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更新日:2021.10.20食トレンド

ワインのスペシャリストに聞く! ボジョレーヌーヴォーの魅力と楽しみ方④|オリビエ・オドスさん【シェ・オリビエ】

毎年、秋の収穫期に解禁され、日本でもお祭りのように盛り上がるボジョレーヌーヴォー。2021年は11月18日(木)が解禁日です! そんなボジョレーヌーヴォーの魅力やおすすめの楽しみ方を、名店のシェフやソムリエの方々にうかがいました。第四回目の今回は、市ヶ谷のフレンチ【シェ・オリビエ】のシェフで、自らもワインのセレクトをされている、オリビエ・オドスさんです。

ポークフィレ肉,セージのニョッキ,ワイン

『ミシュランガイドブック 東京』1ツ星を8年連続で獲得するレストランとして多くのフレンチファンに愛される【シェ・オリビエ】。オーナーシェフのオリビエ・オドス シェフはボジョレーの「フルーリー」と「ムーラン・ナ・ヴァン」が大好きだという。数々の銘醸ワインをよく知る一流シェフをも魅了するボジョレーの魅力とは何か、話を聞いた。

お気に入りのボジョレーワインは「フルーリー」

「ボジョレー、大好きです。特にクリュ・デュ・ボジョレーのフルーリーとムーラン・ナ・ヴァンが気に入っています。芳醇で果実味豊か、そしてちょっとスパイシー。飲みやすいのですが複雑味があって、チャーミングなワインだと思います。価格が高くないのも気軽に手に取りやすくていいですね」とオリビエ・オドス シェフ。特に熟成したフルーリーのエレガントさに惹かれるという。

    シェフのオリビエオドスさん

    「ボジョレーワインは気軽に飲めるのが魅力ですが、いい造り手のものに出合うと本当に感動します」とオリビエシェフ。『マルセル・ラピエール』の味は、今も記憶に残るという

オリビエシェフはボルドー地方の出身。郷土愛が強いフランス人は地元のワインしか飲まないと言われることも多いが、料理人として早くからパリに出て、名店の「トゥール・ダルジャン」などで活躍してきたオリビエシェフは、早くから銘醸ワインに親しんでいったという。

地元ボルドーやブルゴーニュの銘醸ワインも折に触れて楽しんできたが、ワインの経験を深めるうちに気づいたのが、「自分はコート・デュ・ローヌのシラーを使った芳醇で滑らかさのあるワインが好き」ということだった。

「だから、以前はボジョレーはあまり意識したことがなく、積極的に選ぶこともありませんでした」とオリビエシェフは述懐する。

日本でボジョレーワインの魅力に開眼

    シェオリビエの内観

    白で統一されたスタイリッシュで居心地のよい【シェ・オリビエ】の店内。在日フランス人にもオリビエシェフの料理のファンが多く、ディナー時にはパリの空気感が漂う

2000年に「ル・コルドン・ブルー」の料理教授として来日、2009年には東京・市ヶ谷に念願の自身の店をオープンさせた。この時、友人がお祝いにとワインを持ってきてくれたのだが、それがボジョレーの自然派生産者として有名な「マルセル・ラピエール」のモルゴンだったという。

 「そのおいしさに、正直驚きました。ボジョレーの印象が一瞬にして変わりましたね」と笑う。ボジョレーは単体で飲んでも楽しく、料理にもよく合うワイン。カジュアルに楽しむならシャルキュトリで十分楽しめるが、エレガントなマリアージュなら鴨によく合う──。

    (左)『フルーリー シャペル デ ボア ドメーヌ・ド・ラ・グランクール 2015』。チェリーやハーブの香り。スパイスのニュアンス。果実味も豊か<br />
(右)『フルーリー ラ・パール・デ・クリーヴ ドメーヌ・ド・ラ・グランクール 2014』は赤いベリーの香りとレモンバーベナ、ヴェルヴェーヌの香り。スパイシーで余韻も長い

    (左)『フルーリー シャペル デ ボア ドメーヌ・ド・ラ・グランクール 2015』。チェリーやハーブの香り。スパイスのニュアンス。果実味も豊か
    (右)『フルーリー ラ・パール・デ・クリーヴ ドメーヌ・ド・ラ・グランクール 2014』は赤いベリーの香りとレモンバーベナ、ヴェルヴェーヌの香り。スパイシーで余韻も長い

オリビエシェフは、そんなボジョレーの深い魅力に気づき、今は店のワインリストにも載せている。店で提供しているボジョレーワインは2種だが、これは同じ生産者で畑違いのもの。一方は日本のインポーターから卸してもらっているが、もう一方は直接フランスから取り寄せているというほどの気に入りようだ。

「この生産者のフルーリーは、果実感に厚みがあって余韻が長いのです。飲んで、幸福な気持ちになります(笑)」。

仕事仲間と気軽に楽しんだボジョレーヌーヴォー

「ボジョレー」といえば、やはりなんといっても真っ先にイメージするのが「ボジョレーヌーヴォーだが、オリビエシェフはパリにいた頃はどのように楽しんでいたのだろうか。

    シェフのオリビエオドスさん

    「ボジョレーワインの豊かな果実味と心地よい渋み。これが料理をおいしくしてくれます」。正統派ながらもどこかモダンなオリビエシェフの料理にも、ボジョレーワインはよく合う

「ヌーヴォーの時期になると、仕事が終わったあと、仕事仲間と一緒にカフェに立ち寄って、軽く1杯、チーズなどのおつまみとともに気軽に楽しんでいました。日本に来てからも楽しみましたよ。「アミカル」というフランス人シェフの会があるのですが、ヌーヴォーの時期にはアンドレ・パッションさんのお店【レストラン・パッション】で、仲間が集まってブッフェ形式の軽い食事をしつつ話をしたり、楽しい思い出があります」。

    ポークフィレ肉,セージのニョッキ,ワイン

    『生ハムとバジルで巻いたポークフィレ肉 紫人参と松の実、セージのニョッキ』。豚のジュとトマトを合わせた酸味のあるソースには、先ほどの『フルーリー ラ・パール・デ・クリーヴ 2014』が合うという

【シェ・オリビエ】ソムリエールの竹間祥子さんによれば、今、店でボジョレーワインを勧めるのは、お客様に「お料理に合うもので、ちょっと軽やかで、様々なニュアンスのあるものを」と相談された時が多いという。

オリビエシェフはこう語る。「ボジョレーは、料理を引き立ててくれるワインだと、私は思います。スパイシーなニュアンスが、料理をさらにおいしくしてくれます。料理とともにゆったり楽しんでいただきたいと思っています」。

プロフィール:オリビエ・オドスさん

    シェフのオリビエオドスさん

    フランス、ボルドー生まれ。パリの【ラ・トゥール・ダルジャン】(当時2ツ星)でセカンドシェフを務め、シェフの推薦により、2000年「ル・コルドン・ブルー」の料理教授として来日。神戸校、東京校のテクニカルディレクター、エグゼクティブシェフを歴任後、2009年に【シェ・オリビエ】をオープン。

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ボジョレーヌーヴォーの魅力と楽しみ方

この記事を作った人

撮影/今井裕治 取材・文/安齋喜美子

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