フランス料理担当が選ぶ、今月の新店:"ジビエの名手"室田シェフによる表参道【ラチュレ(LATURE)】
元【deco】のシェフ。自ら猟も行い、肉の状態を知り尽くす"ハンターシェフ"室田拓人氏が表参道にオープンした新店【ラチュレ】をご紹介します。
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節々にジビエなど「自然の雫」の要素が入る、室田シェフならではのメニュー
フランス料理の伝統を尊重しながら、軽やかなプレゼンテーションも
ファインダイニング不毛の地とさえ囁かれる渋谷で、フランス料理では孤軍奮闘していた人気店【deco】。ジビエの名店と謳われたその【deco】は今春惜しまれつつも閉店してしまいましたが、室田拓人シェフは、新店のオープンに向け、着々と準備していたようです。
8月25日にオープンした【ラチュレ(LATURE)】。店名はシェフによる造語で、「自然の雫」という意味合いを含めているそうです。
場所は、青山通りを青山学院沿いに六本木通りに向かう道。フレンチでは【ラ・ブランシュ】、イタリアンでは【ドンチッチョ】など名店が揃う通りです。
室田シェフのキャリアを簡単に説明しておくと、専門学校卒業後、都内のフレンチレストランを経て、【タテルヨシノ】に5年間勤務(この【ラチュレ】にも吉野シェフからのお祝いの花が届いていました)。その後、2010年から渋谷【deco】でシェフを務めていました。
2009年には狩猟免許を取得し、自ら猟場に足を運び、環境によって肉質が違うジビエを最適の方法で調理するハンターシェフとしても知られています。
節々にジビエなど「自然の雫」の要素が入る、室田シェフならではのメニュー
【ラチュレ】のメニューは以下の通りです。
<ランチ>※税・サービス料込み
decoランチ 2200円
前菜2種類、メインに魚か肉
LATUREコース 4800円
4~5品 季節の食材を使ったお得なスペシャルコースランチ
<ディナー>※税・サービス料は別途
7800円コース
5~6品、その日のシェフのインスピレーションで
10000円コース
6~7品、季節の最上級の食材と野生の食材を使ったシェフスペシャルコース
ほかに、アラカルトでも注文できます。
9月上旬に伺った際の、7,800円のコースを紹介すると――
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上:アミューズは、鹿の毛皮に載った通称『クマカロン』
左:きのこ図鑑
下:それを開くと、中にアミューズ2つ目
アミューズ(小さな前菜)には、『熊のブラッドマカロン』に続き、『野生猪とジロル茸のタルトレット』。こういった小品にも、熊や猪、鹿の毛皮などが使われていることが、ジビエ好きにはたまりません。
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左:『群馬県産ライ麦のパン』
その後は、魚の冷菜、急きょ追加してもらったパテ・アンクルート、メインの魚料理、肉料理と続きます。
『瀬つき鯵と桃のマリネ ホエーとバジルのソース』
『ジビエ(鹿、猪、熊)のテリーヌ”10日熟成”』
『鮎のパイ包み焼き ブールブランソース』
メインの肉料理『花悠仔豚のロースト ベルモットソース』
10000円コースだと、皿数が増え、メインの肉がジビエ料理に変わるようです。
とはいえ、豚のローストにしても、皮つきの仔豚を出してくるところに、やはり肉を得意とするシェフの矜持を感じます。
フランス料理の伝統を尊重しながら、軽やかなプレゼンテーションも
シェフ自身も「クラシカルなフランス料理が好き」と認めているように、オーセンティックで旨みのある皿が並びます。
ただ、プレゼンテーションなどは、以前より少しお洒落になったかな?とご本人に聞くと、「お洒落な立地なので、多少合わせた部分はありますね」と微笑みます。
最後に出てきたデセールは、液体窒素を使ったソルベが印象的な一皿でした。
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上:旬のフルーツを使い、液体窒素を使ったソルベで仕上げるデセール
左:小菓子は熊の脂を使った『フィナンシェ』
全体を通してみると、値段の割には、皿数も多く、満足感があります。
とくにランチコースは、【deco】時代からコストパフォーマンスも高さには定評があるので、まだ来店したことのない方は、一度ランチから試してみることをお勧めします。
とはいえ、室田シェフの本領が発揮されるのは、ジビエの種類が豊富になっていくこれからの季節でしょう。「スコットランドからライチョウも入荷しましたし、もう少しすればベキャス(山鴫)なども入ってきます。これらの自然の恵みを、ぜひ新しい店で楽しんでもらえれば」とシェフ。
秋が深まるにつれて期待がどんどん膨らんでいく新店の登場です。
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