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更新日:2017.03.30グルメラボ

引越しと食事に関する、日本と海外の様々な習慣

そろそろ新しい進学先や就職先の準備をする方も多くなるこの時期は、引越しのシーズンでもありますね。今回は、世界各地の引越しと食に関連した様々な習慣についてご紹介します。

引越しと食事に関する、日本と海外の様々な習慣

意外と誤解されている? 日本の習慣「引越し蕎麦」の正しい意味

 現在はあまり行われなくなりましたが、日本では昭和の初め頃まで「引越し蕎麦」の習慣が一般的に行われていました。「引越し蕎麦」とは、“引越し先のご近所におそばを配る習慣のこと”で、江戸時代頃に生まれた文化のようです。

 蕎麦をふるまう理由は、「そばに引越してきました」という意味と、「細く長くよろしくお付き合いのほどお願いします」という意味が掛け合わされていると言われています。

 ところが、ある統計によると現在では5割近くの人が「引越し蕎麦」のことを“引っ越した時に食べる蕎麦のこと”だと誤解しているそうです。実際に引越しの後おそばを食べる方も増えているようで、将来的には、新しい習慣として根付いていくかも知れませんね。

ご近所にお餅をプレゼント。「引越し蕎麦」と良く似た海外の習慣

 海外にも、日本の「引越し蕎麦」に当たるような習慣や行事は多数見られます。

 かつて韓国には、引越し先のご近所に、小豆を使って白茶の層になるように作った大きいおもちを配る習慣があったそうです。今でも時折見られるそうですが、現在はあまり行わないようなので、韓国に引越しすることになっても慌ててお餅を用意する必要はなさそうです。

 英国には引越した家に近所の方を招いて「Home warming party」を行う地域があるそうです。引越したばかりで火の気がなく寒々としている家を、お客さんを呼んでパーティーを行うことで温める=warmingという意味なのだとか。

 また、アメリカでは「引越し蕎麦」とは逆に、引越し先の近所の住人がお菓子や果物の入った「ウエルカム・ワゴン」や「ウエルカム・バスケット」を用意したり、手作りの料理で新たな住人を歓迎する習慣があるそうです。

引越ししたらまずは台所の設置。引越しと食にまつわる様々な習慣

 ドイツでは新築、中古を問わず入居時に台所の設置が必要になるそうです。理由は、一般的に家を出るときはバス・トイレ以外は全部外して空にし、さらに家の中の壁を全部塗り変えて明け渡すのが習慣になっているためなのだとか。日本では、引越しの際に台所の設置が必要なのは新築の家くらいのものなので、知らないとちょっと面食らうかも知れませんね。

 香港では、引越しした部屋の四方に線香をたて、米を部屋の床にまいたり、お神酒を杯に3杯用意して床にまいたりします。お供えとして鳥を丸ごと蒸したり、豚を丸ごと焼いたものなどを用意する場合もあるそうです。

 引越しと食にかかわる習慣も国によって様々ですが、新しくご近所になる方々に「よろしく」の気持ちを表したり、近所に越してきた新しい住人を歓迎する気持ちは、世界のどこに行っても違いはないようですね。

この記事を作った人

取材・文/斎藤 健(フリーライター)

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