浅草【ensia.】|ミシュランシェフの技がこんなに気軽に! 下町に登場したカウンターフレンチ
老舗の蕎麦や天麩羅、昔ながらの洋食にちょい飲みできる大衆酒場まで、数多の飲食店が居並ぶ浅草で、新たに登場したフレンチレストラン&パティスリー【ensia.(エンシア)】は大注目の一軒です。オーナーシェフは、神楽坂【ラリアンス】の総料理長を務め、ミシュラン1つ星を獲得した鈴木剛志さん。ミシュランシェフが新天地・浅草でどんな料理を繰り出してくれるのか、期待を膨らませながら訪れました。
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ミシュランシェフの技を気軽に楽しめるカウンターフレンチ
フルコースがドリンク4杯付きで9,000円という驚愕のコスパ
ディナー帰りでもテイクアウトできるパティスリーのケーキ
堅苦しいサービスはなし! シェフが創るアットホームな雰囲気が心地よい
昼は個室でティータイムも楽しめるパティスリー、夜はフレンチレストランとして利用できる【ensia.(エンシア)】
2021年8月5日にオープンした【ensia.】が建つのは銀座線田原町駅から徒歩で2分、浅草駅からは10分ほど、浅草寺を中心とした観光エリアの目と鼻の先ながら落ち着いた通り沿い。浅草散策を満喫した後に、ゆったりとディナーを楽しむのにぴったりなロケーションです。
シェフとの会話が楽しめる全9席のL字カウンター
エントランス入ってすぐはパティスリー、その奥がレストランになっています。カウンターで迎えてくれる鈴木シェフはカジュアルなエプロン姿。「こちらはお客様のセルフサービスで」とにこやかな笑顔で促されて、カウンターの引き出しを開けるとカトラリー類が並んでいます。聞けば、【ensia.】のコンセプトは「ミシュランシェフが友人のために開く休日レストラン」だそう。テーブルセッティングをあれこれ整えるうちに、〝フレンチのフルコース〟に少々気負っていた気持ちもほぐれて、ほっとリラックスできました。
自分でセッティングする引き出し内のカトラリーには、お箸も用意されている
早速はじめのドリンクを……とメニューを見ると、その内容にびっくり! 通常のディナーは9,000円の「ensia.コース」1本なのですが、アミューズ・前菜・温前菜・魚料理・肉料理・デザート……だけでなく、ドリンクが付いています。しかも、スパークリングワイン、赤・白ワイン、生ビール、ソフトドリンク各種から好きなものを4杯も選べちゃうのです! 料理に合わせてワインを替えたり、スパークリングで通したり、組み合わせも自由自在。これなら、ノンアルコール派の友人も気兼ねなく誘えます。
スパークリングワインをオーダーすると、好きなグラスを選べる楽しいサービスが
さて、1杯目に選んだスパークリングとともに運ばれたのはひと口ふた口の小さな一品。白子のフランには根セロリ、サーモンムースにはわさびのアクセントがさりげなく効いていて、これから続く料理に期待は高まるばかり。
メニューには載っていないアミューズ前の一品、白子のフランとサーモンのムース
アミューズの『8種野菜のクリーミーポタージュ』は、口に入れると野菜の甘さとまろやなコクが広がって、「ずっと飲み続けたい…!」と思ってしまったほど。細かく刻んだ野菜を蒸し煮にして、じっくりじっくり火を入れることでこの味わいを引き出しているそうです。使われている8種類の野菜が何か、ひと口ごとに思案しながらシェフとの会話を楽しむお客さんもいたりして、アットホームさが何とも心地いい。
一見シンプルなスープは、惜しまぬ手間によって優しくも味わい深い仕上がりに
前菜は冷製と温製、2品が用意されています。この日は『寒ブリ炙り 聖護院大根 下仁田葱ソース』と『ホタテ貝、ムール貝、鮮魚ポワレのブイヤベース』でした。
寒ブリのメニューは、ぶり大根をフレンチの前菜として再構築したものとのこと。聖護院大根は和出汁で炊き、柚子胡椒をほのかに効かせています。ソースにはシェリービネガーを使い、程よい酸味でさっぱりと。
「これは、ぶり大根から着想をした一皿で」と料理を前に、シェフの話が聞けるのもカウンターならでは
