更新日:2021.09.04食トレンド
ワインのスペシャリストに聞く! ボジョレーヌーヴォーの魅力と楽しみ方①|瀬川あずささん
毎年、秋の収穫期に解禁され、日本でもお祭りのように盛り上がるボジョレーヌーヴォー。2021年は11月18日(木)が解禁日です! そんなボジョレーヌーヴォーの魅力やおすすめの楽しみ方を、名店のソムリエやワインのインフルエンサーの方々にうかがいました。第一回目の今回は、ボジョレーワイン騎士団やワイン講師としても活躍されている、瀬川あずささんです。
ボジョレーワイン騎士団の一員として、ボジョレーワインの魅力とその楽しみ方を多くの人々に伝えている株式会社食レコ代表取締役の瀬川あずささん。ワイン・エデュケーターとしても多くのワイン講座を持つ。ボジョレーワインのことをよく知る瀬川さんに、ボジョレーヌーヴォーの深い楽しみ方を聞いた。
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ワイン好きになったきっかけは“ボジョレーヌーヴォー”
多彩なボジョレーヌーヴォー。おすすめ産地や銘柄はこれ!
ヌーヴォーの季節に心に浮かぶ素敵な思い出
ワイン好きになったきっかけのひとつが“ボジョレーヌーヴォー”
「新酒のボジョレーヌーヴォーはフレッシュ&フルーティー、クリュ・ボジョレーは芳醇でエレガント。そんなスタイルの違いもぜひ知っていただきたいです」
「ボジョレーヌーヴォーはその年のブドウの収穫を祝うイベント。日本人は初物好きですから、毎年楽しみにしている人も多いと思います。私にとっても心躍る季節です」と瀬川あずささんは笑顔を見せる。
毎年ボジョレーヌ―ヴォー解禁日の前日、夜11時頃にワインスクールの生徒たちと集まり、クレマン(スパークリングワイン)で乾杯してから、カウントダウンの瞬間を待つのが毎年の恒例行事だった。
「フレッシュでフルーティーな味わいのボジョレーヌーヴォーは、ワインに詳しくなくても楽しめるのがいいですね。親しい人が集まってワイワイ楽しく過ごせる、そんなカジュアルさが魅力だと思います」。
『ドメーヌ ポール ジャナン エ フィス ムーラン ナ ヴァン サプリロット 2018』750ml フランス、ボジョレー地方。ムーラン・ナ・ヴァン村。ガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン100%
瀬川さんがボジョレーヌーヴォーを知ったのは、高校生の頃のこと。
「父が、『今日はボジョレーヌーヴォーの解禁日。ワインの知識として、覚えておいたほうがいいよ』と話してくれました。お酒にはそこまで詳しくない父ですが、文化のひとつとして教えてくれたのだと思います」。
こんな経験もあってか、瀬川さんは、お酒が飲める年齢になってからは、毎年、ボジョレーヌーヴォーのイベントなども積極的に楽しむようになったという。
「まだ20歳そこそこでしたから、生産者のことなど何もわからない。でも、何種類かワインを飲み比べて、生産者によって味わいが違うことに感動しました。ボジョレーヌーヴォーは、ワインが好きになったきっかけのひとつかもしれません」。
多彩なボジョレーワイン。おすすめ産地や銘柄はこれ!
