ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2023.08.22旅グルメ 連載

大分・由布院「ENOWA YUFUIN」~ヒトサラ編集長の編集後記 第56回

大分の由布院に新しくオープンした「ENOWA YUFUIN」。ボタニカル・リトリートをコンセプトにした話題のオーベルジュです。由布院は日本人のみならず、アジアの観光客にも人気のエリアで、街は観光客で混雑していますが、少し山に入れば豊かな自然が広がっています。「ENOWA YUFUIN」は、そんな由布院の小高い場所にありました。

enowa

ファーム・ドリヴンということ

「ENOWA YUFUIN」がユニークなのは、とくに食事に関してファーム・トゥ・テーブルをより進化させた“ファーム・ドリヴン(Farm-Driven)”を謳っているところでしょうか。シェフはファーム・トゥ・テーブルの先駆けとなったニューヨークの【ブルーヒル・アット・ストーン・バーンズ】でスーシェフを務めたチベット出身のタシ・ジャムツォさん。

3年前からこのプロジェクトのために来日し、この地で畑をつくるところから始めています。由布岳が見える田んぼのなかにある畑では、シェフみずからスタッフとともに野菜を育て、毎日そこから採れる野菜をベースにメニューをつくっていきます。

  • enowa

  • enowa

宿泊施設は全部で19室、タイプ別になっていますが、それぞれ森に囲まれながらゆっくりとお湯につかれるようになっています。高台にあるサウナもすでに稼働しており、これからは他の施設も徐々にオープンしていく予定だとか。

    enowa

お湯につかり、ゆったりとした時間を過ごした後、ディナーはメインダイニングの【JIMGU】でいただきます。

    enowa

「そのまえにアミューズをこちらで」と案内されたのはレストラン脇のインドアガーデン。ここではハーブも育てています。

    jimgu

ウエルカムドリンクに合わせ、アミューズを立ったままいただきます。キュウリとソラマメの爽やかなサラダにブロッコリーのディップ。菜園の入口からスタートし、メインダイニングへと誘われるような導線になっています。

  • jimgu

  • enowa.jimgu

席に着くとアミューズの最後として、野菜のタルト、自家製チョリソ、オクラの花の天ぷらなどのお皿が出てきました。シャンパーニュとともにいただきます。

    enowa,jimgu

それからキュウリとメロンの皿と、5種類のチェリートマトのバジルシード乗せ。シンプルですっきりした夏を感じさせてくれます。

    enowa,jimgu

「朝、僕やスタッフが自家菜園から採ってきたものです」とシェフが説明してくれます。「旬の香りや勢いを大事にしています。なるべくシンプルに飾り付け食材そのもののおいしさを味わってほしいんです」。

3年かけて築いた生産者とともに

    enowa,jimgu

実をくりぬいたズッキーニは中でジェノベーゼのパスタになって登場です。蓋をあけると香りをまとった煙につつまれていて、あたかも朝靄の田園風景を髣髴とさせます。

    enowa,jimgu

ビーツのソースをうまく使ったトマトのタルタルは、フレッシュトマトとドライトマトの酸味と甘みのバランスがよくて、後を引きます。

次に、春キャベツと温泉卵のチェダーチーズかけと、イタリア風なメニューが続き、ワインは白のバリエーションが続きます。

  • enowa,jimgu

  • enowa.jimgu

5種類のジャガイモをつかった皿が出てきます。バジルとベーコンのソース。それぞれが畑のなかで育っているような構成です。ここで発酵バターと自家製パンが出てきて、ソースをパンに吸わせて綺麗にいただきます。

    enowa,jimgu

パスタ料理はラビオリです。中はリコッタチーズですが、ラビオリに練り込まれたハーブの香りが素晴らしく、コーンの甘いソースとの相性もとてもいい。

    enowa,jimgu

スパイシーなスイカのガスパチョで少し舌を整え、魚料理は宇佐で上がったイシダイです。間引いたメロンが添えられていますが、こういった食材も処分することなく積極的につかうとシェフは言います。

「我々の畑で採れないものは別の生産者からいただきます。これも3年かけて築いていった成果なんです」。

出されたワインはニュージーランド、クレイターリムの若いピノノワール、これまた爽やかなものです。

    enowa,jimgu

メインは豚の肩ロース。焼きナスが添えられ、枝豆とブルーベリーのソースにルバーブのジャム。

    enowa,jimgu

まだお腹には余裕があるくらいのボリューム感と思っていたら、このあとまたしっかりとしたサラダが出てきました。やはり畑の野菜で気持ちよくしめてほしいということなのだとか。

    enowa,jimgu

デザートはアイスクリーム。ヤマモモとパルメザンチーズ、ヤングコーンが使われていて甘みが優しく、下に敷かれた梅酢の酸っぱさとバランスがおいしい。もうひとつはスイカと発酵ズッキーニを使ったアイスでした。

    enowa

お茶をいただき、部屋でふたたびお湯につかります。木々の向こうに星空が広がる静かで優しい夜の時間です。

リトリートという贅沢

    enowa

ぐっすり眠った朝は鳥の囀りとともに迎えます。
周りを散策し、また朝湯。それから朝食です。

    enowa

朝食もディナーをいただいた【JIMGU】と同じ場所でいただくのですが、朝は光がしっかり差し込み、昨日とはまた違った表情を見せます。

    enowa,jimgu

3種類のジュースはオレンジ、ニンジン+生姜、ほうれん草+リンゴ。焼きたてのパンと卵料理をいただきます。

  • enowa,jimgu

  • enowa.jimgu

朝、畑で採れたばかりの野菜がまたおいしいし、パンケーキを出してくれるところがニューヨーク出身のシェフを感じます。

    enowa,jimgu

自然に囲まれているだけで十分癒された気分になるものですが、そこに自家菜園の取れたて野菜を使ってシェフが料理を振舞ってくれるとなると、これは本当に贅沢な過ごし方、まさにリトリートですね。
わずか1泊2日の滞在でしたが、穏やかな気持ちになっている自分を感じました。

    enowa

この記事を作った人

小西克博/ヒトサラ編集長

北極から南極まで世界100カ国を旅してきた編集者、紀行作家。

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(5/13~5/19)

エリアから探す