ヒトサラマガジンとは RSS

「アジアのベストレストラン50」第3位に輝いた【フロリレージュ】川手 寛康シェフ|第3~4話

国内外から注目を集める一流シェフや料理人、食に精通するスペシャリストをゲストに招き、ここでしか聞けない本音トークや食のトレンドをお届けするインターネットラジオ番組『ヒトサラ シェフズテーブル』。ダイジェストVol.23~24のゲストは、【フロリレージュ】の川手寛康シェフにお越しいただきました。

「アジアのベストレストラン50」第3位に輝いた【フロリレージュ】川手 寛康シェフ|第3~4話

 前回、第1~2話では、「アジアのベストレストラン50」受賞当時のお話や、【フロリレージュ】を移転された理由、そしてお店のテーマについて伺いました。後編の第3~4話では、現代のSNS事情に対する想いや川手シェフのヒストリーに迫ります。

第3話:情報が共有される時代のレシピ

 日常的にSNSなどで情報が共有される今日ですが、「見た目や技術だけでない本質的な部分や、一皿に表現したコンセプトをしっかりと感じてもらいたい」と語る川手シェフ。日本ではまだまだ理解されていない「クリエイト」な部分をしっかりとメッセージとして伝え続け、お客様にも想像力を要求する川手シェフの本音とは。

一瞬で世界に共有されるレシピ、川手シェフはどう捉えているのか

――いま、世の中ではSNSなどにより一瞬で、しかも簡単にレシピが共有される時代となりましたが、正直、キツくないですか?

川手:そうですね~、でも作り出すレベルも速いですからね。もちろん見た目も重要だとは思いますが、ビジュアルだけでなくそこになにが隠されているのかという「本質」を考えてもらいたいですね。
やっぱり感じたもののすべてを写真と文字だけで100%伝えきることはできないと思います。とはいえ、まぁ…しんどいですよね(笑)。

    輸入食材は使用せず、選りすぐりの国産食材を使ってフランス料理を表現。長野県・藤井農園の完全無農薬野菜をはじめとする、丹精こめて作られた食材を敬意と愛情をこめて一皿に仕上げる

    輸入食材は使用せず、選りすぐりの国産食材を使ってフランス料理を表現。長野県・藤井農園の完全無農薬野菜をはじめとする、丹精こめて作られた食材を敬意と愛情をこめて一皿に仕上げる

▼ラジオを聴いてみる

第4話:川手シェフのヒストリー

 料理人の家系に生まれ、料理人になることに少しの迷いもなかったという川手シェフ。修業時代から独立~移転を経験し、今日の川手シェフの料理が確立するまでのストーリーや、次世代の料理人に向けた「言葉に縛られない、自由に創造する事を恐れない、新しい価値観」について語り尽くす。

海外のシェフとのコラボレーションイベント

――本日着ているユニホームに「RAW」というロゴがありますが、台湾のお店のロゴですよね?

川手:はい、僕の親友のお店です。もともとシンガポールのトップシェフのアンドレ・チャンさんのお店なんですけど、台湾出身の彼が、「もともと台湾の味ってなんだ?中国との味の違いとはなんだ?」という問いから、今までにない新しいものを作って行こうという意味で、台湾の「生=RAW」を感じてもらうというコンセプトのもとに作られたお店です。

――実際、台湾でイベントされてどうでしたか?

川手:すごく面白かったんです。今回は自分のスペシャリテを披露しましたが、食材は現地のものを使って、少し台湾風にアレンジしてみたりしましたね。
僕は、英語はそんなに得意ではないんですけど、ミュージシャンが音楽さえあればというのと同様で、料理さえあればインターナショナルな場でも分かり合えたという感じでしたね。

父も母も料理人。料理人一家に生まれた川手シェフの人生とは

――環境的に、料理人になるということにまったく迷いなく?

川手:そうですね、両親も兄弟も親戚も料理人一家なんです(笑)なので迷うことは全くなかったですね。小さいころから既に魚もさばいていましたし。ただ何料理の料理人になるかというところは迷いました。和食、イタリアンや他のジャンルのお店にも色々と自分なりに勉強したり、研修に行かせてもらったりしましたが、やっぱり最終的には親父の長いトック(帽子)に憧れて、フレンチに決めました。

――それですぐ渡仏したんですか?

川手:7年間くらいは都内で働いて、僕は26歳でフランスに行きました。渡仏する前は既にスーシェフを任されていた時だったのでフランスに行って何か技術面で劣っていたり苦労したということはなかったんです。どちらかと言うとフランスの風土、文化などを知ることができた事の方が僕にとっては大きな収穫でしたね。

    友禅で染めた木の壁や廃材を利用した床、黒を基調とした店内に座り心地のよいローチェアを配した空間は、従来のフレンチのイメージをくつがえす【フロリレージュ】だけの世界を生み出している

    友禅で染めた木の壁や廃材を利用した床、黒を基調とした店内に座り心地のよいローチェアを配した空間は、従来のフレンチのイメージをくつがえす【フロリレージュ】だけの世界を生み出している

▼ラジオを聴いてみる

ゲストプロフィール

Florilege 川手 寛康 氏

1978年生まれ。洋食のシェフであった父の影響で、迷わず料理人の道へ。【オオ ハラ エ シイアイイー】や【ル ブルギニオン】で腕を磨いた後、渡仏し星付き店で修業。帰国後【カンテサンス】のスーシェフを経て、自ら2009年【フロリレージュ】を開店し、2015年、神宮前に移転オープン。ソムリエ資格を取得するなど、ワインへの造詣も深い。2015年12月『ミシュランガイド東京2016』の一ツ星獲得。2016年には『Asia's 50 Best Restaurants』で「注目のレストラン賞」を獲得。2018年には3位に輝いた、プロの料理人も注目するフランス料理界の注目株。

この記事を作った人

ヒトサラ編集部

編集部ピックアップ

週間ランキング(5/23~5/29)

エリアから探す