現在も、日頃からボジョレーワインに親しんでいるという瀬川さん。クリュ・ボジョレーの中でも、ムーラン・ナ・ヴァンやモルゴンなど芳醇なワインを生み出す村のものが好きだという。また、今注目しているのは繊細で優しいワインを生み出すと評されるフルーリー。
「ボジョレーワインは村々によって個性が違うので、それをもっと追求したいと思っています。ボジョレーヌーヴォーにも、村の個性が出ると思いますので、そんなところも注目して楽しめたらといいですね」。
「(『サプリロット 2018』は)カシスやブルーベリーの香り。タンニンが豊富で、バランスよく、複雑味もありますね。クリュ・ボジョレーらしいエレガントさを感じます」
ふだん合わせる料理はその多くが和食。煮込みや肉じゃがなど、醤油を使った甘じょっばい味に、ボジョレーワインはよく合うという。
「お料理は、ふだんのメニューでいいと思います。カジュアルに楽しめるのが、ボジョレーワインの魅力だと思います」。
だが、難しいのがワインのセレクト。ボジョレーヌーヴォーの時期が来るのは今から楽しみだが、どんなワインを選べばよいのだろうか? “ボジョレーヌーヴォー大国”の日本には、世界で一番多くボジョレーヌーヴォーの銘柄が集まるといわれている。そんな中から1本を選ぶのは、なかなかに難しそうだ。瀬川さんはこう語る。
「まずは、初心者の方ならバランスがよく飲みやすい『ジョルジュ・デュブッフ』や『アルベール・ビショー』など大手生産者のものがよいと思います。あとは、私が好きなのが『マルセル・ラピエール』と『フィリップ・パカレ』などの自然派ワイン。今は、『フェルナン・ラロッシュ』のペットボトルにも注目しています」。
また、最近ボジョレーヌーヴォーの時期によく見かけるようになったのが、ロゼのヌーヴォー。そのバラエティの豊かさにも注目してほしいと、瀬川さんは語る。
ヌーヴォーの季節に心に浮かぶ素敵な思い出
実は、瀬川さんにはボジョレーヌーヴォーの時期になると心に浮かぶ素敵な思い出がある。
「2008年のこと、ジョルジュ・デュブッフさんが来日されて、お食事会にご招待いただいたことがあり、ご一緒できて感激しました。とても親しみやすくて話しやすく、気さくな方でした。とても光栄で、いい思い出になっています」。
この日、ワインに合わせたのはシャルキュトリのプレート。(上から)イタリアのサラミ、スペインのハモンセラーノ、埼玉県吉田豚で作ったリエット、吉田豚のパテ・ド・カンパーニュ
そしてもうひとつが一昨年の「怖いワインを開ける会」。これは、受講生が10年間、その存在すらも忘れて放置しておいた「アルベール・ビショー」のボジョレーヌーヴォーを見つけて、“勇気を出して”開けてみようという話になったという。
「怖さ半分でしたが(笑)、飲んでみたら、透明感があって、とてもきれいなワインだったのです。確かに、10年も経っているのでピークは終わっていましたが、熟成させても面白いのだと思いました。今年は、私も1本熟成用に購入してみようと思っています」。
人と繋がれない今だから、“オンライン”で楽しく!
軽やかに、ナチュラルにボジョレーヌーヴォーを楽しむ瀬川さん。今年は、どんなふうに過ごす予定なのだろうか。
「コロナの状況は続いていますから、大人数で集まれないのは残念ですね。でも、こんな時期だからこそ、オンライン飲み会などは、人とつながるよい機会になるのではと思います。一緒に季節の行事を楽しんで、初物を祝う。気持ちが明るくなって、また翌日から元気になれるように思います」。
「親しい友人同士でボジョレーヌーヴォーを祝うことは、コロナで人と人とが合う機会が少なくなっている今だからこそ、素敵な“ビタミン剤”になってくれる」と語る瀬川さん
また、こんな楽しみ方のアドバイスも。
「ボジョレーヌーヴォーのフレッシュさを楽しむなら、10℃くらいまでちょっと冷やしてみてください。グラスに注いだ瞬間は冷たいのですが、そのあと、ワインの温度が徐々に上がっていきますので、その温度の変化を楽しんでみてください。香りや味の印象が違うことに驚かされると思います」。
そして最後に、こう教えてくれた。
「ワインを勉強していると、一度はボジョレーヌーヴォーから離れていってしまう人もいます。でも、私は、グランクリュのワインも、ボジョレーヌーヴォーも両方楽しめてこそ、真のワインラバーだと思っています。ボジョレーヌーヴォーはワインを楽しむすそ野を広げてくれる素敵な飲み物。ぜひ、気軽に親しんでいただきたいですね」。
プロフィール:瀬川あずささん
株式会社食レコ代表取締役。レコール・デュ・ヴァン winelover講座 主任講師。ワインや食の楽しさを多くの媒体で発信。ボジョレーワイン騎士団の一員として、ボジョレーワインの魅力を広く伝えている。
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ボジョレーヌーヴォーの魅力と楽しみ方
取材・文/安齋喜美子 撮影/大鶴倫宣
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