アレなに食べてるの? 海外ドラマに見る食事情
海外ドラマを観ているとよく出くわす食事シーン。「なにを食べてるんだろう」と、本編そっちのけで気になってしまうことはありませんか? 海外ドラマ食のナゾに迫ります。
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中華料理の出前は忙しくてわびしい暮らしの象徴
アメリカの家庭料理マカロニ&チーズ
なぜ刑事はドーナツを食べているのか?
箸でつつくナゾ箱の正体は、中華料理のデリバリー&テイクアウト
アメリカドラマの中で良く見る光景。仕事がひと段落した深夜のオフィスや、夜遅く帰宅した自宅のダイニングで四角い箱をつつく。そんな光景を見かけることも多いはず。
あの不思議な箱の中身は、テイクアウトかデリバリーのチャーハンや焼きそばです。「忙しくて」「お金がなくて」「味気ない」そんな生活を表す記号となっています。
アメリカでは、中華はピザと同じく出前の代表で、「買いに行く時間も手間も惜しい」という表現にもなります。仕事に追われる独身女性が毎晩中華の箱をつついている、というわかりやすい人物描写といえるでしょう。
あの独特の容器はOyster pailといい、もともとは20世紀初頭に牡蠣のテイクアウト用に考案されたものです。汁漏れしにくい構造で、現在ではChinese Cartonsと呼ばれ、中華料理の持ち運びに利用されています。逆台形のフォルムに金具の持ち手がつき、かつて南京にあった五彩琉璃塔をあしらったデザインはなかなかポップでキッチュ。ファッションショーに登場したこともあったとか。
料理ができない人の料理、おふくろの味マカロニ&チーズ
家族が集まる食卓などで見かけるグラタンのようなもの。ステーキやグリルチキンなどのつけ合わせとしてもよく登場します。これこそマカロニ&チーズです。
茹でたマカロニとチェダーチーズとホワイトソースをあえたアメリカ版おふくろの味です。ソースとマカロニを混ぜるだけだったり、オーブンで焼いたり、ソースの配合にこだわったり、家庭の数だけレシピが存在します。電子レンジでつくれるレトルト食品もあり、日本におけるカレーライスやラーメンのような身近な食べ物のようです。
マカロニ&チーズはシンプルで、ドラマのなかでも「料理ができない人でも唯一つくれる料理」という位置づけ。ただし、腕いかんによって味に差が出る奥深いメニューともいえます。「デスパレートな妻たち」で、料理のできない女・スーザンがなんとかつくったものの焦がしてしまうというシーンがありました。「マカロニ&チーズすらおいしくつくれない」となると、もうお手上げといったところでしょう。
アメリカ国内事情を反映したポリスとドーナツの密な関係
警察官=ドーナツというイメージを定着させたのが、1990年台初頭に社会現象となったサイコ・サスペンスの名作「ツイン・ピークス」です。警察署内に山盛りになったドーナツが置かれていたのが印象的でした。人気長寿アニメ「シンプソンズ」でも、警官は必ずドーナツ片手に登場します。
アメリカでは一般の商店は早く閉まるため、夜勤の警察官たちがコーヒーを飲みに行くのは24時間営業のドーナツショップ。コーヒーのついでにドーナツも買う、それがポリスとドーナツの蜜月の始まり。刑事ドラマ1シーズンに1回はドーナツを食べるシーンが登場するといっても過言ではありません。
警官とドーナツの結びつきには大手チェーン店・ダンキンドーナツの戦略もあります。「制服とパトカーで来店した場合ドーナツ無料または割引」というサービスを始めたからです。警官が店に立ち寄ることによる犯罪防止効果を狙ったキャンペーンで、アメリカならではといえます。
食は、その土地の風土や歴史、習慣が如実に現れるもの。参考書や学術書では学べない、生の文化を海外ドラマで学ぶことができます。ドラマ鑑賞のさいは、主人公の恋模様や事件の顛末だけでなく、食事にも注目してみてはいかがでしょうか。
この記事を作った人
塩川千尋 (フリーライター)
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