ブイヤベースはソースと具材を別々に仕立てているので、ソースは雑味なく濃厚に。帆立はぷりっ、鯛はふっくらと、具材はそれぞれの持ち味を引き出すように火入れされています。
メインディッシュ以外は、野菜と魚介が主体になったコース構成。魚は多様な調理法で趣向を凝らしたものに展開できるから、と語る鈴木シェフ。高級食材ではなく馴染みのある素材でも、フレンチシェフの技とアイデアを駆使してレストランならではの一皿に。それを楽しんでもらえたら、という思いがあるそうです。
2杯目に白ワインをいただいて、魚料理はシェフのスペシャリテである『オマール海老ロースト 濃厚クリームソース バニラの香り』をチョイス。お皿が登場するや、ふわりと広がるバニラの香り! オマール海老はほんのりレア感を残した火入れで、ぷりぷりとした食感とともに、噛むごとに甘さが広がります。海老の旨みがぎゅっと凝縮したソースは生クリームを使い、そのミルキーさにバニラのアクセントがぴったり。
【ラリアンス】の時とはスタイルを変えつつ、【ensia.】でも健在の鈴木シェフのスペシャリテ(コース料金に+1,000円で選択可)
魚料理で創造性を発揮した分、肉料理はクラシックなメニューを取り入れることが多いそうで、この日は『ウズラの詰め物ロースト』『国産牛フィレ炭火焼き』『黒毛和牛すね肉のマルサラ酒煮込み』と並ぶ中から『国産牛フィレ肉とフォアグラソテー トリュフを効かせたロッシーニ風』をいただきました。3杯目のドリンクは赤ワインをオーダー。目の前でトリュフ入りソースをかけて供される王道のメインディッシュに、やはり気分は高揚します。シェフがお好きだというアッシェ・パルマンティエが熱々のソースパンに入って添えられるのも嬉しいもの。
ナイフがすっと入る柔らかな牛フィレ、濃厚なフォアグラ、トリュフの香り高さが一体に(コース料金に+2,000円で選択可)
パティシエによるデザートに大満足! ケーキや焼き菓子のテイクアウトもできます
デザートのチョコレートオムレツはフランベされた後にアイスクリームを添えて。ここで紅茶をいただいて、コース内のドリンク4杯も存分に楽しみました! もちろん追加オーダーもOKなので、最後の焼き菓子に合わせて食後酒としてオー・ド・ヴィーをお願いすることに。
パティスリーコーナーで購入できるフィナンシェは、お酒とも好相性
料理に合わせてお酒も進んでしまい、お会計のときに「結構いっちゃった…!」なんてことがなきにしもあらずなのですが、そんな心配無用。むしろ、フルコース+ドリンク4杯で9,000円という価格は、食べ終えると一層「本当にいいの⁉」と思うコストパフォーマンスの高さです。
【ラリアンス】時代から鈴木シェフとタッグを組む、パティシエ・中田和孝さんが手掛けたケーキが並ぶ
帰りがけには、パティスリーコーナーでついつい目が留まってしまいます。レストランの閉店時間までケーキや焼き菓子が買えるので、デザート別腹派は心くすぐられるはず。急遽、手土産を調達しなきゃいけないときにも助かりそう!
フレンチフルコースならではの華やいだ気分に満たされつつ、鈴木シェフに「また来ます!」と思わず手を振ってしまうほど寛げたひととき。手にはしっかりとシュークリーム入りの箱をさげて、大満足の帰り道なのでした。
お子様連れや改まった会食にも安心な完全個室
オーナーシェフ:鈴木剛志さん
1969年生まれ。18歳で調理の世界へ。都内フランス料理店での勤務を経てフレンチに魅せられ、1996年、27歳の時に渡仏。フランスの各地方の名店にて修業を重ねる。フランスの郷土料理や素材に触れ、フランスのライフスタイルそのものに刺激を受けその後帰国。神楽坂【ラリアンス】の総料理長に就任し、ミシュラン一つ星を獲得。現在は自らがオーナーシェフを務める【ensia.】にて、新しいチャレンジに邁進中。
【ensia.(エンシア)】
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電話:050-5385-0859
住所:東京都台東区雷門1-7-7
アクセス:浅草駅 徒歩10分店舗詳細はこちら >
※メニュー:2021年11月撮影
この記事を作った人
取材・文/首藤奈穂(フリーライター)
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