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更新日:2024.08.30食トレンド

名古屋で人気の【創作串揚げ つだ】が東京初出店! 軽やかでごちそう感たっぷりな“つだ流”串揚げの魅力に迫る|虎ノ門ヒルズ

2024年1月に開業した【創作串揚げつだ 虎ノ門ヒルズステーション店】は、大阪の串揚げの名店【六覺燈】で修業し、地元・愛知で2店舗を展開する津田 猛氏による一軒です。極上の食材を組み合わせの妙で、より美しく、より味わい深く。わずか一串に贅沢に手を掛けた一皿を味わうような感動が詰まっています。今回は、8月中旬に訪れて体験した「串11種コース」(6,500円)をレポート。揚物でありながら驚くほど軽やかな串揚げの魅力を、津田氏の丁寧な解説と共にお届けします。

名古屋で人気の【創作串揚げ つだ】が東京初出店! 軽やかでごちそう感たっぷりな“つだ流”串揚げの魅力に迫る|虎ノ門ヒルズ

名古屋の串揚げの話題店の味を、東京・虎ノ門でも

    天井が高く、開放感のある客席

    天井が高く、開放感のある客席

  • 窓の外には東京ならではの景色が

    窓の外には東京ならではの景色が

  • 落ち着いた雰囲気のテーブル席

    落ち着いた雰囲気のテーブル席

【創作串揚げつだ 虎ノ門ヒルズステーション店】は、名店が集まる4階フロアに店を構えます。店内に入り、まず目に飛び込んでくるのは、藤の花が描かれた煌びやかなアート。そして、窓の外には大きな東京タワーを望む景色が広がります。「名古屋では本店に続き、名古屋城東門横『金シャチ横丁』内に店を構えているので、東京の内装は名古屋城にちなんだデザインになっています。壁は名古屋城の城壁を、藤のアートは名城公園の藤の回廊の藤棚をイメージしたものです」と店主の津田氏。

藤の絵は、直接こちらに手で描いたそうです。虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの4階に並ぶ飲食店のなかでも、東京タワーがこれだけよく見えるのは限られた店だけ。デートでも接待などの会食でも、お連れした相手が喜ぶこと間違いありません。

    【創作串揚げ つだ】代表の津田 猛氏。1970年、愛知県生まれ。フランス料理で5年間研鑽を積んだ後、串揚げの名店【六覺燈】へ。10年間の経験を積み、2013年に独立

    【創作串揚げ つだ】代表の津田 猛氏。1970年、愛知県生まれ。フランス料理で5年間研鑽を積んだ後、串揚げの名店【六覺燈】へ。10年間の経験を積み、2013年に独立

カウンター内の揚げ場の前に立つ津田氏においしさの秘密を尋ねると「【六覺燈】のおやっさんに教わったことをやっているだけですよ」と笑いますが、驚くほど軽やかな串揚げの秘密や絶品のソースについても丁寧に教えてくれました。体験させていただいたコースと共に、“つだ流”のこだわりをご紹介しましょう。

「串11種コース」をおすすめのお酒と共に体験

  • 東京限定を含む全5種類のソース

    東京限定を含む全5種類のソース

  • 蓮根チップとフレッシュな生野菜

    蓮根チップとフレッシュな生野菜

最初に、大根やニンジンのスティック、ミニトマト、キャベツ、蓮根チップと、5種類のソースがテーブルに。最初の串が登場するまでや、串と串の間の箸休めとしてお好みのソースをつけていただきます。ソースは右から、沖縄県の天日塩と京都の山椒を使った「山椒塩」、高麗人参やウコンなど30種類以上の食材や漢方からつくる「特製ソース」、中央が「自家製の合わせ醤油」、特製ソースをベースに胡麻とからしを使った「東京限定ソース」、シンプルな「からしとレモン」です。

「特製ソースは、大きな寸胴鍋で3日以上かけてつくります。春は酸味を効かせ、夏はスパイシーに、秋から徐々にまろやかにするなど季節によっても変えています」と津田氏。

1串目「活車海老」

最初に提供されるのは「活車海老」。津田氏曰く「鮮度の良さが伝わる名刺代わりの1本です」。提供する直前まで、車海老はレモン水に入れ、氷で締めています。山椒塩とレモンでいただくのですが、レモンは種が落ちないよう工夫されている細やかな心遣いもさすが。口に入れるとプリッと海老の存在感ある海老の風味が広がります。ちなみに、串揚げを置いているのは、ライ麦とフスマのクラッカーです。

2串目「近江牛のトモサンカク」

    右から固めの衣、柔らかめの衣、パン粉

    右から固めの衣、柔らかめの衣、パン粉

続いては、近江牛のトモサンカクの串揚げです。お肉など食材の汁が出やすいものは、固めの衣でコーティングしてから柔らかめの衣にくぐらせています。「一般的な串揚げ(のバッター液)は水と粉だけですが、メレンゲと牛乳も入れることで、優しい口当たりになっています」。生パン粉はとてもきめ細やかなタイプを使用。特製ソースをつけていただくと、肉とソースの旨みがジュワッと広がり、2串目にしてメインディッシュのような満足感があります。

3串目「青森県ホタテの貝柱」

ホタテの貝柱とおすすめいただいたワインは、ニュージーランドの「ストラタム ピノ・グリ」(グラス1,300円)。穏やかな酸味でフルーティーさが印象的。聞けば、衣にするバッター液に白ワインを使用しているのだとか。それは、ワインが合わない理由がありません。ワインは「KENZO ESTATE」もラインアップします。

