誰でも“気軽に”行ける! 名店「鳥さわ」の新店|【鳥さわ 麻布十番】
予約困難店として知られる焼鳥【鳥さわ】が、完全紹介制の【鳥さわ22】に続いて新たに立ち上げた、【鳥さわ 麻布十番(旧店名 TORISAWA CA10AL)】。店名通り、“誰でも気軽に行ける”というコンセプトのもと、あの名店の味がカジュアルに食べられるとあって、早くも話題を呼んでいます。
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完全紹介制【鳥さわ22】とは真逆の、“誰でも気軽に行ける”店
麻布十番で、亀戸店と同じ鶏・同じ価格を実現
【鳥さわ】で受け継がれる、“ふつうにならない”こと
完全紹介制【鳥さわ22】とは真逆の、“誰でも気軽に行ける”店
【鳥さわ】はもともと東京の下町・亀戸で予約の取れない店として名を馳せ、西麻布に進出。2号店として出店した完全紹介制の焼鳥店【鳥さわ22】は、一見さんお断りにもかかわらず、現時点(8月)で年内の予約は埋まっているほどの人気です。
【鳥さわ 麻布十番】は12席のカウンターのみ。手前の入り口付近に、ウェイティング用のテーブルあり
もともと予約困難だったお店が、さらに紹介制というハードルの高さに、諦めていた方も多かったのではないでしょうか。そんな、「超」がつくほどの予約困難店が、“誰でも気軽に行ける”というコンセプトのもと、待望の3号店を麻布十番にオープンしました。高級店や隠れ家が連なる大人のエリアですが、ビルの8階でエレベーターが開くと、店内は白を基調としたスタイリッシュな作りで、清々しい印象です。
麻布十番でも、人気の亀戸店と同じ鶏で、同じ価格を実現
じっくりと火入れをおこなう、『しらたま(うずらの玉子)』と『ソリレス』
串は『かしわ(もも肉)』からスタートし、『白玉(うずらの玉子)』、『銀杏』、『レバー』、『ハツモト』、途中で野菜や前菜を挟み、『つくね』、『合鴨』、『せせり(首まわりの肉)』、『ちょうちん』など約20種類。亀戸店と同様に、腹八分めで焼き物のストップをかけたら、〆のご飯ものが案内されます。その人のその日の気分で“食べたい分だけ”が叶う場所です。
人気の串『ちょうちん』
ほとんどのお客が注文するという人気の一品『ちょうちん』
なかでも『ちょうちん』は人気で、おまかせの順番の途中で「次、ちょうちんをお願いします」と、お腹がいっぱいになる前に注文するお客も多いそうです。卵に形成される前の卵黄「きんかん」が、口のなかでプチっと弾けたあとに、ねっとりと濃厚な食感が広がり、ファンが多いのも頷けます。
弾力のある『ソリレス』
ももの一部『ソリレス』は、ももより弾力があり、旨味が強い
鶏一体に、骨盤の左右それぞれ1つずつしかついてない希少な部位『ソリレス』は、皮目パリッと、ジューシーさも兼ね備えており、そのバランスの良さに魅了されます。一般的な焼鳥屋さんではなかなかお目にかかれない部位が登場するだけでなく、それぞれの旨味を引き出す火入れの妙が、人気の理由です。
甘さのある小さな芋『アピオス』
3cmほどの小さな芋『アピオス』は、ネイティブ・アメリカンの栄養源として食されてきた、大注目の野菜
皮ごと食べることができ、ホクホクと甘みを感じる『アピオス』。日本では「アメリカホドイモ」と呼ばれ、原産は北米。現在もアメリカ産のものが主流ななか、こちらでは希少な日本産を使用しているそうです。【鳥さわ22】でも提供されている、人気の一品。
黄身がはじける『しらたま』
串がスタートして、2本目に提供されるのが新鮮に感じる『しらたま』
黄身の部分が凝固し始めたくらいのレアな状態に仕上げる、うずらの玉子『しらたま 』。口に触れた瞬間、ぷるんと柔らかな弾力とともに、ギリギリまで水分を含んで膨れているような状態がわかります。一般的なうずらの串に感じるパサっと感はまったくなく、トロリとなめらかな口当たりと、表面の香ばしさがあいまって、奥行きのある旨味を感じることができます。
鮮度のいい『レバー』
美しさとおいしさが比例する、照り輝く『レバー』
質と鮮度、手入れも行き届いた【鳥さわ】の『レバー』は、限りなくレアに近い絶妙な火入れで、臭みや食感のクセもないため、こちらも人気の品。
〆の一品『鳥そぼろ』
『鳥そぼろごはん』の味付けは焼き鳥のタレだけで、ごくシンプルな味わいに
『鳥そぼろごはん』は、シンプルなそぼろ丼に仕上げてあるので、軟骨の食感が上品に引き立っています。お店で食べるのがおいしいのはもちろん、お土産として持ち帰りもできます 。むしろ「持ち帰って、冷えてからの方がおいしい」 という意見もあるのだそう。
コース設定はなく、お客様が食べたい分、食べられる分でストップをかけるシステム。
テンポよく、バランスよく食べ進めていると、女性でも串の数は15本以上食べられてしまうのだとか! それでも、シメのご飯ものやドリンクを含めて、お会計は1万円を超えないことがほとんど。麻布十番は若いお客が多くなってきたので、お酒も亀戸店と同じ値段設定にしているというのも嬉しい限りです。
紹介制をとる【鳥さわ22】では、一流ワインや地鶏も扱っているため、どうしても同じ仕入れ値というわけにはいかないものの、ここ麻布十番では、人気の亀戸店と同じ鶏・同じ価格を実現しているそう!
【鳥さわ】で受け継がれる、“ふつうにならない”ということ
【鳥さわ 麻布十番】の立ち上げを任された店長の濱田暢之さんは、親方であるオーナー中澤章さんの後を継ぎ、【鳥さわ】のルーツでもある亀戸店を約4年間切り盛りしてきた人物です。
気さくな濱田さんの人柄も、居心地の良さに通じている
【鳥さわ】が予約困難店となり、人気が加速していくのを間近で見ていたからこそ、“誰でも気軽に行ける”という新たなコンセプトに共感したのだといいます。
「焼鳥って本来は、思いついたときに行けるお店であってほしいじゃないですか」という濱田さん。中澤さんと他の焼鳥屋さんへ食べに行くことも多いそうで、コースでもなく、食べたい分だけ食べられて、気の向くままに使えるお店であってほしいという想いも随所に感じられます。
亀戸店を引き継ぐ際に親方に分けてもらったというタレは、継ぎ足しでその味を守っているそう
味を受け継ぐなかでも、濱田さんが「必ず伝えていきたいこと」と語るのは、“ふつうにならない”ということ。たとえば串の刺し方ひとつとっても、親方の中澤さんは、均一に揃っているよりも、自分の個性を出すことで焼鳥1本1本に躍動感が出てくると考えるのだそう。均一にした方が火は入りやすいものの、「焼きやすい=おいしいとは限らない」と考え、『串に色気をもたせる』のが、“鳥さわ流”なのです。
「今後は、入り口のウェイティングスペースのテーブルで立ち飲みできるように提供しようかとも話しています」と濱田さん
名前こそカジュアルですが、崩すばかりではなく、守るべきものは守っていく濱田さんだからこそ提供できる、名店の味。早くも話題の店ですが、今ならまだ席の空いている日もあるとのことで、受け継がれるその味を、誰でも体験することができます!
撮影/今井 裕治 取材・文/藤井 存希(フリーライター)
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