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映画『家族のレシピ』|斎藤工インタビュー~斎藤家の家庭の味、自身へのご褒美ゴハンとは〜

シンガポールと日本の外交関係樹立50周年をきっかけに製作された映画『家族のレシピ』(3 / 9日公開)。それぞれの国のソウルフードである「ラーメン」と「バクテー(肉骨茶)」がつなぐ、家族愛が描かれています。今回は、主人公・真人を演じた斎藤工さんに作品への想い、そして自身の家庭の味について伺いました。

映画『家族のレシピ』|斎藤工インタビュー~斎藤家の家庭の味、自身へのご褒美ゴハンとは〜

〜Story〜

一口食べれば記憶が蘇り、家族や故郷とつながることができる“家庭の味”。日本の「ラーメン」とシンガポールの「バクテー」、それぞれの国のソウルフードをモチーフに、2カ国3世代の家庭の味が繋いだ絆を描いた作品です。父親の死によって、幼い頃に亡くした母の故郷・シンガポールを訪れた青年・真人(斎藤工)が、家族の絆を取り戻すための“とあるレシピ”に出会うまでの旅が描かれています。

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

Interview

「食にまつわることで嘘がなかった。本当に美味しいリアクションは芝居を超える」

──劇中に登場する料理はどれもしずる感に溢れ、観ていると今すぐ食べたくなるグルメ好きにはたまらない作品ですね。

斎藤工(以下、斎藤):どれも本当に美味しかったです。エリック・クー監督の食に対するこだわりの賜物だと思います。監督はこの企画がスタートする前に、“ラーメンとバクテーが本当に合うのか”を半年以上かけて研究し、美味しいと判断できた段階で映画をスタートさせています。監督本人も食通で、映画に登場する料理は撮影を忘れてしまうほどの美味しさでした。

    劇中に登場した「ラーメン・テー」(再現)

    劇中に登場した「ラーメン・テー」(再現)

──食事のシーンで、斎藤さんが「美味しい」と語っている姿が本当に自然で、相当美味しいんだろうなと、観ているこちらも食べたくなりました。

斎藤:食にまつわることで嘘がなかったんです。美味しそうに“見えればいい”のではなく、“本当に美味しいもの”を監督が選んでくれていたので、僕らも芝居がしやすかったです。本当に美味しいと感じるリアクションって芝居を超える瞬間がありますから。

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

──今回はラーメン屋の役でしたが、料理人の役を演じるにあたり、何か学ばれたことはありますか?

斎藤:ラーメン屋を食べ歩いてお店の方の所作を観察したり、実際にスープを作ったりもしました。シンガポール料理との接点もなかったので、実際に「バクテー」も作ってみました。バクテーって作り方がとてもシンプルで、骨つきポークリブとニンニクを丸ごと、それに胡椒を入れて煮込むだけ。僕はそれに玉ねぎなどの根菜類を加えてアレンジしました。撮影が終わった今でも時々作っています。

──普段から料理はされるのですか?

斎藤:普段はあまりしないのですが、撮影中は比較的料理をしていました。食のシーンってどうしても物撮りっぽくなってしまう……、それがすごく嫌で。料理人として“見せる”だけでもいいのかもしれませんが、僕は実際に料理をして、美味しさを追求する過程で得たものを大事にしたいと思いました。

──それがあの自然な調理風景につながっているのですね。

斎藤:ありがとうございます。エリック監督もそこを大事にする方だったので、この現場では食にまつわる映像作品の難しさと醍醐味を味わうことができました。

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

──シンガポールでは、撮影後に現地のレストランなどには行かれたのですか?

斎藤:はい。エリック監督にいろんなお店に連れて行ってもらいました。中でも「ホーカーズ」と呼ばれるシンガポールの屋台で食べた100円、200円くらいの焼きそばが本当に美味しくて。

──ホーカーズに行かれてたのですね。

斎藤:本当にどれも絶品でした。ホーカーズは代々家族で営んでいるお店が多くて、メニューをあれこれ増やして間口を広げるのではなく、「うちはこれで行く!」と決めた料理をずっと探求し、進化させ続けています。1つの道を極め続ける、これが本来の料理人の姿だと感じました。屋台がミシュランの星を獲得するというのも納得です。

