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更新日:2018.07.23旅グルメ

イギリス人が愛したあっつあっつのソウルフード!

全世界で活躍する和楽器グループ「AUN J クラシック・オーケストラ」。そのリーダーである井上良平が書き下ろす、音と食の魅惑ワールド。第7回目はイギリスはロンドンの庶民が愛するソウルフード『フィッシュ&チップス』の味と、庶民が愛して残してくれた和楽器のコラボレーションです!

イギリス人が愛したあっつあっつのソウルフード!

あのビートルズが初演したライブハウス!

    リバプール市内にあるキャヴァーン・クラブ前で

    リバプール市内にあるキャヴァーン・クラブ前で

 先日、1週間ほどイギリスへ行ってきた。車でケンブリッジ、チェスター、バース、ビショップストローなどを4都市を回ってきた。プライベートでもよくイギリスには訪れる機会が多い。今回はチェスターから車で1時間ほどで、リバプールに行けるので、ぜひ寄ってみたかった。なぜならイギリスといえばやっぱりビートルズ!そのビートルズが結成当時に初めてライブをしたというリバプール市内のキャヴァーン・クラブというライブハウスまで時間の余裕が出来たので足を伸ばしてきた。

 ちなみに1961年1月にビートルズとして初ライブ。のちのマネージャーになるかの有名なブライアン・エプスタインが見たのは、その10ヶ月後のことだったそうだ。その日から世界の音楽が変わったんだなと、いまだにその影響は世界中にあるんじゃないかな。そんなレジェンド的な雰囲気を感じる歴史あるライブハウスでした。僕が和太鼓で初めてのステージは18歳の頃、カナダのモントリオールであった。1988年2月カルガリー冬季オリンピックでのイベント出演だったな。

    ロンドンの風物詩である二階建てバスだ

    ロンドンの風物詩である二階建てバスだ

 ということでここはロンドン。やはりイギリスといえば、フィッシュ&チップスが代表的な庶民のソウルフードだ。今回は、その魚とジャガイモだけのシンプルな料理をご紹介したい。イギリスではファーストフードとして親しまれ、庶民の味方で長い歴史がある。

世界を変えたビートルズも食べたかも!?

    店内は清潔で高級感もあって良い

    店内は清潔で高級感もあって良い

 僕はこのフィッシュ&チップスが結構好きで、ニューヨークでも、アイルランドでも、東京でも食べたことがある。タラが主体ではあるが、カレイやオヒョウといって巨大ヒラメも多く使われるそうだ。産業革命以降、大量に物資が運べるようになり、魚などもロンドンへ運ばれ、労働者の食べ物として、愛されることになる。1913年には英国国立フィッシュ・アンド・チップス連盟が出来て、フィッシュ&チップスの販売法と調理法の教育がされたそうだ。それほどイギリス人が愛したフードである。これはなんとしても現地で食べなければならない。

    イギリスらしいパブの入り口

    イギリスらしいパブの入り口

 今回、訪れたのはビックベンからほど近い場所にある。典型的なイギリスのバーっていう感じでなかなかいい。今回、ふらっと立ち寄った【THE CLARENCE】の一階はパブっぽい感じで、僕らは2階へ行くことにする。席に座り、フィッシュ&チップスを注文。英語の発音が悪くてもこれは通じるので安心。どこで食べても同じ味わいが楽しめるのがいい。

    店内は清潔で高級感がある

    店内は清潔で高級感がある

モルトビネガーをつけてワシワシ食べる

  • モルトビネガー!

    モルトビネガー!

 どこでもイギリス人はふつうに食べてるね。日本人的には普通、レモンを絞りタルタルソースをつけて食べる人が多いと思うけれど、現地でお勧めはモルトビネガーと呼ばれる麦芽酢で、すっきりとした酸味の酢をかけて食べるのだ。この酢は日本の酢とは違い、酸味も少なく、ポテトに染み込んでも、衣と魚の間に入り込んでもいい感じなのだ。

 塩をパラパラとふったポテトや魚に、モルトビネガーをたっぷりとひたひたになるまでふりかけて、ワシワシ食べるのだ。それはまるで箏のアルペジオにのって中棹三味線と尺八の即興的な演奏とともに、締め太鼓の甲高い音の響きで包み込む感じだ。

    これが本場の『フィッシュ&チップス』!

    これが本場の『フィッシュ&チップス』!

 そのモルトビネガーをたっぷりとひたひたになるまでふりかけて、あっつあっつの大きめのポテトに粗塩がパラパラとそっと包みこんだものと、衣はさっくりふわふわした感じで、口の中でハラハラとばらけるジューシーな白身の魚を、交互に口へ頬張り、ワシワシ食べるのだ。それはまるで箏のアルペジオにのって中棹三味線と尺八の即興的な演奏とともに、締め太鼓の甲高い音の響きで包み込む感じだ。

    ハラリとほどけた白身魚を垣間見る幸せな瞬間

    ハラリとほどけた白身魚を垣間見る幸せな瞬間

 そしてなによりもなによりもここで欠かしてはいけないのがビールである。ともあれ冷たいビールをグビリ。それはまるで太鼓のリズムの単純な連続音に、陶酔し、フレーズのリフレーンを繰り返すことによって、トランス状態にまで導くぐらいの、このワシワシ、グビグビは強烈なメッセージを残してくれるのだ。

  • やっぱりこれは外せない!

    やっぱりこれは外せない!

 そんなこの単純な繰り返しがフィッシュ&チップスの正式な英国流の食べ方のようだ。またモルトビネガーのおかげもあり食感も軽く、油っこくないのがいいんだな。ぜひこれはお試しいただきたい。またマッシーピー呼ばれる豆で作ったどろどろの緑色のものを添えて食べてもいいよ。

    ロンドン市内に掲げられた国旗

    ロンドン市内に掲げられた国旗

 ロンドンにはたくさんのパブがあり必ずといっていいほどフィッシュ&チップスがある。海外の雰囲気を楽しみつつ、あっつあっつの英国のふるさとの味を堪能してほしい。東京の六本木にも英国国立フィッシュ・アンド・チップス連盟がアジア第一号店として認定された店があるそうだ。今度、行ってみようと思う。

Info

AUN J クラシック・オーケストラ デビュー10周年記念
Les Frères × AUN J クラシック・オーケストラ「ガラコンサート」

2018年10月20日(土)和光市民文化センター サンアゼリア
住所:埼玉県和光市広沢1-5
開場 17:30 開演 18:00
チケット:指定席 5,000円(税込)
一般発売:8月18日(土)10:00〜
問合せ:HANDS ON ENTERTAINMENT TEL:03-6812-9539(平日11:00~18:00)

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この記事を作った人

文・写真/井上良平(和楽器奏者)

AUN(あうん)というグループで和太鼓と三味線や笛を演奏している双子の兄です。鬼太鼓座で12年間活躍し、AUNとして独立。2008年、8人グループ「AUN J クラシック オーケストラ 」を結成。和楽器をもっとみんなの心に届かせたいと思っています。

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