名店が教える「スペシャリテの秘密」|【福わうち】の『麦味噌の豚汁』
一度食べたら忘れられない。何度食べても驚くほどおいしい。そう思わせるあの店のスペシャリテには、きっとつくり方に秘密があるはず。そうだ。その秘密、直接シェフに聞いてみよう。
深くやさしい甘味をたたえた
麦味噌でつくる「食べる豚汁」
「胃袋をつかまれる」。そう表現したくなる豚汁がある。東京・白金にある【福わうち】の大将・三宮昌幸さんがつくる『麦味噌の豚汁』だ。野菜や豚の味が染み出ただしに、麦味噌ならではのやわらかい香り。具はごろっと大きめに切り、食べ応えを。あえて味噌を染み込ませないことで素材の味をしっかりと際立たせる。全体に深い甘味があり、その味わいはなんともやさしい。
5種類の具材とは、にんじん、だいこん、ごぼう、しめじ、えのきのこと。この5つから染み出ただしをベースに、豚肉と油揚げから出る味が加わり、まろやかでやさしい味わいになる
「原形は母がつくっていた豚汁。母はいりこを入れていたのですが、こどもの頃はそれが嫌で……(笑)。いりこを抜いてつくったのがこのレシピ。決め手は、だいこんとにんじんの旨みが染み出た〝だし〞です。時間と手間をかけて、このだしをとるのがポイントです」
三宮さんが話す〝時間と手間〞とは、前日の仕込みのこと。にんじんとだいこんを一日前にしっかりと煮ておき、冷蔵庫で一晩寝かすことでだしの旨みが格段に増す。ここにほかの野菜やきのこ、麦味噌と豚肉が一体となり、さらにやさしく深い甘味が生まれるのだ。「旨みは甘味。その言葉をいちばん実感していただけるのがこの豚汁です。ぜひとも、手間暇かけてつくってみてほしいですね」
豚汁に添える自家製のゆずこしょうは、料理によって使い分ける
【福わうち】では豚汁の汁椀の縁にゆずこしょうを添え、途中で溶くことでいい塩梅になる。このゆずこしょうが、毎年10月に大分県から送られてく
る野生のゆずを使った自家製のもの。さらに【福わうち】では、添える料理によって、2種類のゆずこしょうを使い分ける。豚汁などの汁物には細かい方を、肉料理などには粗いものを、といった具合にだ。細かい方には、ゆずの搾り汁を多めに入れることで滑らかに仕上げている。
三宮昌幸さん
「時間をかけることでおいしくなる豚汁。根菜から出る甘味を感じてください。」
『麦味噌の豚汁』のつくり方
『麦味噌の豚汁』の味わいを深くするのは5種類の具材から染み出るだし
具から出る旨みを丁寧に重ねていくことで、味に奥行きを出す。つくり方はいたってシンプルだが、その分、時間をかけてつくるのだ。
材料(2人分)
・だいこん 80g
・にんじん 70g
・水 400cc
・ごぼう 7g
・油揚げ 7g
・えのき 30g
・しめじ 30g
・豚バラスライス 50g
・麦味噌(若いもの) 70g
・万能ねぎ 適量
・ゆずこしょう 5g
つくり方
❶ だいこん、にんじんをやや大きめの乱切りにする。
❷ 水400ccを入れた鍋を火にかけ、だいこん、にんじんを入れる。沸騰したらごく弱火にし最低1時間ほど煮る。可能であれば、だいこんとにんじんを煮汁とともに冷蔵庫で一晩寝かす。
❸ ごぼうを小さめのささがきにする。油揚げは短冊に切る。えのきとしめじはイシヅキを切り落とし、ばらばらにしておく。
❹ ②をふたたび、火にかける。沸騰したら中弱火にし、そこにごぼう、油揚げを加える。ごぼうが煮えたら、えのきとしめじを加える。
❺ きのこが煮えたら、弱火にし、豚バラスライスを加える。
❻ 豚肉から赤みが消えたら、ザルとホイッパーを使い、麦味噌をとく。ザルに残った味噌のかすは入れない。
❼ お椀に盛り付け、万能ねぎを散らす。縁にゆずこしょうを添えたら、完成。
『豚汁』の3つのポイント
Point ①5種類以上の具材を使い、3種類以上の根菜を使う
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味の決め手となる野菜だしは、野菜に“味を入れる”のではなく、野菜から“味を出す”イメージ。だいこんとにんじんは、最低でも1時間以上、前日に煮ておこう。
具が固くならないよう火加減は見ながら微調整
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だいこんとにんじん以外の具材は、煮えすぎないように中弱火~弱火程度で微調整。とくに豚肉は、豚汁の味わいの印象を左右する主役。硬くならないように丁寧に仕上げたい。
完成直前に麦味噌をときやさしい味わいに仕上げる
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それぞれの具材に味噌の味が染み込まないよう、麦味噌は完成直前にだしにとく。にんじんやだいこんは、大きめに切ることで、さらに素材の味がはっきりと際立つ。
いかがでしたでしょうか。【福わうち】の麦味噌の豚汁を、ぜひご自宅で再現してみてください。
教えてくれたのは 三宮昌幸さん
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1967年生まれ。17歳で料理の道に入り、地元・大分県で修業を始める。27歳で博多の人気和食店【たらふくまんま】に入店すると、2年後には東京支店の料理長に抜擢。2001年に独立し、【福わうち】を開業。
この記事を作った人
撮影/久間 昌史 取材・文/郡司 周(ヒトサラ編集部)
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