更新日:2018.01.30旅グルメ
”おいしい”を届け続ける宮城県・仙台市の菓子店【パイ&シュウ すがわら】
宮城県仙台市をはじめ、多くの人を虜にする創業142年の【パイ&シュウ すがわら】は1軒の駄菓子屋からスタートした。56年前のお菓子博で総理大臣賞を受賞したリーフパイは、今も変わらない味をつないでいる。
大工の妻・ウメが、子ども相手に始めた一軒の駄菓子屋。【菅原老舗】としてスタートしたこの店の原点だ。2代目がそこで煎餅を焼き、福田町や中野方面へと行商を始める。その背中を見て育った3代目は和菓子店に修業へ。4代目も同じ道を辿るはずだったが、ひょんなことから洋菓子店【神田 風月堂】で修業することに。これが、多くの人を虜にしてやまない、現在の【パイ&シュウ すがわら】へと続いていくのだ。
和菓子屋時代に、小豆を炊いていたというタゼン製の銅鍋。使うたびに緑錆を落としているため、ピカピカだ。今はこれでアップルパイ用のリンゴを煮ている
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【菅原老舗】時代、2代目と3代目が写っている写真。森永製菓のキャラメルを販売するほか、和菓子の製造も行っていた
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国道45号線沿いに位置。かつては建物の裏手、原町街道側にも店舗を構えていたが、震災を機に閉店した
5代目の現社長・菅原正和さんは、「父が修業先で、パイを覚えて帰ってきたんです。仙台に戻った後に店で売り出したんですが、当時まだ仙台にはパイなんてなかったし、なかなか売れなかったんですよね。いつも閉店まで、端っこに残っていましたよ。それでも父は『なんでこんなにうまいものが、売れないんだろうなあ』って言いながら、パイを焼き続けていました。売れない時代でしたから、試作する時間はたっぷりあったみたいです」と笑いながら当時を振り返る。手間がかかるのは承知の上、それでも毎日焼き続け、今や看板である『リーフパイ』を考案したという。
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現在68歳、今なお現役の5代目・菅原正和さん。「30㎏の砂糖が運べなくなったら、引退かな」と笑う
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店の看板『リーフパイ』1枚250円(税込)と、『シュウクリーム』1個170円(税込)。『リーフパイ』は56年前の菓子博で総理大臣賞を受賞している
店を継ぐ時に【パイ&シュウ】を看板に掲げることに決めた正和さんはその味に改良を重ね、2000層以上にもなる今の形にたどり着いた。「パイ生地はコシが命。生地からシグナルが送られてくるんですよ。そして、その時の生地の状態に私が合わせるんです」と職人の顔つきで語る正和さん。
青森県弘前市のリンゴをたっぷりと盛り込んだ「アップルパイ」(ホール2,150円〜、ピース260円)。1年間に使うリンゴの量はなんと4トン近いという
「うまくいかないからおもしろいし、好きだから続けられる。自分がおいしいと思うものしか作っていませんよ。素材の味をきちんと伝えられて、毎日食べても飽きない後口のよさが私の考える“おいしい”。ただ、味覚は人それぞれなので、スタッフには新作ができたらまず食べて、自分の舌で感じてほしい、と伝えています」。流行よりも、自信を持っておいしいと思える味を届け続けて140年。今もその想いは脈々と受け継がれている。
【パイ&シュウ すがわら】
電話:022-256-6287
住所:仙台市宮城野区原町2-4-44
アクセス:仙石線「陸前原ノ町」駅から484m
営業時間:10:00〜19:00(日曜、祝日〜18:00)
※2017年12月31日は〜16:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)
※2018年1月1日〜6日は休み
この記事を作った人
取材・文/Kappo編集部 撮影/齋藤太一
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