ヒトサラマガジンとは RSS

日本へ帰国したパリの一ツ星【Sola】の元オーナーシェフ、吉武広樹氏 | 第3~4話

国内外から注目を集める一流シェフや料理人、食に精通するスペシャリストをゲストに招き、食のトレンドをお届けするインターネットラジオ番組『ヒトサラ シェフズテーブル』。Vol.39~40のゲストは、フランス・パリより帰国し、2018年12月に【Restaurant Sola】、【Bar Porte】をベイサイドプレイス博多にオープンした【Sola】の元オーナーシェフ、吉武広樹さんの回をお届けいたします。

Sola

 今回のゲストは、前回に引き続き、パリから拠点を移し、博多にお店をオープンしたトップシェフ、【Restaurant Sola】の吉武広樹氏。

スポーツ万能で活発な幼少期を過ごした彼は、学校の教師をしていた両親から厳しく育てられ、早く自立したいという気持ちから寮制の学校へ進む。やんちゃな少年時代を過ごした彼が、料理と本気で向き合うきっかけとなったエピソードや修業時代の生活、そして奥様との出会いなどプライベートな話を公開します。

第3話:吉武広樹シェフの幼少期から料理人になるまで

将来の夢は美容師?!料理人を目指したきっかけとは

――料理人になろうと思ったきっかけは?

吉武:料理人を意識し始めたのは、坂井シェフが出演されていた「料理の鉄人」です。小さい頃からずっと見ていたので興味があったんだと思います。本気で目指したのは、その坂井シェフが講師として学校に来られた時でした。その頃の僕はちょっとやんちゃだったんで、悪い仲間とみんなで講義を見ながら、「俺があの店入ったら面白くない?」みたいな話が一番のきっかけだったんです。それで先生に相談したら「学校の恥として推薦できない」って言われて(笑)。翌日坊主にして「俺は本気で考えているのでやらせて下さい」と頼んだんです。

味は人なり。その真意を学んだ修業時代

――面接時の熱い握手から採用が決まり、上京して【ラ・ロシェル】の新入社員としてのスタートはどうでした?

吉武:最初の一年間は、キッチン希望でもホールなんです。その時点で嫌気がさして出ていく子もいましたね。調理場に入ったとしても、皿洗いや片付けをなど、先輩たちの使う道具の整理整頓が主な仕事でした。フラストレーションが溜まる人もいて、「こんなんだったら小さい店で働いた方が……」っていう人は多かったですね。

――でも、すぐ辞めて他の店へ行ったら上手くいくかっていうと、そうでもないですよね。

吉武:はい。そこでもまた負けず嫌いな性格が発揮できたのか、頑張ろう、やってやろう!と思いましたね(笑)。

――修業で一番得たものは?

吉武:掃除が大事だということと、人付き合い。料理以外の部分ですね。調理技術はやれば後からついてくる。でも人間としての基礎の部分をしっかり言われました。掃除もそうですが、細かいことに気が付けない人間は、食材に対しても気が付けない。自分が働く環境が汚れていても平気な人間は、食材に対してもそんな扱いをしてしまう。そういう部分を叩き込まれ、積み重ねが今に繋がっていると思います。

――まさに、“味は人なり”ですね。

▼ラジオを聴いてみる

第4話:修業と世界放浪で経験したもの

 人間が生きていく上で大切な「食」が、世界ではどのように考えられているのか? 好奇心の強い吉武氏ならではの視点で始まった世界放浪の旅は、エキサイティングかつ感動が詰まった貴重な体験に。包丁ひとつでどこまで勝負できるのか、アジアをはじめ中東からフランスまで陸路で渡った料理人の旅路を語り尽くす。

国境を陸路で渡る料理人

――色んなものにインスパイアされて2006年に海外へ旅立つわけですが、フランスやイタリアではないエリアに行かれたんですよね?

吉武:バックパックの中に包丁から料理道具一式を入れて、アジアに入りました。ちょっと危ない人ですけど(笑)。タイに降り立って、その後、陸路から色んな国を回って、泊めてもらう代わりに料理を作ったり、出会った人の結婚式の料理を作ったり……。世界中でいろんなことをやってきましたね。特にタイの奥地で作った結婚式の料理は、キッチンも外なので、カセットコンロや井戸水で120名くらいの料理を作って。三日くらいかけて作りましたね。

――すごい大自然。まさにダイニングアウトですよね。

サステナブルな取り組み~問題提議と改善への提案~

――「見たい」という興味から、中東の国境を自分の目で確かめに行ったり、フランスの最先端の技術を学びに行ったりしてきた吉武さんですが、いま具体的にどんなことに取り組んでいるのですか?

吉武:佐賀県では、年間約7,000トンの焼き物を精製する粘土を作っていて、その内10%くらいは粘土質がないから使えないんです。7,000トンの10%は700トン。その700トンの土を産業廃棄物として捨てていて、その土で何か新しいものができないかと、伊万里の伝統的な釜元の若い仲間と一緒になって作っています。ただ、やっぱり僕らだけでは到達できない所がたくさんあって。そういう問題をみんなでシェアし、必要な人たちを集めて新しいものを作っていきたい。批判よりも提案をしたいと思っています。

▼ラジオを聴いてみる

ゲストプロフィール

    旅で研ぎ澄まされた五感から創り出される、枠にとらわれない料理の数々で多くの人々を魅了している。

    旅で研ぎ澄まされた五感から創り出される、枠にとらわれない料理の数々で多くの人々を魅了している。

【Restaurant Sola】 吉武 広樹 氏

1980年8月、佐賀県生まれ。「料理の鉄人」坂井宏行シェフに魅せられ、料理人を目指す。【ラ・ロシェル】にて3年間、【ル・ピラート】にて3年間、フレンチの基礎を学び、26歳のときに1年間で世界40か国近くを巡る放浪の旅へ。帰国後、渡仏し【アストランス】にて半年間修業し、2009年9月、シンガポールのデンプシーヒルに【HIROKI88@Infusion】を開店。2010年1月、シンガポールレストラン協会が開催するコンテストにて、部門最優秀賞「Best New Concept Award 2010」を獲得。 2011年3月、パリの中心部5区に44席のレストラン【Sola】を開店。 2012年3月、開店からわずか1年3ヶ月で「ミシュランガイド フランス2012」で一ツ星を獲得。 2014年11月、「RED U-35」第2回グランプリを受賞。テーマは、「故郷 伝統―革新」。 2017年より各地でイベント等を行うなど精力的に活動後、満を持して2018年12月、福岡にお店をオープン。

【Restaurant Sola】、【Bar Porte】

電話:092-409-0830
住所:福岡県福岡市博多区筑港本町13-6
ベイサイドプレイス博多C館2F
時間:18:00~ (予約最終受付)20:00
定休日:日曜

この記事を作った人

ヒトサラ編集部

編集部ピックアップ

週間ランキング(12/7~12/13)

エリアから探す