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更新日:2017.05.28食トレンド 連載

木下威征シェフ4話『“いたずらっ子(GIAMIN)”世にはばかる』|ヒトサラChef’s Table ダイジェスト vol.8

プロとして料理をこよなく愛する人々(dish artist)をゲストに、食のネクスト・トレンドを語るトーク番組「ヒトサラ シェフズ・テーブル」。ここでしか聞けない本音トーク、飲食業界の未来など、旬な情報をお届けする美味しい時間をお楽しみください。

木下威征シェフ4話『“いたずらっ子(GIAMIN)”世にはばかる』|ヒトサラChef’s Table ダイジェスト vol.8

9年間、料理長として【モレスク】で経験を積み、木下シェフは自身の店【オー・ギャマン・ド・ドキオ】をオープンさせる。夢だったシェフズテーブル、そして鉄板料理を出す店にしたその理由とは。また、経営者と料理人、相反する2つの役割を兼ねる人物のあり方とは。そこから見えてきたのは、木下シェフの経営哲学、そして、スタッフと客に対する彼の熱い想いだった。『ヒトサラchef’s table』木下シェフ最終章。今宵も特等席に座って、ごゆっくりお聴きください。

第4回:“いたずらっ子(GIAMIN)”世にはばかる

カテゴリにこだわるよりも、お客さんの喜びが大事

――料理長を務めた【モレスク】を出られて、2008年には【オー・ギャマン・ド・トキオ】をつくりました。

木下:考えとしてあったのは、フランス料理というのはあくまでも自分が学んできたもののひとつであって、もっと根源にあるのは「自分のつくった料理で人を喜ばせたい」という気持ちです。以前の僕なら、たとえばすごく寒い冬山を登山して頂上に着いたときに、「お疲れ様です、最高級のシャンパンです」とシャンパンを注ぐ。でも、今なら「寒かったでしょう。味噌汁をつくったから、これで温まってくださいね」という。フランス料理の料理人が味噌汁をつくるのはタブーかもしれないけど、どちらが嬉しいかといったら、温まる味噌汁ですよね。だから、【オー・ギャマン・ド・トキオ】ではフランス料理というカテゴリにとらわれず、お客さんが喜んでくれることにガンガン挑戦しようということを考えています。

自分の思いをスタッフに伝染させる

――木下さんは料理人であるのと同時に経営者でもなければいけない。そのバランスは難しいですか。

木下:これはもう正反対で、矛盾だらけだと思います。経営者は絶対的に利益を出さなきゃいけない。でも料理人は利益を考えちゃダメなんですよ。それよりも信頼できる木下イズムをもったスタッフの育成が一番大切。ということは、やはりコミュニケーションがすごく大事なんです。僕はつねに1週間で全店舗をグルグル回ってまかないを食べに行きます。そのときに、いつも元気な子がおとなしそうな顔をしていたら、公園でコーヒーでも飲みながら、その子と向き合って話しを聞く。そうすると、1時間後にはカラッと顔が変わってやる気に満ちた顔になるんです。毎週回るうち、自分の考えがお店のスタッフに伝染していくわけですね。

大切なのは、夢を見失わないこと

木下:夢に向かって人はまっすぐ行けばそれは早いですよね。でも途中にはたくさん壁があります。壁ってぶつかればぶつかるほど、自分が弱くなってしまって、いつの間にかその夢がどこかに行ってしまうんですよね。それを途中逃げながらでもいいから、やはり夢に挑んでほしい。「逃」の字は、部首を変えると「挑」になるわけです。目標さえもっていれば、これは叶う。こういうことを僕はいつもスタッフに言っているんです。

ゲストプロフィール

木下 威征 氏

1972年生まれ。辻調理師専門学校を首席で卒業し、フランスへ留学。三ツ星レストランで働いた後、【オー・バカナル】に立ち上げメンバーとして約5年在籍。その後、【モレスク】で9年間シェフを務め、2008年5月より【オー・ギャマン・ド・トキオ】のシェフに就任。不利な立地にもかかわらず連日予約で満席。現在、三店舗を経営。今年12月よりカフェ、また店舗移転で新たな展開の有る予定。「ギャマン」は「いたずら小僧、悪ガキ」の意味。

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ヒトサラ編集部

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