昭和の趣あふれる古民家で、新鮮な味わいに満ちたモダンフレンチを |【eos】赤羽橋
赤羽橋から徒歩5分ほど、田町や三田のオフィスビルが居並ぶエリアとは様相ががらりと変わる住宅街。その界隈でも、ひときわ時代を感じさせる古民家が生まれ変わり、2021年8月にフレンチレストラン【eos(エオス)】としてオープンしました。オーナーシェフは湯澤秀充さん。仏ボーヌ【ル・ジャルダン・デ・ランパール】や銀座【ベージュ アラン・デュカス 東京】などの名店で腕を磨き、惜しまれつつ閉館した目黒【CLASKA】で料理長を務めた経歴の持ち主です。
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フレンチの伝統にアイデアを効かせた、楽しさと驚きがあるコース
ワイン好きに嬉しい、オールドヴィンテージから日本産までの幅広い品揃え
築70年の空間がもたらす、新たな食への発想とほっと寛ぐ心地よさ
フレンチの伝統にアイデアを効かせた、楽しさと驚きがあるコース
さまざまなトレンドが生まれ、入れ替わっていく東京都港区でありながら、しっかりと日常を刻み続ける住宅街。そんな落ち着いた一角に登場したのが【eos】です。
元は家具職人さんの住居兼作業場だったという築70年の家屋をリニューアルし、モダンフレンチレストランとして新たな時間をスタートしました。1階は厨房のカウンターと一体化した4人席と6名掛けのテーブル、2階には6名掛けテーブル1卓を設けた空間に。
年月を感じさせる柱や梁はそのまま残し、一部の天井板を外して吹き抜けにした1階フロア
こちらで繰り出される料理は、オーナーシェフ・湯澤秀充さんの確かな技術と自由闊達なアイデア、そして、この空間が醸し出すエッセンスが盛り込まれています。
金土日のみのランチコースは3,850円~、ディナーはテイスティングコース8,800円とシェフお任せコース13,200円を設けています。とある日のディナーメニューの一部がこちらです。
サブレにフォアグラクリームを挟み、1日寝かせることでクリームの水分をサブレに馴染ませている
ふどうの葉をあしらって供されるフォアグラレーズンウィッチ。刻んだレーズンを混ぜ込んだフォアグラのクリームを、さっくりと焼き上げたサブレで挟んでいます。こっくり濃厚なフォアグラとラム酒漬けレーズンの好相性に、クッキーのほのかな塩みがアクセント。洋菓子店のオーセンティックなレーズンウィッチをイメージしたという一品です。
繊細なハタと滋味深いかぶを存分に生かしつつ、ソースとピュレで重層的な味わいを楽しめる
皮目はパリッと、身はふっくらと火入れしたハタは、塩釜焼きにした京かぶとともに。トマトのエッセンスと鶏出汁を合わせたソースと、発酵させたスモモのピュレを添えています。上品な旨みを持つハタと甘さを引き出されたかぶに、ソースで味わいに奥行きを与えつつ、スモモピュレの酸味でエッジを効かせています。
コースには必ず、クラシックな料理を織り交ぜていると語る湯澤シェフ。伝統への敬意が垣間見える一皿
ブレス産の肥育雌鶏・プーラルドのローストは、しっとりと柔らかく、噛むごとに旨みが広がります。添えたのは山形の伝承野菜、ねっとり滑らかな舌触りとふくよかな風味が特徴の「甚五右エ門芋」。ベーコンやタイムと合わせて、鶏出汁で煮含めています。赤ピーマンとマッシュルームを素材としたアルビュフェラソースで仕上げる、クラシックなスタイルで。
デザートはあえて甘さを抑えて仕上げ、フルコースをしっかりと堪能しても食後感は軽やか
デザートには、「荒尾梨」の瞬間コンポート、クレメダンジェ、セルフィーユのソルベを。コンポートは和梨特有の食感と味わいを損なわないように、シロップとともに真空にすることで火を入れずに味を染み渡らせています。クレメダンジェは口当たり軽く、ソルベはセルフィーユの鮮烈な香りが際立ちます。
ワイン好きに嬉しい、オールドヴィンテージから日本産まで幅広い品揃え
左から「ドメーヌ・ミエイケノ 月香」「ヴァンサン・ドーヴィサ イランシー」「ドメーヌ・ド・シャルソネイ ニュイ・サン・ジョルジュ」
料理に寄り添い、その味わいをぐっと膨らませてくれるのは、やはりワイン。ボトルで6,600円から、フランスのオールドヴィンテージから自然派、日本産まで幅広いラインナップなので、料理や好み、シチュエーションに合わせて選べます。グラスでも1,000円から、白・赤・ロゼ、シャンパン、デザートワインを揃えているから、気負わずに楽しめるのも嬉しい。
築70年の空間がもたらす、新たな食への発想とほっと寛ぐ心地よさ
昭和の趣が漂う建物の外装はあえてそのまま、看板などは掲げていません。通りから目を引きつけられるのは、一面の大きなガラス窓。インパクトある赤いカーペット、テーブルやキッチンが一望できて、古めかしい外観とのギャップも魅力的です。
通りから見通す1階フロア。かつては作業場だったというスペースに、自家製ぬか漬けなどの容器が並ぶ
さらに、床下に瓶や琺瑯容器が並んでいるのにご注目を。発酵調味料やぬか漬けを作り、フレンチの一皿に取り入れているそうです。ハタのソテーであしらわれたスモモピュレのように、発酵による旨みや風味が新しいニュアンスを与えています。
湯澤シェフが発酵調味料・ゆか漬け作りを始めたのは、この古民家があったから。70余年が流れるモノづくりの場でもあった空間は、“時間”が生み出す味の着想になったそうです。
エントランス前のスペースは、赤いベンチシートを配したテラスになっている
細い路地のアプローチを抜けて、テラスを併設したエントランスへ。キッチンと隔てるものないメインフロアに足を踏み入れると、湯澤シェフの家へ招かれたような寛ぎとともに、これから登場する皿との出会いにワクワクが止まりません。
席につけば、色とりどりのガラスが埋め込まれた珍しいテーブルトップ。聞けば、湯澤シェフが家族や友人たちとのホームパーティーで開けたワインボトルを砕いて散りばめたものだとか。
小学生以下のお子様の利用もOKという2階はテーブル1卓のみ。プライベートなシーンにもぴったり
時間が刻み込まれた空間に楽しいひとときを重ねて。フレンチの伝統に新しいアイデアを効かせて。そんな思いが詰まった【eos】は、東京の食シーンで注目の最旬レストランです。
撮影/中込涼 取材/首藤奈穂
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