更新日:2017.06.19グルメラボ 連載
港町ならではの洋食探訪。神戸の仏・伊・西料理へ from「ヒトサラspecial」
大阪とも京都とも違う、独特の文化や雰囲気のある神戸。潮風を含んだ温かい風に包まれた港町ならではのおしゃれで美味しい大人の洋食店をご紹介します。
【Recette】
神戸フレンチの先駆けであり、港町を代表する老舗
神戸といえば、神戸肉、南京町に代表される中華、そして今回の洋食。そう、関西きっての港町として歴史を重ねてきた街である。特にフレンチのイメージは意外と強い。その中でも老舗と呼べる一軒が【Recette】だ。「フレンチ」ではなく「フランス料理」という呼び名が一般的だった頃から、日本人が最も安心できる味であると同時に、ジビエなど本格的な食材も手がけてきた。オープンよりシェフを務める依田英敏氏は、「20年前はまだジビエは一般的ではなく、同業者からしかオーダーがなかったんですよ」と笑う。
1960年生まれ。90年続いた実家の鰻屋からフレンチの世界へ。【ル・ポンドシェル】で薫陶を受け、伝統的なフレンチを継承する一方、一日会(ついたちかい)という勉強会の会長も務める
カジュアルフレンチが人気を増し、きちんとダシをとらない店も増えているが、フォンドヴォーもフュメドポワソンも、流行に左右されず、常に丁寧に仕込む。トラディショナルでありながらも、超低温で凍らせて砕く技法を取り入れたり、「一応、試験管もありますよ」と笑う依田シェフは、時代をなおざりにしてはいない。
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野鴨と養鴨を掛け合わせた、珍しいビュルゴー家のクロワゼ鴨。もも肉はコンフィ、胸肉はローストに。
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デザート。焼きガナッシュ、飴細工が見事な苺の飴がけとラングドシャ、マスカルポーネのアイス
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パテ、毛ガニのタルタル、ホワイトアスパラのブランマンジェにエスカベッシュなど、贅沢な前菜
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神戸の山の手。地下ではあるが、エントランスに面した半個室では、日の光と緑を浴びて麗らかに
濃い飴色にするために長時間じっくり炒めた、甘くてちょっとビターな玉ネギのキッシュ、フレッシュな素材とコクのある味付けの毛ガニのタルタルなど、大きなガラス皿に贅沢にちりばめた前菜。カンバスに絵筆を走らせるように、ソースのあしらいで飾られた鴨は、ビュルゴー家のシャラン鴨の中でも稀少なクロワゼだ。胸肉はキメの細かさが際だち、もも肉は豊かな滋味が香る。これぞ神戸フレンチと呼びたい、老舗の一軒。
【Bec】
全てを背負いカウンターに立つ 孤高の料理人の店
オープンしてまる4年。さらにその2年前から、店主の岸本達哉氏が心に決めていたことがある。それは「何もかもひとりでやる」ということ。「気持ちを込めて店をつくって料理をつくって、全部自分のせいにしたいんです。ま、人を雇う勇気がないんですが」と岸本氏。たったひとりで店に立つために、店やキッチンのサイズ、形、カウンターの長さ、席数、導線に至るまで、ありとあらゆる要素を考え抜いたという。
そうして出来上がったのが、両サイドが軽いL字で、薄いコの字形のカウンターだ。その真ん中で岸本氏が生み出す料理、その技法は実にトラディショナル。例えば、最低でも10日は寝かすという『田舎風お肉のパテ』は、豚、鶏のレバーなど、フレンチではスタンダードなレシピ。味の肝になる脂とレバーを丁寧に仕込むのはもちろんだが、変わったところといえば、通常の2倍ほどという塩分濃度。だがしかし全くそれを感じさせないのだ。むしろワインの相手にちょうど良い塩梅。寝かせることで、食材と脂、そして塩分が見事に馴染んでいるのだ。
1975年生まれ、神戸出身。この世界に入るまで、実はお酒が飲めなかったという岸本達哉氏。神戸や東京、本場フランスの店で研鑽を重ね、シェフ兼経営者兼皿洗い…として、4年前に同店をオープン
このパテも、鴨も、ワインの共として選りすぐって、生き残ったメニュー。「無性に食べたくなる、呼ばれる味になれば嬉しい」と、不惑の世代を迎えた岸本氏は言う。
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田舎風お肉のパテは、ワイン→パテ→ワイン…を永遠に続けたくなる、最高のワインの友
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余熱を使いじっくり焼いたビュルゴー家のシャラン鴨。切った断面に塩と、25年もののバルサミコを
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「豆と野菜のスープ」。7種の野菜を生かした、白インゲン豆のスープ。
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カウンターのみだが、角地ならば3~4名でも横並びにならず楽しめる。これも緻密な計算のひとつ
ワインバーにしては料理が多い店は、誰のせいにもしたくないと、スタンドアローンを貫く店主の誓いの城でもあるのだ。
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ヒトサラ編集部
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