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更新日:2019.06.14食トレンド グルメラボ 連載

楽天がつくる「未来を変える買いもの」のかたち/~食の明日のために~vol.11

昨年末、楽天が「未来を変える買い物を。」をコンセプトとしたサイトをスタートしました。国際フェアトレード認証を取得したスイーツや飲料をはじめ、環境や社会に配慮したサステナブルな商品を集めた「EARTH MALL with Rakuten(アースモール ウィズ ラクテン)」。未来につながる食アイテムがいつでもどこでも買える入口となるこのサイトは、サステナブルな食に向き合う生活を、がっちりサポートしてくれそうです。

楽天がつくる「未来を変える買いもの」のかたち/~食の明日のために~vol.11

なぜ今、持続可能なサイトなのか

「どうせ買いものをするなら、ちょっと地球にいいものを買いたいな」、「だけど実際どう選べばいいか分からないし、そもそもスーパーに置いてないし…」――そんな声に応えるべく、昨年11月、楽天が新しいプロジェクトをスタートしました。その名も「EARTH MALL with Rakuten(アースモール ウィズ ラクテン。以下EARTH MALL)」。「未来を変える買い物を。」をコンセプトに、「楽天市場」の中から、環境、社会、経済への影響に配慮した商品「だけ」を集めて紹介するサイトです。スイーツや飲料、調味料をはじめ食アイテムの充実にも大きな力を注いでいます。

    楽天のサステナビリティ部マネージャー、眞々部貴之さん。EARTH MALL with Rakutenの企画・立ち上げから運営を担う

    楽天のサステナビリティ部マネージャー、眞々部貴之さん。EARTH MALL with Rakutenの企画・立ち上げから運営を担う

日本最大級のインターネット・ショッピングモール「楽天市場」を運営する楽天が始めたこの新しい試みは、社会的インパクトの大きさもあり話題を呼んできました。本プロジェクトの企画・立ち上げから現在の運営までを担う、楽天のサステナビリティ部マネージャー、眞々部貴之さんは話します。

「私がサステナビリティ・CSRの担当として楽天に入社したのは2015年。その当時から、こんなサイトをつくれるといいなという考えはあったんですが、まだ社会が受け入れないというか、機が熟していなかったんですね。それが昨年、同じ思いを持つ社内のメンバーと意気投合したときに、『今の楽天ならできるかもしれない』と感じたんです。ちょうどSDGsが注目を集め、社会は大きく動いていましたし、慶応義塾大学の蟹江憲史先生など多くのキーマンとつながったこともあって、一気にプロジェクトが進みました」

    EARTH MALLは「地球のための買い物」をうたう

    EARTH MALLは「地球のための買い物」をうたう

広がる商品のラインナップ

2019年4月現在で、「EARTH MALL」の取り扱い商品数は約11,000。環境、社会、経済の3つの側面に配慮する商品やサービスの紹介が原則なので、現在はこれらすべてを考えて審査を行う7種類の国際認証※を得た商品を取り扱っています。

フードアイテムでは北海道産の冷凍ホタテ貝柱やベトナム産の冷凍白身魚などのシーフード、水産加工品、エチオピア産コーヒーやスリランカ産紅茶、南アフリカ産ワインやオーガニックビールなどのドリンク、パレスチナ産オリーブオイルやスパイス類、ベン&ジェリーのアイスクリームまで、さまざまな商品が販売されています。

※①シーフードのエコ認証と呼ばれるMSC認証、②養殖シーフードのエコ認証であるASC認証、③森を守る仕組みのFSC認証、④持続可能なパーム油生産を保証するRSPO認証、⑤持続可能な農業を守るシステムから生まれた商品のレインフォレスト・アライアンス認証、⑥国際フェアトレード認証、⑦オーガニック繊維製品のGOTS認証)

  • 「EARTH MALL」で扱う様々な商品

    「EARTH MALL」で扱う様々な商品

  • MSC認証やフェアトレード認証を取得したフードアイテムも揃える

    MSC認証やフェアトレード認証を取得したフードアイテムも揃える

「最近は店舗さんから『こんな商品が出ましたよ』などというお声がけをいただくことも増え、商品数はモールオープン当初から1.5倍になりました。でも楽天市場全体の掲載商品数が約2.5億点あることを考えると、まだまだ伸びしろがあるはずなんですよね。食の分野は1200点ほどなので、どんどん増やしていきたいです」