4串目「えんどう豆のコロッケ」

5串目「地鶏と大葉のとんぶりのせ」

えんどう豆のコロッケは、口に入れると熱々ホクホク。素材本来の風味がギュッと閉じ込められ、熱を加えることでアップしています。目の前に出されると熱いうちに頬張りたくなってしまいますが、やけどに気を付けつついただきましょう(笑)。

この日の地鶏は、愛知県の三河地どりを使用。大葉と合わせて爽やかな仕立てで、表面には惜しげもなく秋田県産のとんぶりを添えることで楽しい食感に。「串はつけるソースの向きに置いていますので、おしゃべりしていても見ていただければ大丈夫。常連のお客様は、初めて連れてきた方にその意味を説明するのが楽しいようです」(津田氏)。

6串目「松茸」

松茸は、笠と軸の2つの部位を1串で味わうことができます。秋のご馳走には、日本酒をペアリング。熊本県の花の香酒造が山田錦で醸す「産土(うぶすな)」(グラス1,300円)を注いでいただきました。「桃やヨーグルトのニュアンスがある微発砲の日本酒です」とマネージャーの国松英希氏。日本酒は、津田氏、国松氏はじめ、8名でじっくりと飲み比べてセレクトしています。

7串目「カニクリームコロッケ」

    仕上げに串をクルクルと回す様子

    仕上げに串をクルクルと回す様子

7串目は、本ズワイガニを使用したクリーミーなカニクリームコロッケ。中にはカニの味噌も入り、味わい深い1串です。カウンター席からは揚げ場がよく見えるのですが、170℃でゆっくりと揚げているため音はほとんど聞こえません。揚げ終えると仕上げに串を回転させ、油を切ってから提供しています。このひと手間によって、より軽やかな口当たりとなり、食後感も実に軽やか。「津田さんの串揚げは次の日もたれないから」というご年配の常連さんも多いそう。ラードや植物性の油など数種を独自の配合でブレンドした揚げ油を丁寧に管理しているので、軽やかで香ばしいきつね色の衣になるのです。

8串目「子持昆布」

9串目「銀杏」

歯ごたえのいい子持昆布は、合わせ醤油でいただきます。そのままいただくより、何倍もおいしさが増しているよう。マネージャーの国松氏一押しの串です。

銀杏は、名産地として知られる愛知県祖父江の立派な3Lサイズを厳選。からすみをまとって提供されます。「可能な限り素材の姿も見せたい」という想いから、銀杏は衣から顔を出すような愛らしいビジュアルにするのもこちらならでは。

  • 串揚げに使用する串は全5種類

    串揚げに使用する串は全5種類

  • 衣をまとう前の素材の一例

    衣をまとう前の素材の一例

よくよく見ると、絶妙に長さや太さの異なる5種類の串を使用。素材のサイズや形状によって使い分けています。食材は、名古屋の店舗と一括して仕入れており、古くからの付き合いのある魚屋や生産者とのご縁によって、上質なものをゲストに提供することができているといいます。また、それぞれの食材を活かしたオリジナリティ溢れる組み合わせも見事です。

10串目「鱧とクリームチーズ」

11串目「サーモンと北海道いくらのせ」

クリームチーズを淡路産の鱧で巻いた串には梅肉を添えて。酸味を控えた甘めの梅肉なので、クリームチーズとの相性も申し分なし。和のテイストも洋のテイストも感じられ、日本酒にもワインにもよく合います「手元にワインと日本酒、2つのグラスを置いて楽しみたいですね」と言うと「白ワインと赤ワインのグラスを並べている常連様がいますよ」と国松氏が教えてくれました。「食材だけ見ると魚介だから白かと思いきや、油を加えているので赤もよく合うんですよ」と津田氏。

最後の11串目は、名物でもあるサーモンといくらの“親子串”。こぼれんばかりにのせたいくらは、大粒で艶やか。11年の付き合いになる名古屋の魚屋さんに仕込んでもらっているそうです。Instagramなどない時代から提供しているそうですが、まさに映える1串。口に入れれば、贅沢な味わいにうっとり。

「あられ揚げ茶漬け」

あられをまぶしたご飯を串から抜き、上品な風味のだしを注いでいただきます。徐々に崩しながら、手前に並ぶ山葵や佃煮などを入れると、違った味わいに変化。こちらは、もともと津田氏のお母さまが来店時に召し上がっていた裏メニューで、それを見た他のゲストから食べたいという声が多く7年ほど前から正式なメニューになりました。

「コースの最後にお米を食べるとホッとしますよね。食いしん坊なので、自分が食べたいものをお客様にも出しています」と津田氏。今後創作される新たなメニューも楽しみです。デザートのクレームブリュレと食後のコーヒーをいただき、ごちそうさまでした!


バラエティに富み、期待以上に旬を感じることができた【創作串揚げ つだ】の串揚げ。これからの季節には、ブランデーと黒糖のシロップで炊いた栗(聞くだけでおいしそう!)やシャンパン漬けにした牡蠣、河豚、白子なども登場するそうです。初回はコースがおすすめですが、2回目以降はお好みをオーダーするのもいいかもしれません。季節ごとに訪れたい一軒です。

この記事を作った人

撮影/ヒトサラ編集部 取材・文/外川ゆい

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