蔵前【めしと、さけ anno】|おうちの延長線上にある、味わいと空間で温かいひとときを
古くから、ものづくりの街として発展した蔵前。近年では、ここを拠点とするクリエイターも増え、独自のスタイルを持つお店が増えています。注目を集める東東京エリアに新たな一軒が登場しました。2019年10月にオープンした【めしと、さけ anno(アンノ)】です。
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素材を吟味し、手間をかけた、家庭料理以上のメニュー
洗練されたデザインのプロダクトは購入も可能
下町らしさあふれる、温かい交流も生まれるスポット
厳選素材にひと手間かけた家庭料理は、“いつも以上”の味
蔵前の街を見守り続けるシンボル「鳥越神社」のほど近く。表通りを少し入った静かな一角に【めしと、さけ anno】はオープンしました。店主の阿武真亜子さん曰く、〝外食と家庭料理のあいだ〟というこちら。
お品書きには、アジフライや肉豆腐、ぬか漬けにおにぎりなんて、慣れ親しんだ料理が並んでいます。普段着のメニューにゆるり寛いだ心地で口に運ぶと、はっとするほど美味しい。
例えば、『里芋の唐揚げ』。
ほくほくと柔らかい里芋の一品は、お酒のアテにもぴったり。時期により里芋の品種は変わる。『里芋の唐揚げ』800円(税抜)
からりと揚がった熱々の里芋は、ねっとりトロけるような口当たりとともに、ふくよかな香りと優しい甘さが広がります。秋冬に使っているのは、山形の伝承野菜『甚五右ヱ門芋』。「とろりと柔らかく仕上がるのに、決して煮崩れることがないのです」と阿武さん。
さらに、揚げる前に煮っころがしにすることで、ほんのりと甘辛い味をまとい、里芋の上品な旨みを引き立たせています。素材を吟味して、ひと手間を惜しまない。日々のおうちごはんではなかなか難しいことを、丁寧に実直になされた阿武さんの料理は、まさに“家庭料理以上”なのです。
セリが入荷したときに登場するメニュー。時期により、他の野菜が使われることも。『豚肉とセリのサッと煮』1,000円(税抜)
季節素材のセリは、豚肉と合わせてサッと煮に。根ごと使っているので、しゃきっとした歯触りとともにセリ特有の香りが広がります。旬の味わいを存分に楽しめるように仕上げた一皿です。
家庭ではなかなかできない、美味しいものを少しずつ盛り合わせに。『前菜盛り合わせ』900円(税抜)
多彩な前菜は盛り合わせに。この日は、熊本の油揚げ「南関あげ」にきのこペーストをのせた和風ブルスケッタ、カリフラワーと長ねぎのポタージュ、春菊と菊花のおひたし、れんこんとクルミのペペロンチーノ風、そして酢たまご。定番の味から、組み合わせの妙や意外なアレンジが楽しいものまで、少しずついただけるのが嬉しい。
お酒は日本酒や自然派ワイン、焼酎、ウィスキーなどを取り揃えて、料理に合うものをセレクトしています。入荷本数が限られたものもあり、季節によって銘柄を変えているので、どんなお酒があるか巡り合わせを楽しんでみてはいかが?
デザイン事務所ならではの洗練された空間とアイテム
街に溶け込んだような建物の2階にある【anno】に向かうとき、窓越しに素敵なアイテムが見える1階を目印にしてもいいかもしれません。
1階は【ALLOY】の事務所兼ショップ、階段で2階に上がって【anno】へ
こちらは、プロダクトデザイナーであり、阿武さんの夫である山崎勇人さんが代表を務める、「ALLOY」の事務所兼ショップなのです。以前から蔵前で事務所を構えていた「ALLOY」の移転をきっかけに、同ビル内に【anno】を構えることに。
キッチンと対面するカウンターは全6席、テーブルは2卓
【anno】の空間や什器をデザイン・設計したのは山崎さん。阿武さんが迎えてくれるカウンターメインの空間は、グレイトーンながら所々に配されたアールの曲線に柔らかさを感じます。
4名以上で利用可能な和室はリラックスして食事を楽しめる。以前も和室だったというスペースを改装
ほんのりと明るさを放つような白い和室、和紙を使ったテーブルトップ、キッチンと程よい距離を保つように計算された幅80㎝のカウンター……隅々まで考慮し尽くされたデザイン。
おてふき置きだけでなくカトラリーレストなどにも使える「tray O」1,300円、グラス「soboku」3,500円、「箸置き」1,200円(すべて税抜)
おてふき置きとなるトレイ、野菜をモチーフにした箸置き、ビール用に使われているグラスなど、食器類にも山崎さんが手掛けたものが登場します。
これらはすべて購入可能。「いいな」と思ったら買って帰ることができます。ミニマルなデザインで、手に馴染むアイテムは、自宅の食卓をいつもより心地よくしてくれるはず。
人と人が自然につながる、下町ならではの温かさ
お店を構えてから、人と街の魅力を実感するという阿武さんと山崎さん。立て続けのオーダーが入って、阿武さんが調理に専念しているとき、ふとカウンターを見ると、たまたま隣り合わせたお客さん同士が仲良く話し込んでいて微笑ましく思うこともあるそうです。
飲食に携わるのは初めての阿武真亜子さん。だからこそ「こうじゃなきゃという決まり事に縛られずにやっていきたい」と語る
以前から蔵前を拠点にしていた山崎さんも、【anno】という場を設けたことで、地元の人との交流がさらに深まったとのこと。
もちろん、ご近所さんだけが独占するスポットではありません。近隣のゲストハウスのスタッフと観光客が【anno】でばったり出会って意気投合、次の店へはしごしたこともあったり、思わぬつながりが生まれているようです。
エントランスにさりげなく掲げた看板。ロゴも山崎さんがデザインした
いざ外食というほどかしこまりたくないとき、まっすぐ帰宅する前にほっと一息つきたいとき、食事したあとにお酒を一杯またはおにぎりと味噌汁で〆たいとき。
おうちでもない、レストランでもない、そのあいだにある【anno】が迎えてくれます。
【めしと、さけ anno】
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住所:東京都台東区浅草橋3-29-5 2F
アクセス:都営地下鉄[浅草線] 浅草橋駅店舗詳細はこちら >
予約はインスタグラム@annomeshiへダイレクトメールか、ウェブサイトannomeshi.comへ
取材・文/首藤奈穂(フリーライター) 撮影/冨樫実和
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