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原点に立ち返り生まれ変わった、コンテンポラリーコリアン【Mingles(ミングルス)】|韓国

2018年の「アジアのベストレストラン」では韓国勢トップの11位を獲得し、同賞における自身の最高位を更新したコンテンポラリーコリアン【Mingles(ミングルス)】。いま韓国で最もホットであり、最も勢いのあるレストランをご紹介します。

原点に立ち返り生まれ変わった、コンテンポラリーコリアン【Mingles(ミングルス)】|韓国

世界的レストランで修業してきた経験と技が、韓国料理と結びつく

【Mingles】へ訪ねる前、とある日本人シェフが同店の印象についてこう話してくれました。

「ソウルでも、いま最も勢いがあるレストランじゃない!? 昔はフレンチっぽい料理が多かったけど、今は韓国料理の古典に立ち返っている感じだね」

 その、とあるシェフとは、2018年の「アジアのベストレストラン」で3位に輝いた、東京・外苑前のフレンチレストラン【フロリレージュ】の川手寛康氏です。これまでに【Mingles】コラボディナーも開催してきたシェフだけに、その言葉には説得力がありました。

    ”ソン”をアレンジしたひと皿は、アワビの下にテリーヌ状の白菜を忍ばせて

    ”ソン”をアレンジしたひと皿は、アワビの下にテリーヌ状の白菜を忍ばせて

 そして、実際に目と舌で感じてきた【Mingles】は、その通りのレストランでした。

 シェフのカン・ミングー氏は韓国料理の古典をしっかりと踏襲しつつも、サン・セバスチャンにある三ツ星レストラン【Martin Berasategui】や、マイアミの日本料理店【Nobu】などでの修業をバックボーンに持つだけに、多彩なテクニックを駆使し、ただの古典に留まらない、新たなスタイルを確立している印象。そこには、古きをリスペクトしつつ、革新を追い求めるカン氏の本質が見え隠れしていました。

葛藤の末、辿り着いたスタイル。そして、一躍トップへと上り詰める

 そんなカン氏ですが、5年前のオープン当初は葛藤にもがいていたといいます。修業時代の料理に引っ張られ、「これは自分の料理ではないのではないか?」と自問する日々。やがて、カン氏は自らの答えを求めるべく動き出します。

 レストランの休日を使い、寺院へと通い精進料理に触れ、さらには韓国で「シェフの先生」と呼ばれるチョ・ヒスク氏のもとで伝統料理を学び、自らのアイデンティティを確立すべく奔走したといいます。それがいまの【Mingles】を形づくったことは間違いありません。

    ”オマンドゥ”をアレンジし、ノドグロの柔らかさを強調するように仕上げた

    ”オマンドゥ”をアレンジし、ノドグロの柔らかさを強調するように仕上げた

 この日供されたひと皿は、オマンドゥという、韓国の宮中料理でもある韓国の魚の饅頭をアレンジしたもので、しっかりと脂ののったノドグロで餡を包み、蒸し上げた一品。あるいは、アワビを使ったひと皿も、ソンという野菜を煮る宮中料理がベース。昆布で包み、蒸し上げたアワビに、煮干しを中心とした優しい味わいの出汁がそっと寄り添います。

  • 桃のソルベには、ソルチミという大根の水キムチの汁を使い、アクセントに

    桃のソルベには、ソルチミという大根の水キムチの汁を使い、アクセントに

  • 店内はテーブル席がメイン。レストランでありながら、肩肘過ごせる雰囲気がいい

    店内はテーブル席がメイン。レストランでありながら、肩肘過ごせる雰囲気がいい

 ヤンニョムが主張したり、唐辛子の辛さが全面に打ち出される、いわゆる”韓国料理”のイメージを覆す料理の数々。古きを知り、新しきを生み出すカン氏の、誰の真似でもないオリジナル。まさに冒頭の川手氏の言葉の真意がそこにはありました。

カン・ミングー氏 プロフィール

  • サン・セバスチャンにある三ツ星レストラン【Martin Berasategui】をはじめ、マイアミとバハマにある日本料理店【Nobu】にて研鑽を積み、2014年に【Mingles】をオープン。その後も、寺院に通い、韓国伝統料理の重鎮、チョ・ヒスク氏のもとで料理を学ぶなどして、現在のスタイルを確立した。

【Mingles】

電話:+82 2 515 7306
住所:757 Seolleung-ro, Gangnam-gu, Seoul
営業:12:00~13:30 LO/18:00~20:30 LO、土曜12:00~13:30 LO/18:00~20:00 LO
休日:日曜

この記事を作った人

撮影/原 務 取材・文/吉田慎治

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