名店の系譜を継ぎつつ、カジュアルに楽しめる四川料理の新星が登場!|江戸川橋【中華 汀(みぎわ)】
2021年6月、四川料理の名店の系譜を継ぐ【中華 汀】が誕生しました。店主の江崎祐弥さんは四谷三丁目【峨眉山】、神楽坂【芝蘭】を経て独立。自店を構えたのは慣れ親しんだ神楽坂のほど近く、高架に首都高が走る目白通りから少し入った静かな一角です。以前はカフェだったという空間を生かし、カジュアルな雰囲気で本格中華が味わえる注目店を紹介します。
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辛さ・香り・旨みが引き立て合うメニューをアラカルトで
マニアックな品揃えの中国酒がグラスでも楽しめます
ワンオペならではのカジュアルさと個性が魅力です
辛さ・香り・旨みが引き立て合うメニューをアラカルトで
最寄りの江戸川橋駅から徒歩7、8分、早大通り沿いにある【中華 汀】。オフィスとマンションが入り混じり、地域密着型の飲食店が点在している落ち着いたエリアです。
店内が見通せるガラス戸の外観からは、どんなジャンルの料理店かわからないかもしれません。けれども店内に一歩入れば、厨房から広がる香りに「これぞ中華!」と食欲をかき立てられるはず。
元はカフェだった空間はほぼそのまま。カジュアルな雰囲気の店内はカウンターとテーブルからなる全13席
カウンターとテーブルを合わせて全13席の空間を切り盛りするのは、神楽坂【芝蘭】で料理長を務めた江崎祐弥さん。四川料理の名店を経て、新たな魅力を持つ一軒を構えました。
鮮烈な香りと軽やかな味わいがスターターにぴったり。『北海道産水タコ、青ネギ山椒ソース』770円
まず嬉しいのは、カジュアルに楽しめるアラカルトメニュー。
15品以上ある前菜は、軽くつまみたいひとりご飯にもぴったりなポーションです。『北海道産水タコ、青ネギ山椒ソース』は、食感よい水タコに爽やかなソースを添えて。嚙むほどに広がる水タコの旨みを、万能ねぎ・生姜・山椒の香気が引き立てています。
口当たりよく、具材とタレの好バランスが食欲を喚起する。『茹でワンタン』330円
点心は、水餃子や焼売、春巻などがラインナップ。つるりといけるワンタンの具はあっさりとした鶏ミンチをベースにしています。自家製辣油を加えた甘辛いタレとの相性は抜群! 早くも胃袋を掴まれますが、メインディッシュはこれからです。
鼻腔をくすぐる香りとともにテーブルに供される一品。『名物! 鶏手羽の燻製、山椒唐辛子炒め』1,320円
中華鍋がダイナミックに振られると、香気が厨房からあふれ出す
名物と掲げた一品は、真っ赤な唐辛子とともに登場する鶏手羽。塩漬けにして味を染み渡らせた鶏手羽はジャスミン茶で燻製にしています。それから油でさっと揚げて芳ばしさを出し、唐辛子2種類と花椒と炒め合わせることで香りを纏わせて。柔らかくほぐれる鶏肉の旨みに薫香というベクトルがぐっと深みを与えます。
際立つ香りと旨みに、ご飯を追加オーダーしても手が止まらなくなる。『麻婆豆腐』1,100円
四川料理ならば外せないのは麻婆豆腐。豚肉と豆鼓のコクと旨みを土台に、唐辛子と花椒の風味がしっかりと立っています。豆腐に餡がしっかりと絡んでいるけれど、とろみや油分の重たさがなく、さらりといただけるからあれこれと食べた後の〆にもおすすめです。
辛みもあるけれど決してヒリヒリした刺激ではなく、旨みや香りと調和する味わいのメニューばかり。ランチには麻婆豆腐や週替わり主菜の定食、麺類を揃えてオール1,000円。昼でも夜でも、普段着のごはん処として通いたくなります。
マニアックな品揃えの中国酒がグラスでも楽しめます
旨辛メニューのおともに欲しくなるのは、やっぱりお酒です。独立にあたって江崎さんが充実させた中国酒は、特筆すべきラインナップ。
通好みの『黄中皇』(ボトル4,070円、グラス660円)、牛乳の醸造酒『百吉納』(ボトル6,200円、グラス900円)など個性豊かな品揃え
生産地方から熟成年数までさまざまな紹興酒・黄酒は、グラスでオーダーできるものがほとんど。一杯ずつ飲み比べたり、料理ごとに合わせたりができます。もちろんボトルで頼んでもOK。どんな味わいなのか好奇心をくすぐられる、個性豊かなボトルをテーブルに据えても楽しいもの。
他にも、ビール各種、ハイボール、サワー、ワイン、日本酒も揃えているから、アルコールが堪能できるときには心ゆくまでどうぞ。
ワンオペならではのカジュアルさと個性が魅力です
料理とお酒、さらに江崎さんがつくりだした独自の色も【中華 汀】の魅力です。
自店を構えるときに、念頭に置いたのは〝一人でも入りやすい〟こと。江崎さんが孤軍奮闘するオープンキッチンを目の当たりにするカウンターは全5席。ふらりと一人で訪れても気兼ねなく食事ができます。
家族や気の置けない友人と利用できるテーブル席は4人掛けが2卓。多彩な料理を取り分けて楽しむ、中華ならではのディナーが楽しめます。
ガラス戸から店内が見通せるオープンさ。一人でも臆せず訪れることができる
食器には元々好きだったという和食器も使用。プレーンな白皿が中心の中華料理店とは趣が異なり、アンティークな染付やラーメンどんぶりが正統派メニューに新たな表情を与えています。
どこか景徳鎮を思わせる絵皿もある和食器は、中華料理にも違和感なく馴染む
オープン時のお礼の品としてお客さんに贈っていたという『食べる辣油』は好評を博して商品化に。ごぼうやしめじを加えてザクザクと芳ばしく仕上げた一品は、そのままおつまみにしても、ご飯や麵、さっと焼いただけの肉や魚にかけても美味しい!
自宅でも【中華 汀】のエッセンスが楽しめる自家製調味料。『食べる辣油』800円
中華の料理人として【峨眉山】【芝蘭】という王道を歩んできた江崎さん。聞けば、ご実家も四川料理店を営んでいたそう。それが腑に落ちるような安定感ある料理を供しつつも、気取りない空間で一人晩酌からしっかりディナーまで応えてくれる柔軟さ。
「こんなお店があれば通いたい!」という願望に叶う新店です。
気負うことなく自然体な江崎さんによって、肩ひじ張らずに食事を楽しめる空気が生まれているよう。
撮影/今井 裕治 取材・文/首藤 奈穂(フリーライター)
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