日本のコンテンポラリー・フレンチを さらに進化させる革新児【フロリレージュ】川手 寛康 氏 from シェフのヨコガオ
人気の絶頂の中で店舗を移転し、コンセプトを一から練り直した【フロリレージュ】。日本のフレンチに風穴を開けようとしている川手シェフが目指しているものは?その挑戦の真意に迫ります。
輸入食材は使わず、すべて国産食材を使用。
それでも、フレンチたりえる理由
――川手さんの料理哲学、ご自身が考えるフランス料理とはどんなものなのですか。
私の料理は、自分では創作フランス料理だと考えています。つまり、日本でつくるフランス料理で、むしろそれにこだわっています。日本でしかできない、東京でしかできない、さらに言えば、ここ神宮前で私しかできないのが私のフランス料理です。
一般に言われている”フランス料理”という概念が作られてきたように、自分が決めるフランス料理があってもよいのではないかと考えています。料理に国境はないですし、誰がどのように調理するかは自由です。概念というものはただの先入観にしか過ぎないとも考えられますので、私が思うフランス料理の概念に対して賛同してくれるか方がいるかどうかという話です。
以前は、フォアグラや鴨などが私の代表料理と言われていましたが、移転した店では輸入食材を使わず、すべて国産を使用しています。抹茶や山菜など日本特有の食材も多用しますし、クラシックなソースもなく、「これはフレンチなのか?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自分はフレンチの技法しか使っていませんし、常に新しいものを求めるスピリッツこそフランス料理だと考えています。
経験のなかで身に付けてきたものだとも言えます。実際、30歳のときに求めていたことと、現在やりたいことが変わってきているのも、料理人としては必然的なことです。コースのテーマも、そのときの自分にとって大切なもの、体験や興味によって変えていく予定です。
――そんな現在の川手さんの考えが、リニューアルによってより明確に表現できるようになったということでしょうか。そうですね。技法や「食材をどうするか」がベースではなく、コンセプトありきで料理を生み出します。だからメニューの料理名は『投影』や『繋がり』、『破壊と創造』、『無変化』などのテーマのみ、例えば、早春の『投影』は、ぬくみ始めた大地をイメージした人参芋の温かなピューレと、まだ春浅い寒気の中に萌え出た若芽を、キュッと冷たいハコベのスフレグラスで表現し、季節を投影します。最近は見た目重視のジオラマ的な料理を多く見かけますが、視覚だけではない、香りや食感、食べての記憶にふれる一皿を目指しています。
料理のバックグラウンドを伝えるために、料理人が直接サービスできる空間を
――具体的には、どんなコンセプトで料理を提供なされているのですか。 例えばディナーは、13品が登場するコースのみです。アミューズ、魚・肉料理といった一般的な構成ではなく、ときには魚料理が3品あったり、最初に肉料理を登場させたり、決まりは設けていません。
新しくなった店では、生産者の想いなど、サービススタッフでは伝えきれない料理のバックヤード的な部分もお客様に届けられるよう、料理人が直接サービスできる空間をつくりました。また、日本ではまだ珍しいのですが、料理1点1点に合わせて楽しむカクテルペアリングも提供したかったので、カウンター席がいちばん理にかなっていたのです。
今までは一皿に肉、ソース、ガルニチュールを一緒に盛り込んでいましたが、それらを細分化し、すべてにスポットライトをあてています。この料理の何が核なのか、リアルにメッセージを伝えやすくなりました。もちろん、そういった13種類のコンセプトを楽しんでもらいたいとは思いますが、単なる押し付けにしたいとは思いません。どう感じるかは、お客様の経験や人生観によって異なりますので、あくまで私からは問いかけるという姿勢ですね。
料理人とは、今この食材をいかに美味しくするかに執着する職業です。でも、その次のステージがあるのではと思うようになりました。「料理が美味しい店」だけで終わらず、お客様に何を感じ、記憶し、感動してもらうか。【フロリレージュ】に来ていただき、「どう感じますか?」と問いかけたくなったのです。感じるという感性は、人それぞれですが、料理、ドリンク、器、サービス、空間、ここでしか体験できないものを揃え、すべてを体験し終わった後、「フロリレージュってこんな店だったのか」と、わかっていただければと思います。
【フロリレージュ(Florilege)】
-
35人
-
電話:03-6435-8018
住所:東京都港区虎ノ門5-10-7 麻布台ヒルズ ガーデンプラザD 2階
アクセス:神谷町駅店舗詳細はこちら >
ヒトサラ編集部
-
栃木県旅グルメ
世界遺産・日光の社寺を訪れる際に立ち寄りたい、地元でオススメのお店5選|栃木・日光
-
赤坂グルメラボ
色鮮やかな琉球宮廷料理と和懐石の融合を、極上の隠れ家空間で【沖縄懐石 赤坂潭亭】|東京・赤坂
-
虎ノ門食トレンド
北陸、その先へ。6名のシェフの想いと声。|「Dining around Noto」レポートと、食を通した未来への架け橋
-
東京都デート・会食 グルメラボ
特別なデートを叶えてくれる、オススメの個室があるフレンチのお店5選|東京
-
表参道・原宿・青山食トレンド
「ハラカド」グルメ、新店情報も! |感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」新施設が誕生
-
神谷町デート・会食
街場のシェフが麻布台ヒルズで目指す、ライブ感満点のレストラン【Orby Restaurant(オルビー レストラン)】
-
東京都グルメラボ
予算1万5,000円以下でしっかりお鮨を堪能できるお店5選|東京
-
虎ノ門食トレンド
小林 圭シェフが次に挑むのは、成熟した大人のためのグリル ガストロノミーレストラン【KEI Collection PARIS】|虎ノ門ヒルズ ステーションタワーTOKYO NODE
-
銀座食トレンド
ヒトサラ編集部がオススメする、銀座の本当においしいグルメのお店10選
-
目白デート・会食
一皿ずつ、素材の魅力とストーリーを込めてつくられるコース料理を堪能【レストランFAVORI】|東京・目白
関連記事
-
2024.04.24旅グルメ
世界遺産・日光の社寺を訪れる際に立ち寄りたい、地元でオススメのお店5選|栃木・日光
-
2024.04.23グルメラボ
仕事帰りに軽く一杯! サクッと飲めてお酒も料理もおいしい店5選|名古屋
-
2024.04.23旅グルメ
富山の海の幸を味わうイベント「富山・新湊漁港で漁師会!」が開催|漁業ブ主催・北陸応援Sea to Plate PJ
-
2024.04.23食トレンド
全フロアが開業した虎ノ門ヒルズ ステーションタワーで、ランチに訪れるべきお店5選
-
2024.04.22食トレンド
北陸、その先へ。6名のシェフの想いと声。|「Dining around Noto」レポートと、食を通した未来への架け橋