欧米と違い日本には国際認証製品が少ないこともあって、認証を取得してない商品でもキュレーターが良いと認めた商品も紹介しています。今後は生鮮食料品が加わる可能性もあるそうで、ラインナップが増えれば買い手の選択の幅が広がりますね。

会員ID数1億人超えの楽天だからこそできること

「EARTH MALL」の運営方針は、「徹底的に敷居を下げること」。誰にでもわかりやすく、やってみると実は楽しい取り組みが大事、という眞々部さんが勧めるのは、「EARTH MALL」で調達した食べ物や飲み物を使っての仲間とのイベントです。

「日々の生活で使うのもいいですが、イベントなどの中で、実際使ってみるとモチベーションが上がります。先日、編集部の仲間で『サステナブル花見』という集まりを企画して、これがすごくよかったんですよ。事前に皆で何を持っていくか、どうすればゴミが出ないかをいろいろ相談したんですが、そのプロセスがまずゲームのようで楽しい。そして当日はセッティングも片付けも普段の花見よりずっと楽で、終わった後の心もすっきり。帰宅後も花見の楽しさが持続したんです」

  • 世田谷区の某公園で行われた、梅を見る花見の会。気温は低い時期だったそうですが、いいお天気で気持ちよさそう!

  • Luke’s Organicケールチップス、JADEのオーガニックビール、ASC認証パンガシウスのフリッター、フェアトレードチョコレート、MSCサバ缶を使ったサンドイッチとピタサンド、フェアトレードワインで作ったホットワイン、コウノトリ米のおにぎりなど

ちなみに、当日のルールは下記のとおり。
・食べ物、飲み物→可能な限り「EARTH MALL」で調達、ビールは飲みたい
・シート→使い捨てのものは使わない、椅子持参
・お皿、お箸、コップなど→持参
・ゴミ袋→ゴミは出さないつもり

    サステナブル花見の乾杯。ボトルに予め詰めたドリンク(フェアトレードワインのホットワインや紅茶)とオーガニックビールで「チアーズ!」。ビール瓶はリサイクルするから、ゴミはほぼゼロ

    サステナブル花見の乾杯。ボトルに予め詰めたドリンク(フェアトレードワインのホットワインや紅茶)とオーガニックビールで「チアーズ!」。ビール瓶はリサイクルするから、ゴミはほぼゼロ

エシカル、サステナブルといえば、なぜか一部の「意識の高い人たち」のものになりがちです。そんな現状を変えたい、もっと誰でも取り組めるものにしたいと言う眞々部さん。難しい知識がなくとも一歩を踏み出せて、肩肘をはらずに誰でも楽しめるサステナブルな取り組みを、買い物から――「EARTH MALL」を通じてそんな姿を目指すプロジェクトチームの思いは、”Shopping is Entertainment”という楽天のオリジナルコンセプトにも通じます。

日本国内における楽天会員数は、なんと1億超。年間の国内EC流通総額は3.4兆円です(トラベル等も含む、2018年度)。もし1億人分の日々の買い物が、この先10回に1回でもEARTH MALLを経由しサステナブルなものになれば、きっと大きな潮流を生み出すに違いありません。眞々部さんは言います。

「EARTH MALLを立ち上げてまだ半年足らずですが、その短い期間でも、社会の潮目が変わってきたと感じます。今はムーブメントを皆で作っていることを実感できる、楽しい時期。この流れが加速すれば、この先『楽天市場』全体の商品にサステナビリティ指標を持たせるなど、『EARTH MALL』の機能を拡大することも構想にあります。1億以上の会員数を持つ楽天だからこそできることを、真面目に、でも楽しく考えていきたいですね」

この記事を作った人

佐々木ひろこ
日本で国際関係論を、アメリカでジャーナリズムと調理学を、香港で文化人類学を学び、現在はジャーナリストとして、主に食文化やレストラン、料理をメインフィールドに取材を重ね、雑誌、新聞、ウェブサイト等に寄稿している。水産資源が抱える問題に出会ったことをきっかけに、若手シェフらと海の未来を考える料理人集団「シェフス・フォー・ザ・ブルー」を立ち上げ、積極的な活動を展開中。

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