──この作品は家族愛について描かれていますが、そんな中にもエリック監督らしい社会派の部分も描かれていましたね。

斎藤:そうですね。社会性のある作品が多い中で、この作品は比較的ファミリー映画ではあるのですが、シンガポールと日本の歴史にも踏み込んでいます。シーンとしては長くはないですが、テーマとしては大きく描かれていて、食というフィルターを通して社会性のあるテーマが融合されていくバランスが見事だなと思いました。

──印象的だったのが、おばあさんとの食事シーン。とても感動的でした。

斎藤:おばあちゃんとのシーンでは湧き上がる感情があって……。僕も演じていて感極まってしまいました。スタッフもエリック監督も泣きながら撮っていたようです。現場にいた全員があのシーンを成立させていた。あの現場では“何かが宿った”という実感がありました。

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

──観ていて家庭の味の真の強さを感じました。では最後に、斎藤さんにとっての家庭の味は何ですか?

斎藤:斎藤家の家庭の味は、砂糖を一切使わず、みりんなどを使った甘くない「卵焼き」です。それ以外の卵焼きを食べたことがなくて、20歳くらいの時に甘い卵焼きに初めて出会ったんです。その時に、世間では甘い卵焼きがスタンダードな家庭が多いことを知りました。それを否定はしないですが、僕の中で甘い卵焼きはスイーツのジャンルに入るんです。だから、甘い卵焼きを作る彼女とは共通の未来を描けない(笑)。それくらい僕にとって卵焼きの味は重要なんです(笑)。

〜斎藤工の「ご褒美ゴハン」〜

主役は米! 釜で炊いた「白ご飯」

「釜でお米を炊いてくれる鉄板焼き屋があって、炊き立てのご飯とそれに合う料理を出してくれたり、おこげやおじやも楽しめるんです。僕ら日本人は米や大豆の歴史・文化なので、お米をじっくり味わうことは最高の贅沢です」

日本初! 「キュリナリーシネマ」イベントレポート

    主演の斎藤工と監督のエリック・クー

    主演の斎藤工と監督のエリック・クー

『家族のレシピ』の公開を記念して、2019年2月2日に東京・PLUSTOKYOにて劇中に出てきた料理の実食会を含む、キュリナリーシネマイベントが開催。キャストの斎藤工、ジネット・アウ、監督のエリック・クー、そして主題歌を担当したシシド・カフカが出席しました。

  • 壇上で「ラーメン・テー」を食す斎藤工ら

    壇上で「ラーメン・テー」を食す斎藤工ら

  • 「ラーメン・テー」のほかに、キャストの家庭の味も再現

    「ラーメン・テー」のほかに、キャストの家庭の味も再現

「キュリナリーシネマ」とは、ベルリン国際映画祭やサンセバスチャン国際映画祭などに設置されている、食がテーマの作品を選出する部門。同部門では映画上映と食事がセットになっていることから、今回のイベントでも試写を観賞後に、映画に登場するラーメンとシンガポールのソウルフード・バクテー(肉骨茶)を組み合わせたメニュー「ラーメン・テー」が約50名の方に振る舞われました。

劇中に出てくるメニューが再現され、それを食べられることから、観客に作品の魅力が直に届くのがこのイベントの魅力。斎藤は、「映画の新しい楽しみ方だと思います」と語っていました。

『家族のレシピ』

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

実家のラーメン屋で働く真人は、日本人の父とシンガポール人の母の間に生まれた。急死した父の遺品の中に、20数年前に亡くなった母の日記を見つけた真人は、若き日の両親の足跡を追ってシンガポールに渡る。叔父や祖母と出会い、両親のせつない愛の秘話を伝えられるが、そこには真人が初めて知る両国の痛ましい歴史が横たわっていた。日本料理の板前だった父と、街の食堂の娘だった母を結びつけたバクテーとはどんな味だったのか。そして母が叶えたかった願いとは――。

  • ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

    ©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

  • 『家族のレシピ』
    2019年3月9日(土)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー
    斎藤工、マーク・リー、ジネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子
    監督:エリック・クー(『TATSUMI マンガに革命を起こした男』)
    主題歌:シシド・カフカ「Hold my Hand」
    2018/シンガポール・日本・フランス合作/日本語・英語・中国語/DCP/カラ―/ビスタ/89分/原題:RAMEN TEH

『家族のレシピ』予告

この記事を作った人

撮影/三橋 優美子(斎藤工) 取材・文/シマアキコ(ヒトサラ編集部)

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