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更新日:2019.02.23食トレンド 旅グルメ 連載

“テロワールワインの王道”シャブリを再発見せよ!②

クラシックな白ワインの代表格として、あるいは生牡蠣に合うワインとして、日本でもつとに知られるシャブリ。実はそのシャブリはパリから日帰りでも行けるワイン観光の注目スポットだった。

可愛らしい町を特級のブドウ畑が取り囲む

    エリック・スザブロウスキーさんと“相棒”のシトロエン2CV。

 グリーンとアイボリーのツートーンのシトロエン2CVを降り、丘の上に立つと、眼下に一面のブドウ畑。その真ん中には教会の尖塔を囲むようにして、シナモン色の屋根を持つ家々が集まる可愛らしい町が佇む。シャブリのオフィシャル・エデュケーター&ガイド、エリック・スザブロウスキーさんのツアーはランドスケープの中に身を置き、ワインの生まれる風土を肌で感じることから始まる。

    グラン・クリュのブドウ畑からシャブリの町を眺める。町の向こう側にはプルミエ・クリュの畑が。

 シャブリが美しい町の名前でもあることを知っている人は日本にどれくらいいるだろう? パリから南東へ車で2時間半ほど。車窓の麦畑や菜の花畑にブドウ畑が混じるようになると、そこはもうシャブリだ。人口2,300人ほどの小さな町は四方を丘陵地に囲まれている。丘陵地の大半はブドウ畑、中でも町の北東側にある急斜面にはグラン・クリュの畑が連なる。ワイン好きにとっては涎の垂れそうな風景だ。

    シャルキュトリーの店やワインショップが軒を並べるシャブリの目抜き通り。

 また、シャブリの町を中心に周囲30キロメートルほどの圏内には「フランスの美しい町」に選ばれるような風光明媚な村が点在、評価の高いガストロミー・レストランも多い。さらには、この地域のワインの発展と切っても切れない縁のあるカトリック、シトー会の拠点ポンティニー修道院などの史跡もある。パリから近く、地域全体がコンパクトにまとまっていることが観光地としてのシャブリの強みだ。

    環境に配慮した昔ながらのスタイルで馬を使って鋤入れをする栽培家。

  • 「ドメーヌ・ラロッシュ」に残る13世紀の巨大なプレス機。収穫したブドウを発酵させた後、これで搾った。

  • ポンチニー修道院はシャブリの町から車で20分ほどのところにある。

 シャブリにワイン観光の波が押し寄せたのは4年ほど前のこと。2015年に「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」がユネスコの世界遺産に登録されたことがきっかけになったという人もいる。5年前と比べ、来訪者の数は20%も伸びた。日帰りする人と宿泊する人の割合は半々であると言う。

日本人シェフのレストランも好評

  • 左/【オ・フィル・デュ・ザング】のオーナー・シェフ、永浜良さん。右/ホタテのソテーに、クレソンとカブを使ったヴィネガー・ソース。

 シャブリのワイン観光の盛り上がりには日本人も一役買っている。レストラン【オ・フィル・デュ・ザング】のオーナー・シェフ、永浜良さんは東京・六本木の【ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション】、パリの【ル・ムーリス】などを経て、14年6月シャブリに店をオープン。日本人らしい感性を加味した料理が評判で、地元ワイナリー関係者が利用することも多い。すでにビストロスタイルの2号店【ル・トワ・ブルジョン】も町内に開店。永浜さんは早くも「観光地シャブリ」に欠かせない存在になっている。

人や風土を知ることでワインがもっと好きに

    セリーヌさん(左)とフレデリックさん(右)のゲゲン夫妻。

 セリーヌ・ゲゲンさんはシャブリの主力ワイナリーの一つで、早くからワイン観光に力を入れてきた「ジャン=マルク・ブロカール」のファミリーの出身で、結婚前は家業のツーリズム担当をしていた人。いつも笑顔を絶やさぬチャーミングな女性だ。現在は元同僚から夫になったフレデリックさんと新たなワイナリー「ドメーヌ・セリーヌ・エ・フレデリック・ゲゲン」を構え、自分たちのワインを造りつつ、ツーリスト用のテイスティングルームを整え、自宅隣りの借家を改装してジット(長期滞在者向けの貸別荘)を経営するなど、ツーリスト対応にも力を入れている。

    セリーヌさんが経営するジット。2ベッドルームで1週間700ユーロ(夏場の料金)。https://www.chablis-gueguen.fr

    「ドメーヌ・ラロッシュ」のブティックホテル「ロテル・デュ・ヴュー・ムーラン」。テラスからグラン・クリュの畑が一望できる。https://www.larochewines.com/fr

    「ジャン=マルク・ブロカール」がシャブリの中心部で経営するB&B「シャブリ・アパルトマン」。http://oenotourisme.brocard.fr/en/

「どんな環境でワインが生まれているかを見てもらえば、きっとシャブリがもっと好きになってもらえると思います。ワインの飲み手と直接会ってお喋りすることで、私たち生産者のモチベーションも上がりますしね」と、セリーヌさん。彼女のコメントに「造り手の人柄に触れることの魅力」もぜひ加えたい。

    春の芽吹きを待つブドウ畑。ワイン産地の景観は四季を通して見る者の胸を打つ。

 再来年には地域のワイン文化を立体的に紹介する施設「シテ・デ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ」(ボーヌ、マコン、シャブリの3箇所)が開館することが決まり、これに向けて、さらにこのエリアのワイン観光が盛り上がることが予想される。次回のパリ滞在の際には一足伸ばして、シャブリへGO!

※ガイド付きツアーの詳細は、ブルゴーニュワイン委員会シャブリワイン事務局の日本語版サイトでチェックを。☟

この記事を作った人

撮影/吉田タイスケ 取材・文/浮田泰幸

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