 けいこ

音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。

PHOTO:小倉雄一郎(本誌)

記事元:MEN'S Precious

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