湯河原【荒井商店】~ヒトサラ編集長の編集後記 第69回
東京・新橋で長く本格的なペルー料理を提供してきた【荒井商店】。2023年秋に湯河原へ引っ越したのですが、今回はその新しいお店を訪問してきました。海と山に囲まれた地でのんびりやるつもりが初日から大盛況で、とシェフは苦笑い。ペルー料理の人気の高さが伺えます。
湯河原の駅からさほど遠くない道路沿いの丘に【荒井商店】はありました。ペルーのどこか浜辺にあるような可愛いお店の中に入るとテーブル席がいくつかあって、書物やグッズがそこかしこに並べられています。
オーナーの荒井隆宏シェフがキッチンの向こうから笑顔で会釈をしてくれました。荒井シェフはフランス料理を学んでから、偶然ペルー料理に出会い、現地修業を経て20年前に新橋にペルー料理店を出した先駆者のひとりです。
ちょうど陽が沈むころで、ビールで喉を潤したい気分でした。テーブルにつくと、奥様が飲み物の注文を聞きにきます。そしていくつか代表的なビールの説明をしてくれました。
まずはマチュピチュのビール、クスケーニャからいきましょう。このビールはペルーでよく飲まれているものです。爽やかな口当たりで、最初にいただく一杯としては最適なもののひとつ。
おつまみはチフレ(バナナ)、カンチータ(トウモロコシ)の2種盛りです。バナナを揚げたものに塩のきいた乾燥トウモロコシは、まさにこのビールのためのスナックのようです。
そしてセビーチェ。湯河原らしくヒラメと生しらすが使われています。地元の日向夏であえてあり、心地よい酸っぱさが後を引きます。
ピスコサワーが欲しくなりました。ピスコとは代表的なブドウの蒸留酒で、それに卵白、柑橘などを入れてつくります。卵白の泡の滑らかな舌触りと柑橘の爽やかさ、甘さがほどよく合わさり、食事が進みます。
ペルーのポテサラ、カウサ・レジェーナが出てきます。
ポテサラ同様にカウサ・レジェーナにもいろんなバリエーションがあります。今回登場したのはイカ墨入りのもので、真鶴のサザエもふんだんに使われています。独特の食感と海の香りのする一皿になっています。
熱海で獲れた猪を味わってくださいと出されたのは、温かい猪肉のセビーチェ。63度で8時間、柑橘入れて煮込んだもので、パクチー、ユカ芋、黄とうがらしなどが添えられています。
甘酸っぱくて柔らかな猪肉はご飯にもよく合い、【荒井商店】を訪れるペルー人にも大人気のメニューなのだとか。
地元の固定観念を壊したくてつくった一皿で、漁師、柑橘農家の方々にも好評だということでした。
今までの5品がだいたい通常メニューとして出されているようでしたが、隣のテーブルのスープがおいしそうでしたので、もうひとつそれを追加してもらいました。
チュペ・デ・ランゴティーノ、エビの濃厚なスープです。今回はブラックタイガーを使ったものでしたが、鎌倉エビ、ウチワエビ、セミエビなども相模湾で獲れることから、駿河湾のアカザエビも含め柔軟に対応しているようです。
とうもろこしがいいアクセントを利かせています。ご飯があればこのスープをかけて食べたくなりますね。
ラムを飲みたい気分でしたが、ピカロネスというかぼちゃとさつまいものドーナツが出てきたので、コーヒーでしめることにしました。
コーヒーを運びながら奥様が、「湯河原へ移ることが決まって時間ができたから、ペルーを旅してレインボーマウンテンに登ってきた」と写真を見せてくれました。マチュピチュに次いで人気のこの山も、今では温暖化で万年雪が溶けて岩肌を出しているのだとか。
仕事を終えたシェフが、自作の渓流釣りの竿を見せてくれました。それから店の屋上にある自家菜園も。サーフィンができて渓流釣りができて山や海の幸に恵まれ最高です、と語るシェフはとても幸せそうに見えました。
ペルー料理はファインダイニングの世界では常に世界のトップを走り続けていますが、一般的にはまだポピュラーなものとは言えないかもしれません。しかし日本とのつながりも深いこの国の料理には、日本人が絶対好きな要素がたくさんつまっています。
イモだけで数千種類あるといわれるほど、まだ未知の食材だらけのペルー。それだけに可能性の宝庫ともいえるわけです。
この記事を作った人
小西克博/ヒトサラ編集長
北極から南極まで世界100カ国を旅してきた編集者、紀行作家。
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